軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と最強。

メイプルは鬼に続いて魔法陣へと乗って用意されたバトルフィールドへとやってきた。

「さあ、やろうか人間」

少し離れた場所にいる鬼が言い放ち、その右手に二メートルほどの薙刀が出現する。

「お手柔らかにお願いします……【全武装展開】!【捕食者】!」

ガシャガシャと音が鳴り、メイプルの体から大量の兵器が展開される。

左手に盾を、右手は巨大な機械の剣にして体を隠すように構えた。

「【攻撃開始】!」

メイプルの周りの砲口と銃口が一斉にレーザーと弾丸を撃ち出す。

きっちり狙いなどつけなくても当たるレベルの量の攻撃が鬼に向かう。

しかし、鬼は自分の体に当たる弾丸全てを薙刀で逸らし、叩き落としていく。

ただ、メイプルの攻撃は止むことがないため現状攻撃には転じられていない。

「サリーみたいなことする……シロップ!【巨大化】」

メイプルはシロップを【巨大化】させて宙に浮かせると、二匹の化け者を連れて鬼へと歩いて近づいていく。

メイプルが近づいたことで着弾までの時間が短くなっても鬼がダメージを受けることはなかった。

「シロップ、【精霊砲】!」

シロップの攻撃で天から白い光が降り注ぐ、しかしそれすらも鬼は回避する。

「うー……【 毒竜(ヒドラ) 】!」

メイプルから迸る毒が鬼へと迫る。

鬼は薙刀を目の前で回転させることで毒の奔流を全て弾き飛ばした。

直後、自爆によって吹き飛んだメイプルは全てを食らう盾と、鈍く輝く剣を突き出して自らが弾丸となり突っ込んだ。

ただ、それは同時に攻撃を止めるタイミングが出来るということでもある。

「吹き飛べ人間!」

鬼の超反応により振り抜かれた薙刀はメイプルの兵器を砕き割りつつ、飛び込んできたメイプルを横についてきた化物ごと遠くへと吹き飛ばした。

その際にメイプルの大盾と剣が僅かに体を抉りダメージを与えたものの擦り傷と言っていいくらいである。

「うわっ!と、よっ!」

メイプルはガシャンガシャンと音を立てて地面を跳ねて転がって、ようやく立ち上がった。

その視界に駆けてくる鬼の姿が映る。

「【滲み出る混沌】!」

化物の口が接近した鬼を襲うが、それは回避されてしまう。

しかし、【捕食者】による残り二つの口が仕掛けた追撃は鬼の両腕を容赦なく抉っていった。

それでも止まることがない鬼の薙刀でのカウンターが【捕食者】達を切り捨てる。

両者から噴き上がる紅いダメージエフェクトの向こうから再度突撃したメイプルは大盾で鬼の右半身を食らって突き抜けていった。

「【捕食者】はやられちゃったけど……貫通攻撃かどうか分からないしね」

【身捧ぐ慈愛】を使えばHPロスが発生する。その瞬間に貫通攻撃が【捕食者】二人分入れば一瞬でやられる可能性もあるため、メイプルは安全をとったのだ。

メイプルも多少なりとも慣れてきて、一人の時とギルドの面々と共に戦う時とでは戦闘方法が変わってきていた。

「【攻撃開始】!」

メイプルは再び銃撃を開始し、一息つく。

「色々な攻撃してくると思うけど……今の所はダメージなしだし、これを繰り返せば大丈夫かな?」

メイプルはどちらがボスか分からないような制圧力を見せつけていた。

相変わらず銃弾は全て弾かれているが、遠目に見えるHPバーは先程のいくつかの攻撃で残り八割に届くかどうかというところまでは削れていた。

「もう一回……」

メイプルがもう一度歩き出そうとしたところで鬼の動きが変わった。

弾幕の範囲を超えた跳躍。五メートル程の高さまで飛び上がった鬼の周りに紫の炎が現れる。

「うぇっ!?」

メイプルが慌てて角度を修正しようとするがそれより鬼の炎が射出される方が早かった。

「全て返そうか」

メイプルの使用したスキル全てをそのまま炎で再現してのカウンター。

普通の大盾ならば接近攻撃を受けるくらいだろうこの行動は地面全域を炎で焦がして視界を奪っていく。

熱線が射出され炎弾が炸裂し、炎の竜が地面を焼き尽くす。

「うう!?ど、どうなってるのこれ!」

メイプルの攻撃に貫通能力はないためダメージはないものの、背丈より高く伸びる炎の中では鬼を視認することはどうやっても出来ない。

「と、とりあえずっ!」

メイプルは兵器を地面に向けると炎を爆炎で散らして空へと飛び上がった。

目指すのは空に浮かんだままのシロップの所だ。

「【身捧ぐ慈愛】!」

兵器の中から天使の羽が伸び、メイプルの髪の色が金に変わる。

「シロップ!」

シロップの背中に刺さりにいくくらいの勢いで乗り込んだメイプルを熱線が襲う。

【身捧ぐ慈愛】のためシロップがダメージを受けることはなく、燃える地面がなくなったため何とか鬼の姿も見えるようになった。

「カウンター……?」

メイプルの使う攻撃にはメイプル自身に有効打になるものが一切ない。

故に鬼がメイプルの攻撃を模倣して使っている間は絶対に安全なのである。

「とりあえずこれが終わるまではここにいよっと!」

メイプルは熱線の中シロップの背中に座り直した。