軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と擬態。

【楓の木】の面々はそれぞれ順調に撃破数を伸ばしていた。やはり、テイムモンスターは全員の戦い方に大きな変化をもたらしたと言える。特にカナデの場合それは顕著だった。

「効果は落ちるとはいえ、使い放題っていうのはいいね」

【擬態】はクールタイムがかなり長いが、カナデとこのテイムモンスターの相性は抜群である。ソウがいくら魔導書を使っても、コピー元であるカナデがその魔導書を本棚に残しておけば、再度【擬態】した際に本棚に一度使った魔導書がまた並んでいるのである。

そのため、能力の強さを計るというのもあって基本はソウが戦闘を行い、カナデはローブをきて樹上や物陰などに隠れていた。

万が一ソウが襲われても、カナデ本人が安全に隙をつくことができる。

「流石にそろそろソウの魔導書も少なくなってきたかな……っと、ソウ【休眠】」

カナデは誰かが近づいてくる気配を感じて、手の内を隠すために一旦ソウを指輪に戻す。

茂みを掻き分けて姿を現したプレイヤーを見て、カナデは苦笑する。

「あはは、僕も運が悪いなあ」

そこにいたのはドレッドとドラグだった。二人の隣にはそれぞれ黒い毛並みの狼と、岩でできたゴーレムがいる。トップクラスのプレイヤー二人、テイムモンスターもありとなると勝算は低い。

「おっと、一人か……悪りぃけど容赦しないぜ」

「おー、カナデか。ははっ、いいな!」

「流石に……分が悪いかな!【ウッドウォール】!」

カナデは武器を構える二人の間に木の壁を作り出すと、その場を離れようとする。

そうして少し距離を開けられると思ったその時。

「アース!【砂の王】だ!」

ドラグがそう命じるのを聞いて、カナデが後ろを確認すると、木の壁は一瞬で砂と化し無力化されていた。そして、狼と共にドレッドが駆けてくる。

「【ファイアストーム】!【トルネード】!」

「シャドウ【影潜り】」

カナデの方から炎と風の竜巻が襲いかかるが、その直前、シャドウと呼ばれた狼は黒い毛並みをより一層黒く変えて、ドレッドと共に地面に潜り込む。それはほんの一瞬の間だったが、竜巻をやり過ごすには十分だった。

「【超加速】!」

「【大自然】!」

「アース!【大地制御】!」

加速するドレッドを止めようとカナデがシロップも持っているスキルを使うが、スキルは空打ちになってしまう。

「おらぁ!【地割り】!」

「【影分身】!」

このまま動きを止められるわけにはいかないと、カナデは分身するスキルを発動させる。

が、しかし。

「シャドウ【影の群れ】」

カナデの分身を遥かに上回る数の狼がシャドウの足元の影から現れ、カナデの分身を一瞬で蹴散らしてしまう。

そして、ドラグの【地割り】によって足を止めさせられたカナデをドレッドの短剣が斬り裂いた。

「【トリプルスラッシュ】!」

HPや防御力を高めていないカナデではその攻撃に耐えられるはずもなく、そのままここで光となって消えていく。

ドレッドとドラグはそれを確認して、武器を収めた。

「おっし、【楓の木】はライバルだからな。メダルの取りやすいフィールドに行かせてらんないぜ」

「……少しあっけねーな。まだ、有効なスキルもありそうだが」

「まあ、そうだな。だけどよ、考えてても仕方ねえぜ。現にこうして死亡エフェクトも出たしよ」

「ああ、モンスターを狩りに行かねえと順位も落ちるか……プレイヤーに執着してても時間の無駄か」

今回はプレイヤーを積極的に倒すメリットはあまりない。大事なのはいかにモンスターを倒すかである。そうして二人はこの場を去っていく。

それから少しして、ローブを着たプレイヤー、カナデが戻ってくる。

「ふー……危なかったなあ。流石に太刀打ちできないか。でも、よくやったねソウ」

カナデは近くの茂みをガサガサと掻き分け、半分ほどのサイズになったスライム状態のソウを持ち上げる。

「【分裂】に【擬態】……お陰で何とか犠牲なしだね」

カナデは木の壁を出すと同時に魔導書によって姿を消し呼び出したソウと入れ替わると、【分裂】によってソウの偽物を生み出して戦わせたのである。

分裂した本体は近くにいる必要があるため、見つからないかどうかは賭けだったが、上手くいったようだった。

「あの二人のテイムモンスターも見たし、収穫はあったね。でも……あれは強いなあ。また今度サリーと相談するかなあ」

ドレッドが仲間にしたシャドウという狼も、ドラグのアースというゴーレムもほんの少しの交戦の内に厄介な能力があることが分かったのだ。ソウの魔法も当たればそれなりのダメージを覚悟しなければならないものばかりで、攻撃範囲も優秀なものだった。妨害スキルもメイプルやサリーが使うものを使わせたが、いともたやすく破られた。となれば、対策をしておかなければ危険な場面がやってくるだろう。

「さてと、次会うならモンスターがいいかなあ」

カナデは小さくなったソウを頭の上に乗せると、次のモンスターを探して、歩いていった。