軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と釣り日和。

「おー!町はこんな感じなんだー!」

理沙が周りを見渡して、嬉しそうに声を上げた。理沙のその様子がゲームを始めたところの自分と重なって、懐かしく思えた。

「楓の…っと……危ない。メイプルの装備との見た目格差があり過ぎてちょっと辛い」

プレイヤーネームに言い直して理沙が話す。

楓も理沙のことを理沙と呼ばないように気をつけなければならない。

「あはは、まだ初期装備だもんね」

理沙は楓と早速フレンド登録し、パーティーを組むと、楓にステータスを見せてくれた。

サリー

Lv1

HP 32/32

MP 25/25

【STR 10〈+11〉】

【VIT 0】

【AGI 55〈+5〉】

【DEX 25】

【INT 10】

装備

頭 【空欄】

体 【空欄】

右手 【初心者の短剣】

左手 【空欄】

足 【空欄】

靴 【初心者の魔法靴】

装飾品 【空欄】

【空欄】

【空欄】

スキル

なし

「色んなステータスに振ってるんだね」

「これが普通だから!…VITとMPとHPには取り敢えず今は振らないでおいたんだ」

「どうして?」

「全部回避して、ノーダメージならHPもVITもいらないからね!魔法を使うかどうかは分からないから…今はMPとINTは低めでいい。STRは武器である程度補えるしね」

「色々考えてるんだねー」

メイプルはレベルが上がればVITに振るだけなので考えることなど何も無いのだ。

「ふふふ…受け切ってノーダメの人とは考える量が違うのだよ。そういや…三位入賞の品は装備品とかじゃなかったの?」

見たところ装備がサリーの聞いていた話のままなため疑問に思ったのだ。

「あれは記念メダルだった。装備品かもと期待してたんだけどなぁ」

「まぁ…次のイベントもそうとは限らないからなぁ……っと、それで?…今からどこか行くの?」

メイプルの今の目的が地底湖に行くことだと告げるとサリーはふむふむと頷く。どうやら何か考えがありそうだ。

「それなら、私に任せて!いい考えがあるから…」

メイプルは素直に耳を傾ける。

サリーは地底湖方面へと爆走していた。ゲーム内でも動きすぎると脳が疲労して動きが鈍くなるのだが、これはプレイヤーによって個人差がある。

脳がどれだけ上手く働いてくれるかによって反応速度やスタミナなどの PS(プレイヤースキル) に違いが出る。

サリーがここまで走れるのはVR慣れしているからである。

そして肝心のメイプルはというと。

サリーの背中にしがみついていた。

いつもの重装備全てを外していて、メイプルだと分からない人の方が多いかもしれない。

防具を装備するのにはSTR値は干渉しないが、背負うとなると防具分のSTRが余分に必要になるのだ。

装備を外しているのはそのためである。

「前方から狼系モンスターが三匹!メイプル!」

「りょうかーい!」

そう言うとサリーはメイプルを下ろして距離を取る。

地底湖までAGIの高いサリーがメイプルを背負って走り、途中の敵はメイプルを下ろしてメイプルが相手をするという役割分担で、メイプル一人で向かった時の五分の一の時間で地底湖に辿り着いた。

「おおおお!すっごい速かった!」

メイプルが装備を付け直して嬉しそうに言う。

サリーは早速役に立ててどこか得意げだ。

「ふふふ…崇めたまえ〜!」

「ははーっ!サリー様〜!」

そんな茶番もそこそこに、二人は釣りを始める。サリーも自分の釣竿を買ってきたので二人で並んで湖面に糸を垂らして待つ。

そして釣り始めてから一時間。

「や、やっと三匹目!」

「お、またかかった!」

釣果はメイプルが三匹。

サリーが十二匹である。

「1レベルでここに来れたおかげで釣り上げた魚に止めを刺すだけでレベルが上がる上がる」

実際、サリーのレベルは6まであがっていた。

しかも。

「【釣り】スキルゲットー!…初スキルが【釣り】かぁ…メイプルのこと変って言えないなぁ」

【釣り】スキル取得にはDEXが20以上必要なためメイプルには一生無縁のスキルだろう。

「サリーはステータスポイント振り分けないの?」

「それはもうちょっとスキルを取ってから。スキルで戦闘スタイルが決まってくるところあるから…ステータスポイントはまだ取っとこうと思って。初期ステータスでもそこそこ戦えるしね」

「やるな〜上級者め〜!」

「まあ色んなゲームやってきたしね」

そう言ってもう一時間釣りを続ける。

メイプルの釣果は変わらず。

しかし、スキル【釣り】を手に入れたサリーの釣果は二十匹となった。

「どう?これで足りそう?」

「うーん…もう一時間だけ…いい?」

「いいよー!でも、私も一つ試したいことがあるから…釣りじゃなくて素潜りで狩ってきてもいい?」

「いいけど、そんなこと出来るの⁉︎」

「出来ると思うよ。と言うかメイプルの方が今までに意味わからないこと試してるよ?多分私のAGIなら固まって泳ぐ魚のうちの一匹位なら倒せるかな?私、泳ぎ得意だし」

それだけ言うと、サリーは地底湖へと飛び込んだ。

「じゃあ、頑張ってね!」

「うん!一匹でも多く狩ってくるね」

そう言ってサリーが潜水する。

そうしてそのまま一時間もの間地底湖を泳ぎ回っていたサリーが戻ってきた。

少し息は荒れているものの、その前に爆走してきたとは思えないスタミナの残りようだった。

「【水泳I】と【潜水I】のスキルが手に入ってからは簡単になったかな!」

そう言ってサリーはインベントリから真っ白い鱗を80枚出す。

「こ、これ貰っていいの?」

「私はいらないし…今度私の手伝いをしてくれるのと引き換えで」

「じゃあ、それで!手伝うって約束する」

メイプルはありがたく80枚の鱗をインベントリにしまい込んだ。そこでサリーが神妙な面持ちで話し始める。

「ねえ…メイプル。確か、今見つかっているダンジョンって二つだっけ?」

「えっと…うん、そうだよ」

「地底湖の底に、小さな横穴があった」

「……!それって!」

興奮を隠し切れない様子でサリーが頷く。

「ダンジョンの入り口かも…でも…」

「うん…私は行けないね」

メイプルのステータスではまともに潜水など出来やしないだろう。溺れれば初死亡である。

「だから、慎重に攻略しようと思ってる。メイプルと同じユニークシリーズが手に入るかもしれないし…だから…」

メイプルはサリーの言わんとするところを理解して食い気味に言う。

「うん、地底湖まで来るのを手伝うよ!借りは即返すってね!」

「そう言ってくれると思ってた!さっすがメイプル!」

「えへへーそれ程でもー!」

帰りはログアウトすればいいので【水泳Ⅰ】と【潜水Ⅰ】のスキルレベルを上げるためにサリーは再び泳ぎ始めた。