軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化とポルターガイスト2。

クロムとカスミがメイプルに近づいていくと、メイプルは二人に気づいたようで、レーザーを動かすのをやめて手を振り始めた。

「メイプル、また見たことのない装備になったな」

クロムはメイプルのそばまでやってきたところでメイプルに話しかける。

「そうなんです!どうですかこれ!」

メイプルはシロップの上に立つとくるっとその場でターンしてみせた。

メイプルはそのまま嬉しそうに、シロップと同じ色だとか、スキルも使い方を見つけただとか、そんなことを聞くまでもなく話し始める。

「そのスキルというのがその……それか?」

カスミが指差した先には空へと伸びる四本のレーザーがあった。

「そう!ちょっと難しいけど、これなら……わっ!?」

メイプルが少し得意げに説明をしようとしたその時、レーザーは全て音を立てて空へと解き放たれたのである。

スキル発動からちょうど五分が経過したため、制御を失ってしまったのだ。

「あー……ちゃんとある程度覚えておかないと」

「ま、まあ頼もしくなったようでなによりだ」

「ん、ただ、装備の変更はどうするんだ。メイプルは後二つよく使う装備セットがあるだろう?」

カスミがメイプルにそう聞くと、メイプルは解決法はもう見つけたとばかりに、にこっと笑った。

「シロップ、ちょっと待っててね」

メイプルはシロップからすとっと降りると、すたすたと歩いていく。

カスミがそんなメイプルに声をかけようとしたところで、メイプルの背中から伸びる兵器の量が倍近く増える。

それは今までに何度も見てきた、メイプルが無理やり空へと飛び上がる直前の動作である。

直後、メイプルは爆炎を残して空へと消えていった。遥か高く吹き飛んだメイプルが何をしているのか、二人の目では全く見えない。

「おい、どうする?」

「いや、どうするといってもな……」

クロムとカスミがまた顔を見合わせていると爆音と共に砂煙が上がった。

「なっ……!?」

「おおっ……?」

そうして砂煙の舞う中ゆっくりと立ち上がったのは、いつもの黒い装備に身を包んだメイプルだった。

メイプルが考えたこととは、地面で装備を変えている暇がないのなら変えられる場所まで一時的に避難すればいいということである。

遥か上空にメイプルを倒しうる攻撃を飛ばせるものなどいないといっていい。

一時的に全ての装備を外したとしても、攻撃が当たらなければ問題はないのである。

メイプルは砂埃を払うと、上手くいったという風に頷いてみせた。

「これなら戦闘でも使えるはず!」

「そうだな。私もそう思う」

「俺もだ」

「あとは……サリーにも見せに行かないと!」

今後の作戦の一部にするという意味は当然ながら、新しい装備を見せにいくという意味も勿論ある。

メイプルはシロップを指輪に戻すと、クロムとカスミに別れを告げて五層へと向かっていった。

離れていくメイプルの姿を見送りつつ、カスミがぽつりと呟く。

「まあ、味方である内は頼もしい限りといったところか」

「だな。まー、レーザーはそこまでめちゃくちゃな威力じゃないし【 毒竜(ヒドラ) 】よりは……いや、五分間となるとレーザーの方が強いか」

メイプルが話したスキルの情報を元に色々と考えた二人だったが、最終的にそもそもメイプルの飛び道具はどれも危険極まりないため、どれを操ったとしても攻撃される側はつらいということに落ち着いたのだった。

メイプルは言った通り五層へやってきて、サリーにメッセージを送った。

「おー、ギルドホームにいるんだね!了解!」

メイプルは足取りも軽くギルドホームへと向かう。そして、ギルドホームの扉を開けるとサリーが少し驚いたような顔で出迎えた。

「メイプル、なるほど。それを見せたかったってことか」

少ししてサリーはメイプルが急に会いたいと言ってきた理由に思い至る。

「せいかーい!どう、似合ってる?」

「いいね。ここではメイプルは鎧ばっかりだったし、おー……新鮮な感じ?冠も装備してるし、どこかの姫かな?」

「あはは、お姫様は私には無理だろうなー」

「んー確かに。大臣とかを困らせるタイプだ」

「えー?そうかな?」

そうして、その後ひとしきりとりとめのない話をしたところで、メイプルは思い出したように装備の性能について話し始めた。

「あ、あとこの装備はちゃんと装備としても使えるんだよ」

メイプルがサリーに能力を説明するとサリーはなるほどと頷く。

「いい装備だね。やっぱり私も六層探索してもいいかも……」

「え?」

メイプルに少し前の記憶が鮮明に蘇る。

そして、サリーをじとっとした目で見つめる。

「いや、まあ。もっと大丈夫なところもあるかも……いや、うん……」

メイプルから目をそらしつつ言葉を紡ぐサリーだったが、自分で言っていて未来が予想できてしまったため、できもしないことをするのは諦めた。

「別に、七層で全力出すだけだし」

「そうだねー、でも私も七層が待ち遠しいなあ」

また二人で探索をするためには少しの間待つ必要がある。

その後二人はそれぞれの階層で見たものを話しながら時間を過ごしたのだった。