軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と水と泥。

「ふーやっと終わった……マイとユイもお疲れ様」

「ごめんね。全然倒すのに参加できなくて……」

「いいんです!メイプルさんは守ってくれてましたし!」

「ボス戦のために温存しないとですから……!」

メイプルのスキルはとても強力だが、そのほとんどが回数制限つきの代物である。それは今回のイベントのような一日中戦闘が起こる場合には重いデメリットとしてのしかかってくる。だからこそ、攻撃能力がずっと落ちないマイとユイが多くの戦闘を受け持つことになる。

「このままボス戦まで行っちゃいましょう!倒し方もわかりましたし!」

「そうだね。メイプルもボス戦では頑張ってもらうよ?」

「うん、途中温存させてもらった分頑張るよ!」

雑魚モンスターの倒し方が分かってしまえば道中は苦戦することもなく進んでいく。本来は弱点を突いても一撃とはいかず、かなりのリソースを消耗させられる作りになっているが、マイとユイならば手当たり次第殴りつけるだけでいい。

マイが泥人形担当、ユイが水人形担当、サリーは倒しそこねたものを的確に倒し、メイプルは攻撃が当たってしまっても問題ないように【身捧ぐ慈愛】で三人を守り続ける。全ての攻撃位を無効化されてしまう人形にこの四人は食い止められない。

そうして、気持ちよく人形たちを撃破していったメイプル達は一歩一歩着実に歩を進めボスが居るであろう部屋につながる扉の前にたどり着いた。

「やたら数は多かったから時間はかかっちゃったけど、ようやくボスかな」

「「準備はできてます!」」

「よーし!じゃあ開けるよ!」

メイプルが扉を開け、四人は警戒しつつ部屋の中に入る。部屋の中は、ところどころにある水たまりと泥だまりがあり、黄緑の苔にその他すべての地面が覆われている場所だった。

そんな四人の目の前で身長四メートルほどの二体の人形が起き上がる。一体は泥でできた体に、苔や草花を生やしたもので、もう一体は、水でできた体を持つものだった。

「とりあえず、道中と同じく属性攻撃でいくよ!一体ずつ倒そう!」

「「はいっ!」」

メイプルを除く三人はまず倒す対象を泥人形に決めると、武器に炎を纏わせてボスの方へと向かっていく。 メイプルは役割分担とばかりに水人形の注意を引いて三人を攻撃に集中させる。

「一気に決めるよお姉ちゃん!」

「うん!」

マイとユイは燃え盛る大槌を振りかぶり一気に叩きつける。当然この二人の攻撃力を基準としてボスモンスターは作られていないため、宣言通り、一気にHPバーが削れる。泥人形はゆったりとした動きで二人に攻撃を繰り出すが、それはメイプルが【身捧ぐ慈愛】で引き受ける。これによってメイプルのスキルのクールタイムが進まなくなるが、どうということはない。

「こっちも、負けてられないね!」

サリーはマイとユイとは違い、回避して【剣ノ舞】の効果を高めながら足元を斬り刻んでいく。

「「もう一回っ!」」

サリーの攻撃で体制が崩れたところに、マイとユイの大槌が突き刺さり、泥人形のHPバーがいとも容易くゼロになる。

「「よしっ!!」」

「おー!さっすがー!」

「……待って、何か変!」

サリーがそう言うと同時、泥人形は内側からボコボコと膨らみ、大きな音を立てて弾ける。

マイとユイがそれを受けてしまうが、メイプルのお陰でダメージはない。

「大丈夫大丈夫!……うぇっ!?」

泥を無効化し、胸を張っていたメイプルのHPバーが少し遅れてきっちり二割減少する。メイプルが何があったかと辺りを見渡す。

「マイ、ユイ!足元!」

「えっ、あっ!」

泥溜まりの中で立つ二人の足元には泥に紛れて茶色の種が落ちており、そこから伸びた蔓が足に絡みついていた。メイプルのHPがまた二割減少したところで、マイとユイは蔓を引きちぎる。

「メイプルはシロップ出して!二人はこっちこっち」

サリーが誘導して、種をかわしつつメイプルが浮かせたシロップの背中に三人で飛び乗る。

種は地面にいる者にしか反応しないようで、何とか難を逃れ、メイプルのHPも回復できた。

「ふー、びっくりした……うう、でもこれじゃあ降りられないね……」

「うわ……しかも泥人形さっきの回復で復活するのかあ」

「でも、地面にいなければ大丈夫そうです!」

「練習しておいたので……ここからでも攻撃できます」

頼もしい二人の宣言に、メイプルとサリーは攻撃を見守ることにした。

飛んでくる泥や水は変わらずメイプルが受け止める。そんな中二人はインベントリから次々に鉄球を取り出した。

第四回イベントの時から改良され、棘まで付いてサイズも大きくなったそれに炎を纏わせて、投球のモーションに入る。

「「せーのっ!」」

可愛らしい掛け声から放たれたそれは凄まじい速度で泥人形の顔面に飛んでいき、回復してすぐのHPを再び消し飛ばして、後ろの地面に深々と突き刺さった。

「やった!当たりました!」

「練習の成果です!」

「あの練習は二人しかできないからね……それにしても本当いいコントロール」

二人で空き時間にやっていた鉄球でのキャッチボールは役に立ったようで、二人は次の的に狙いを定める。今度はバチバチと放電する鉄球を持ち上げると全力投球で巨大な体を撃ち抜いていく。

「おー!あ、そうだ!それだったらさ大槌で打った方がもっと威力出るんじゃない?」

「あ……それは駄目なんです」

「鉄球が砕けちゃうんです!イズさんにもっと硬いのを頼んでいるところです!」

鉄球はただのアイテムなため、一定のダメージを与えると壊れてしまう。一度試した時には凄まじい音を立てて雪玉かのように粉微塵になったのだった。

打てない分鉄球自体に色々と付けた結果が今の形なのだ。

「流石にこのサイズの鉄球は手渡してあげられないし……見てるしかないか」

「「ここは任せて下さい!」」

音を立てて地面に鉄球が突き刺さる度、水の体に穴が開いていく。

地面は種まみれになっているが、そんなことは関係ないと最後の鉄球が頭部を吹き飛ばし、泥人形、水人形が共に倒れたところで、地面の種も含めて全てが光になって消えていった。

そして、通知音が鳴って【楓の木】のメンバー全員に銀のメダルが一枚配られたことが伝えられる。

「ふー、何とかなったね!それにメダル一枚!」

「うん、よかった。でも気をつけないとね。今回もシロップが飛べなかったら危なかったし」

「そうですね。復活もしますし……本当はもっと強いはずだったのかも」

「相性の悪いダンジョンに入らないように周りの雑魚モンスターから予測したりしないとね。っと、ダンジョンからは強制脱出か……」

「ここの中で安全に過ごすのは無理なんですね」

「よーし、次もがんばろー!」

メイプル達の体が光に包まれていき、いつもの転移と同じようにしてダンジョンから出ていくのだった。