軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と振り返り。

リリィ達とダンジョン攻略をしてから数日。メイプルは一人四層の常夜の町を歩いていた。リリィ達とはフレンド登録はしたものの、あれ以降はまだ会っていない。二人がボスを倒した後はそのまま現地解散となったため、倒した後に話す時間は少なかった。

「次のイベントかあ……」

リリィ達は結局、その召喚スキルによってボスを叩きのめしていった。そして見たからには対策を立てないわけにもいかないと、サリーが手に入った情報と、現状できることから対策を考えているのだった。それもこれもまだ発表されていない次のイベントのためである。

いつか役に立つことは間違いないため、サリーも早め早めに対策を練っているのだ。

「皆、すごかったなあ……んー、私が二人で戦うならサリーとだよね」

ここ最近知り合ったベルベット達もリリィ達も二人での戦闘で相乗効果を発揮して強くなっていた。サリーも負けず劣らず強いものの、相乗効果がなければ勝ち切るのは難しいかもしれない。

「メダルにも何かいいスキルがないか見ておかないと!」

メイプルは元々どうしても勝ちたいだとか、そういったスタンスではないものの、やるなら全力で、そして進んで負けたりもしないのである。

とはいえ、他のプレイヤーに勝つために時間全てを使うなどということはなく、今日は四層に新たにできたらしい、いわゆる猫カフェに行くつもりなのだった。

「よさそうなら今度サリーとも来ようっと!」

そうしてメイプルが店の扉を開けると、奥には数匹の猫と戯れる青い服で青髪の少女がいた。

「「あっ……」」

メイプルと青髪の少女、つまり変装したミィは目が合うと互いにそう溢すのだった。

メイプルは入店すると、ミィの周りに他のプレイヤーがいないことを確認して声をかける。

「ミィも来てたんだね」

「うん。新しくできたって言うから、タイミング被るとは思わなかった」

偶然とはいえ合うことができた二人は猫と戯れながらも最近の話をする。

「【ラピッドファイア】と【thunder storm】かあ……私達のギルドでも要警戒って言われてるよ」

「それでねそのギルドのトップツーの人達と会えたんだけど、すごく強かったよ!」

「ギルドマスターが数で囲んでも押し返せる力があるタイプだからなー、今後のイベント戦では上位に食い込んでくるんじゃないかな」

ここしばらくランキングが出るイベントはなかったため、全力で力を示しにくることだろう。

「うん。ほんとに強かったし、私も上位に入ると思う」

「……メイプルはそういうの執着なさそうだよね」

「えっ?うーん……楽しかったらいいかも」

「ふふふ、もーそれなら第四回イベントで襲ってこなくても良かったのに」

「あ、あの時は皆で十位以内に入ろうとしてたから!」

さっき言ったばかりのことと矛盾する内容に、メイプルは首を傾げるものの、すぐに何故そう答えたか分かった。周りの人が楽しそうにしているのを楽しめるため、あの時のメイプルは上位を目指す皆のために頑張ったのだろう。

「皆と一緒に戦うのも楽しかったし!」

「いいねー。イベントはイベントらしく全力で、か。まあお祭りみたいなものだもんね」

とはいえ、【炎帝ノ国】のギルドマスターとしてはメイプルにも負けられないのだ。ギルドの面々もリベンジの機会を待っているという。

「次はあの時みたいにはいかないからね!逆にこっちが倒しちゃうから」

「お、お手柔らかに……」

「そうもいかないからねっ」

「むぅ、じゃあこっちも新しく手に入ったスキルで応戦だよ!」

「えっ!?ま、また何か見つけたの?」

「サリーとの約束があるから見せられないけど……うん!変なの見つけた!」

「はは……お、お手柔らかに」

「ふふふ、そうもいかないかもっ」

「あはは……私も負けてられないなあ」

「ミィともライバルだもんね。リリィ達とベルベット達も増えちゃった」

「共闘だったら呼んでくれていいよ。メイプルといれば私も勝ちやすくなるし?」

「うん!また一緒に戦えるといいな!」

こうして二人は猫を撫でつつ、会話を続ける。

「あ、そうだ。ベルベットもミィみたいに演技してたよ」

「え?そうなの?戦い方とかは聞いてるけど、直接会って話したことはないんだよね」

「ミィとはちょっと違う理由だったけど……」

「だ、だよね……私みたいなのいないよね……」

行くところまで行って引き返せなくなったミィとは違い、ベルベットのそれは演技だと分かっても問題ない類のものだ。

「最初会った時すごいおしとやかって感じだったんだけど……全力で戦ったら雰囲気全然違ってびっくりしたんだー」

メイプルがベルベットと初めて共闘した時のことや演技をする理由を話すと、ミィはうんうんと頷く。

「なるほどねー、でも分かる気もする。ほら、装備に引っ張られることってあるから。私も手に入ったのがあの装備とかスキルじゃなかったら変わってたかも」

【炎帝】のスキルとそれに合う装備がミィのその後を決定付けたと言える。画面内のキャラクターを動かすのではなく、自分が戦うとなれば装備やスキルは大きな影響を与えるだろう。

「メイプルも演技までしなくても、この装備の方がいいかなーとか思うことあるんじゃない?」

「確かにあるかも!」

メイプルもスキルにあった見た目の装備にしたり、行く先の雰囲気にあった服を着たりすることは何度かあった。演技もそれの延長線上なのかもしれない。

「仮想空間だし、そういうのもありだよね。やりすぎると……後悔するけど……うぅ」

ミィの場合打ち明けられる日は恐らく来ないだろう。だからこそ、ベルベットのことを少し羨ましそうにするのだった。

「今度ベルベットとも会ってみる?紹介できるよ!」

「うん、そうしたいな。メイプルから話を聞いてる限り、賑やかで楽しい人みたいだし」

「じゃあまた聞いてみるね!」

メイプルが近況を話すと次はミィからという風に話の種はなかなか尽きないのだった。

その頃サリーはギルドホームでここ最近出会った二つのギルドのことを考えていた。

「んー……」

どうすれば勝てるか。手にした情報から考えるものの、導き出される結論は分が悪いというものばかりだ。

「少なくとも私一人じゃ厳しいか……メイプルが隣にいれば……」

それでもまだ不確定要素が多いため、有利をひっくり返される可能性はいくらでもある。ベルベットは切り札があると自分から宣言しているし、リリィ達もまだまだ底が知れない。

どうしたものかとサリーが考えているとギルドホームの扉が開いて見知った顔が入ってきた。

「えーと、あ、サリーいたいたー」

「……もう自分のギルドみたいに入ってくるね。今日は何、フレデリカ?」

「こっちはいつものだけどー、どうかしたー?」

今日も今日とて決闘だと杖をくるくる回すフレデリカを見て、サリーはとあることを思い出した。

「んー、そうだ。一応情報担当だったよね?」

「一応じゃないけどー?」

「……いや、でも偽情報掴まされてそうだなあ」

「あ、あんなことできるのサリーくらいだったからー」

「ま、いいや。【ラピッドファイア】と【thunder storm】って知ってる?ちょっと訳あって共闘したんだけどさ」

「んー、決闘に勝ったら教えてあげるー」

「連敗してる側が言うことじゃないような……いいよ。やろうか」

「はいはーい。今日こそ勝つよー」

そう言って二人は決闘のために移動する。

そしてそれから数分後、むすっとした表情のフレデリカを先頭にして二人は戻ってきた。フレデリカはそのままうつ伏せになってソファーに転がるとぱたぱたと足を動かす。

「今日は心ここに在らずって感じだったしいけると思ったのになー」

「流石に戦闘入ったら切り替えるよ」

「むー、マシーンめー」

「はいはい、じゃ約束通り」

「いーよ。これで潰しあってよねー?」

そう言うとフレデリカはメモを確認しつつサリーに知っている情報を教える。

「って言っても、確定じゃないのもあるからねー。まず【thunder storm】から。ヒナタのデバフ、って言ってもほとんど移動阻害系なんだけどー、これには限りがあるから上手く使わせられるなら有利かなー」

そのためにはデバフを解除するか、上手くすかす必要があるため、言葉以上に難しいと言える。

「言い切れるんだ」

「まーねー。逆にベルベットはいつまで経っても雷落としてるしー、どんどん威力も上がるから長期戦にも強いよ。基本五層にいるけど、ちょっと前に六層に入り浸ってたらしいからー、何かあったかもねー。ベルベットは雷の雨があるからサリーは注意しておいたら?」

「大丈夫。あれは避けた」

「雨を避けるのは滅茶苦茶すぎない?」

「私の回避も上達してるんだよ」

「それは私が一番実感してるけどさー……いいや、次ね」

フレデリカはメモのページを切り替えると【ラピッドファイア】について話し始める。

「サリーも見たような所は省くとして、ウィルバートは必中の矢を撃つって言われてるかなー。確証は無いけど、外さないから。リリィはメイド服の時より王様してる時の方が厄介だねー。一度に呼び出せる数に限りはあるみたいだけど、決まってるのは上限だけみたい」

壊されてもその都度補充されるのであれば。リリィの召喚は実質際限なしという訳だ。ただ、その数の力よりもサリーはウィルバートの方が気になった。

「必中……まあ、どこかにはあると思ってたけど」

サリーにとってどうしようもないスキル。むしろ今まで出会わない程希少なことが幸運なのだろう。

「そーそー、私が見つけるまでは受けないでよね。サリーは私が倒すって決めてるんだからさー」

「あ、それは先約がいるから無理だけど。でもありがとう、ちゃんと情報担当やってるんだね」

「……あの時ミスしただけだからねー本当」

サリーに偽情報を掴まされた時のことを思い返して恥ずかしそうにしつつも、あんまりからかうとこっちもフェイクを混ぜると言ってのける。

「見破ってみせるよ」

「うえー、本当にできそうだから嫌だよねー。あと最後に一つ。その四人のテイムモンスター、まだ誰もみたことないみたいだよー」

「分かった。助かったよ。やっぱりちょっと意外だったけど」

「…………六層に放り込んじゃおうかなー」

「ご、ごめんって」

軽口を叩きあいつつ、その後フレデリカのやる気が回復する度に何度か決闘を行なったものの、結果はいつも通りのものとなるのだった。

メイプル達がリリィと会ってから少し経って、いよいよ第八回イベントの内容と時期が発表された。

125名前:名無しの槍使い

完全協力型イベントか

126名前:名無しの弓使い

時期はもう少し先だな

前回と違って対人要素は一切ないらしい

127名前:名無しの大剣使い

となるとモンスターがかなり強いかもな

プレイヤーは結託するし

128名前:名無しの大盾使い

対人なしならとりあえず気楽にやるか

張り詰めてるのも嫌いじゃないけどな

129名前:名無しの弓使い

って言っても詳細はまだ殆ど出てないからなあ

分かってるのは探索重視なことと、八層に影響があるってことくらいだ

130名前:名無しの槍使い

四層の時の通行証みたいな感じと予想

131名前:名無しの大剣使い

あれも確かにそうだったな

協力型だし成果に応じて全員に配られるのかな

132名前:名無しの大盾使い

とりあえず時間加速ではないらしいから戦力不足なら期間中に適宜強化しつつだな

133名前:名無しの魔法使い

戦力強化……悪い俺強くなれるかもしれんわ

134名前:名無しの槍使い

どうした

135名前:名無しの魔法使い

テイムモンスターなのかレアイベントなのかは分からないけど人気のない谷底で真っ白なモンスターがいてな

甲殻じゃないけどなんというか鎧着てるみたいな見た目でさ 明らかにヤバイオーラが出てる奴

136名前:名無しの大剣使い

おおーマジ?聞いたことないな

137名前:名無しの大盾使い

いいな 聖なる獣とか守護獣とかそういった類か

138名前:名無しの弓使い

これは先行かれるなあ

139名前:名無しの魔法使い

その時は準備できてなくてこっち見られた瞬間に逃げていったけど

しばらく通ってみるつもり

140名前:名無しの槍使い

頑張れー

141名前:名無しの大剣使い

戦力強化か目指せメイプルちゃんだな!

142名前:名無しの魔法使い

ああ!追いつけたら嬉しいし探してみるわ