軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と罠。

交代で休んではいたものの、結局運営に用意されたダンジョンを遥かに上回るレベルの殺傷力を持ったメイプル達のダンジョンは突破されず、入り口に積み上げた大岩をモンスターが突き破ってくることはなかった。

最後の見張りを担当していたサリーとカスミが眠っている六人を起こしてまわる。

「メイプル、朝だよ起きて」

「んー、ふぁ……んぅ、おはようサリー、大丈夫だった?」

「何にも起こらなかったね。罠の起動音は結構聴こえたけど、結局突破はされなかったみたい」

「よかったー。よしっ!今日も頑張ろー!」

メイプルは頬をぺちぺちと叩いて目を覚ますと、仕切りで区切られた部屋から出る。するともう全員が用意を済ませており、いつでも探索できる状態だった。メイプルはそれを見て、【楓の木】のギルドマスターとして改めて目標を言う。

「あとメダル三枚!これで最後まで生き残ればメダル十枚だから頑張ろう!」

「じゃあ、今日もどっちに行くかまず決めようか」

サリーがそう言ってマップを開く。しかし、何やら様子がおかしいようで、サリーはパネルをトントンと指で叩く。

「マップが……表示されなくなってる」

「ん、ああ私もだな」

「僕もそうみたいだね。あと、メッセージ機能も使えなくなってるみたい」

現在地の確認と、連絡手段がなくなれば暗闇の中を行くようなものである。一日目とは異なったその様子に、何か嫌な予感がすると、八人の間に警戒する雰囲気が流れる。

「とりあえず八人で動こうよ!ばらばらになったら大変だし」

「そうだな。目標も達成しないといけないからな。ただ、何かでバラけた時の目印くらいは決めてから行こう」

しばらく相談して良い案も出たところで、八人は外に出ることにする。

「……よし、じゃあ目印はそうするか」

「……そうね」

「よーし!じゃあ行こう!」

敵味方関係なく即死するトラップが大量に仕掛けられているため、メイプルは念のため【身捧ぐ慈愛】を発動させる。その間にマイとユイが大岩を回収して、八人は外へと向かっていく。

「今日は八人で攻略かあ。これならどんどん勝てそう!」

「そうだね。まあ、一日目でメダルも二つ取れたし、わざわざ別れなくてもよさそうなのも運がよかったかもね」

トラップを発動させないように、回収できるアイテムは一旦回収しつつ、外へと向かっていく。

「っとと、【ヴェノムカプセル】も解除して玉座も回収しておかないと!」

悪魔のようなモンスターが出るのならスキルを封印できるかもしれない【天王の玉座】も必要になる。回収できるものは回収して万全の体勢で臨む必要がある。

拾えるものは拾い切った一行はそのまま外へと出る。するとそこは朝にもかかわらず薄暗く、空には星一つ見えない闇が広がるばかりだった。

「うぅ、なんだか嫌な感じだね……」

「気をつけて……っ!メイプル!」

外に出て少しすると、八人の足元に漆黒の魔法陣が展開される。メイプルの【身捧ぐ慈愛】の範囲に匹敵するサイズであり、魔法陣の外に飛び退くことは不可能だった。

「大丈夫!回復の準備だけしてて!」

メイプルがそう言うと同時、全員が漆黒の光に包み込まれ、メイプルはぎゅっと目を瞑ってダメージに備える。しかし、メイプルの体には一切の衝撃がやってこない。

「……よかったあ、大丈夫だよ皆!……皆?」

悪い予感というのは当たるもので、目を開けたメイプルの周りには誰一人立ってはいなかった。それだけでなく、メイプルの背後には今出たばかりの拠点もなく、どこか分からない場所だった。

再確認してもマップには現在地が映らず、メッセージも送ることができない。

想定していた中で最も悪い状況だが、それでも想定外ではないだけマシである。

「頑張って生き残ってね皆……!」

メイプルはメイプルにできることをしなければならない。そうして相談しておいてよかったと思いながら、準備を始めるのだった。