軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と救いの手。

「とりあえずポーションポーション!」

メイプルはがばっと起き上がるとインベントリから取り出したポーションを飲んでいく。

メイプルはHPを全回復させて、ゆっくりと立ち上がった。

「ふぅ……危なかったあ。なんだったんだろう?即死?」

メイプルはぐぐっと伸びをして辺りを見渡す。

どこを見ても白一色で、空間の広さが分からなくなるような場所がメイプルの周りに広がっていた。

「何か……あった!あ、鬼さんまたね!」

出現できる時間が切れた妖怪達が消えていき、その場にはシロップとメイプルの両脇の化物だけが残った。

メイプルは妖怪達に手を振ると、見つけたものの方に向かう。

「これは上で見たような気がする。一瞬だったけど」

白い空間の中、ボロボロになった十字架が地面に突き刺さっており、その前に朽ちた花が置かれている。

しゃがみこんでそれをじっと見るメイプルにかすかな声が聞こえてくる。

「ありがとう……おやすみなさい……」

「だ、誰っ!?」

ばっと顔を上げたメイプルを舞い上がった光が包み込む。

光は形を成し、メイプルは目の前に一瞬女性が現れたのを見た。

女性はメイプルに手を伸ばし、そして舞い上がる光とともにすっと消えていった。

「……あの幽霊だったのかな?除霊……成仏?させられたのかな。ん?」

メイプルは首元に違和感を覚えて触れてみる。

すると、首に何かがかかっていることに気づいた。

「えっと、何だっけこれ……ロケットペンダントだったかな。中身は、んー……さっきの女の人なのかなあ?ボロボロでよく分からない……」

中身の写真は既に判別不可能なくらいに風化していたが、メイプルにはうっすらと女性の姿と花畑が写っているように見えた。

メイプルはロケットを首から外すと手にとって名前を確認する。

「あ、アイテムじゃないんだ。装飾品……【救いの手】?救ったのかなあ?最後、どうしたんだっけ……」

メイプルはこれ以上ないくらい慌てていたため、最後に何をどうしたか順序立ててはっきりと思い出すことができなかった。

思い出せないものは仕方ないと、メイプルは装飾品を詳しく確認する。

【救いの手】

装飾品。

右手、もしくは左手の装備枠を合わせて二つ増やす。

「おお!これはサリーにぴったりじゃない?私もちょっと欲しいけど……もう一回来たくないし。そもそもどうやって来るのかもよく分からないし……」

メイプルの中ではサリーに装備品をあげることは既に決まっている。

そのため、メイプルはサリーに五層の町で会いたいとメッセージを送った。

サリーからはすぐに返信がきて、メイプルは急いで五層の町へと向かったのだった。

メイプルが五層の町のギルドホームへやってくるとそこには既にサリーがいた。

「サリー!ごめんね、急に呼んじゃって」

「別にいいよ。どうしたの?珍しいね」

「いやーようやくサリーにお返しができると思って急いじゃった。はい、これ!」

メイプルはそう言ってインベントリから靴とロケットペンダントを取り出す。

サリーは六層のアイテムだということを直感して、反射的に目をぎゅっと閉じて顔を背ける。

そしてしばらくしてほんの少しだけ目を開け、チラッとアイテムを確認した。

「んっ……んー。だ、大丈夫かな。ちょっと靴は不気味だけど……な、中身入ってたりしないよね!?」

「えっ?うーん入ってないと思うけど……」

メイプルはブーツの足先をぐっぐっと押して特に中から何の反応もないことを確認する。

サリーは恐る恐る靴とロケットペンダントを受け取るとそれぞれ効果を読んでいく。

「私の思っていた靴じゃないんだけど……強力になってる。あとロケットペンダントは、えっと……何、これ?」

サリーが困惑した表情をメイプルに向ける。

サリーの頭の片隅ではメイプルに聞きたいことが色々と渦巻いていたが、上手く言葉にまとまらなかったのである。

「もう一回手に入れるのは難しそうっていうか、ちょっとそこまでの行き方もはっきり分からないから……大事にしてね!」

「ああ……うん。大事にする。ありがとう」

メイプルに満面の笑みでそう言われては、サリーにはこれ以外に返す言葉などなかった。

「じゃあ、ちょっと試してくるね」

「うん!行ってらっしゃい!」

メイプルはギルドホームから出ていくサリーを手を振って見送る。

そして喜んでくれてよかったと、ソファーに座って嬉しそうに体をゆらゆらと揺らしていた。

そして、その翌日。

メイプルはサリーからロケットペンダントを返されていた。

「えっと、別にいいよ?あげるよ?」

メイプルはサリーが遠慮しているのだと思ってそう言ったが、サリーは首を横に振る。

「メイプル……ごめんね。これ私には使えない……」

サリーが消え入るような声でそう言ったため、メイプルの頭に疑問符が浮かぶ。

「メイプル、フィールドで装備してみて、私はギルドホームにいるから……」

そう言ってサリーはギルドホームの奥の方へと逃げるように消えていった。

「んん?」

メイプルはとりあえず言われた通りにと、フィールドへ出ていって【救いの手】を装備した。

「うぇっ!?」

メイプルの背中側から透き通った手が二本すうっと現れ、メイプルの斜め前の空中で静止する。

「あっ……ああーそっか……って、成仏できてないじゃん!」

【救いの手】とはある意味で文字通り手だった訳である。

メイプルの視界内で浮かぶ手は手首から先しかなく、サリーがそれを許容できるはずもない。

「あとサリーも救えてないじゃん!むしろ……もうっ!」

メイプルは次はちゃんと自分で効果を確認してからプレゼントしようと反省したのだった。