軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化とお屋敷4。

剣はそのまま高速で飛んできてメイプルへと接近してくる。

「うわっ!!」

メイプルが咄嗟に手で顔を庇ったところでメイプルの腕に剣が衝突する。

「うっ……よ、よかった。なんともない」

メイプルは次々に飛んでくる槍や剣、甲冑からの攻撃を生身で受けて弾いていく。

全ての攻撃はメイプルの体の表面で止まって、僅か一のダメージすら与えられない。

「どれか使えそうなスキルはあったっけ?【天王の玉座】?」

メイプルがそう言うと、メイプルの背後に白い玉座が現れる。

メイプルはいつこの玉座が消されるかと思いながら玉座に座ったが、少し待っても少女達の声は聞こえてこなかった。

「なるほど……これは危なくないんだね。んー、じゃあ強い攻撃ができるスキルが駄目なのかな」

メイプルは【百鬼夜行】は試すまでもなく駄目だと考えて使わずにおいた。

現状攻撃手段をほとんど失っているメイプルにとって、それは唯一頼れる味方なのである。

もしかするとボス戦でなら使えるかもしれないという淡い期待も持って、メイプルは手で剣をはたき落としながら歩き始めた。

「うぅ……扉が多すぎるよ。鎧も凄い叩いてくるし……」

メイプルは十以上の甲冑に囲まれて剣で切りつけられながらも、部屋の壁に現れた扉のうちの一つにたどり着く。

「えいっ!はいっ!」

メイプルはばっと扉を開けると、直ぐに扉を閉めて両手で扉を押さえる。

しかしメイプルが危惧していた甲冑の追撃はなく、メイプルはいったん落ち着いてその場に座り込んだ。

「よかった……どうしようかな。装備はもう一つあるけど……また取られたら嫌だし」

メイプルは装備で防御力やHPを上げなかったとしても、耐久に関してはすでに必要以上の能力を持っている。

メイプルの四桁の防御力を貫く攻撃は一般プレイヤーを一撃で葬るレベルなのである。

そんなものはその辺りにわらわらといていい存在ではない。

そのため、メイプルはただ攻撃されるぶんには問題なかった。

「よし、頑張って取り戻すぞー!」

メイプルが意気込んで廊下を歩いていく。

探し物がどこにあるか分からないため、今度は部屋を通り過ぎることはできない。

メイプルは見つけた扉は全て開いていかなければならなかった。

十中八九そこに罠があると分かっていてもである。

「ふーっ……おじゃましまーす!」

メイプルは深呼吸をして部屋に入ると体を縮めつつ辺りを確認した。

部屋の中にはテーブルクラスの掛かった五メートルほどの長さの机と、綺麗に並べられた椅子があり、またテーブルの上には燭台が一つあった。

歪んだ壁には風景が描かれた絵画が掛けられている。

「えっと……うん。壁はぐにゃぐにゃしてるけど特に何もなさそう」

メイプルは机の下や絵画を調べてみるが、ぱっと見た時の印象と変わらず、何かが見つかることはなかった。

「よし。大丈夫そう……あっ」

メイプルが一番奥の絵画を調べ終えて振り返ると、椅子や燭台や絵画が青い光を纏っていた。

「ちょっ!?まっ……!」

メイプルの要求に従ってくれるはずもなく、椅子がメイプルに向かって飛んできて体に当たる。

「剣だって大丈夫……っだった、けど!ちょっ、と多いよっ!」

メイプルはガンガンと音を立ててぶつかった後、そのまま残って積み上がっていく椅子と絵画を何とか乗り越えようとする。

しかし、それよりも先に椅子と絵画の山にふわふわと燭台が火を運んできた。

「えっ!?」

メイプルが逃げるよりも早く、周りが凄まじい勢いで燃え上がり、メイプルもそれに巻き込まれていく。

十数脚の椅子と絵画によって引き起こされた業火は、メイプルの背丈よりも遥かに高い火柱を作った。

そして、全てが燃え尽き灰になった後でメイプルはいつも通りその場に立っていたのである。

「ふぅ……何も装備してないからこの服は燃えないし。よかった……」

メイプルは服をぱっと手で払い、 煤(すす) を落とすと部屋の外へ出ようと歩いていく。

その途中でメイプルは机の上に戻っている燭台をじっと睨みつけた。

「……そっちの方が悪い子だよねー?」

メイプルはむっとした表情でそう言うと、インベントリから接着剤を取り出し燭台の下に塗りつけ、元の位置に戻す。

モンスターからドロップした強力接着剤は、机と燭台をぴったりと接着してくれるだろうとメイプルは思っていた。

「本当、こっちこそお仕置きだからねっ!」

メイプルは入ってきた時よりも勢いよく扉を開けると外へと出ていったのだった。