軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化とプレゼント。

時は流れてクリスマスを少し過ぎたある日、つまりメイプルが手に入れたプレゼントボックスを開けられるようになった日である。

メイプルとサリーは偶然同じタイミングでギルドホームに姿を見せた。

「あっ、サリー久しぶり……でもないか」

「うん、まだ冬休みに入ってすぐだし別に久しぶりってほどでもないかな、この後どこか行く?」

「んー……行かないかな。今日はとりあえずプレゼント?うん、それを開けに来たんだよね」

そう言ってメイプルはインベントリから赤い箱を取り出した。

「メイプルも手に入れてたんだね。実は私も」

そう言ってサリーは黄色の箱を取り出した。メイプルの物とはまた別の包装がなされているがこれもまたプレゼントボックスとしてドロップしたものである。

サリーはプレゼントボックスを両手で持つと感慨深そうにじっと眺めた。

「いやー……大変だった。もう何体倒したか覚えてないからね……」

メイプルとしてはそう言って箱を撫で始めたサリーに私は一回で出たとは言えなかった。

メイプルは流れで聞かれるよりも先に話を変えることにした。

「うん、じゃあ早速開けちゃおう!さてさて何が出るかなっ?」

リボンを解いて二人揃って蓋をぱかっと開けるとそこにはそれぞれ巻物が一つ入っていた。

スキルを取得出来るアイテムである。

「スキルか……さてと、中身はどうかな?」

二人は自分の巻物からスキルの情報をまずは確認した。

【氷柱】

消費MP3で破壊不能な氷の柱を一本生み出す。最大五本

一分経過で消滅

【凍てつく大地】

自分を中心として半径五メートル以内の地面に接触しているプレイヤーまたはモンスターを発動から三秒間移動不能にする

三分後再使用可能

前者がサリーの得た巻物のスキル。

後者がメイプルのスキルである。

「サリー、こんなスキルだったよ」

「私のはこれ。何種類かあるみたいだね……【大海】も最近使ってないし、私はこっちの方が使うかな?んーMPも管理するかぁ」

サリーがぶつぶつと呟きながら今後のことを考え始める。

上手く使うことが出来れば少なくとも防御能力の向上は期待出来るだろうスキルだった。

「強そうなモンスターは凍らせちゃえばいいってことだね!こう、ぱぱっと!」

「まあそうだね。それでいいと思う」

「おっけーおっけー!じゃあ今年はこれで終わりかな」

「ん?そうなの?」

ログアウトしようとしたメイプルにサリーが問いかける。

「少しずつ課題終わらせないとだし、一月になったすぐも忙しいし……ちょっとの間やらないでいるかな。サリーもちゃんと課題やらないとだよ?」

「私はもう終わらせたからね、遊ぶよ?」

やる気を出した時とそうでない時の差に少し呆れつつメイプルはログアウトした。

一人残ったサリーは改めて今後の予定を考えていた。

「もうすぐまた新しい層も来そうだしおとなしくしてるか……最後の鳥居の奥のあいつは弱体化も見つかってないからまだ無理だし……機械の町辺り再探索でもしてみようかな?」

メイプルのいない間に追いついてやろうと思うサリーは珍しく具体的なビジョンを持たずに探索をしてみることにした。

「たまにはこういうのもいいかな。メイプルを見習ってね」

近々やってくる五層に期待を寄せながらサリーは三層へと向かった。

結果から言うとスキルの収穫はなく、イベントも別に起こらなかった。

サリーが出来たことは【氷柱】の使い心地を確かめることくらいである。

ただ、今回だけでサリーは【氷柱】の便利さに完全に取り憑かれた。

もともと危ない範囲攻撃はすぐに壊れてしまう使い捨ての魔法の壁で防いでいた訳である。

それが一分の間は残ってくれるとなればこれほど嬉しいことはない。

透けていなければ隠れた時に姿が見えないためなお良かったと思うサリーではあったが、そうでなくても十分だった。

さてメイプルとサリーの冬休みも終わり一月も半ばを過ぎたころ。

サリーも強く待ち望んでいた第五層が実装された。

実装当日、いち早くギルドホームへ来たサリーが待つこと少し、同じ考えを持つギルドメンバーが揃ってくる。

「おお、全員揃った!」

まさか全員が集まるとは思わなかったサリーは驚きと喜びの混じった声を上げた。

「ん?いや、メイプルがいないぞ?」

「ああ……メイプルは……」

クロムの問いにそう言えばそうだったとサリーが訳を口にする。

「インフルエンザにかかったので……今年も。いつものことです」

「そ、そうなのか。どうする?また別の日に全員で行くか?」

そのクロムの提案に対して出た意見をまとめた結果出た結論は、メイプルがいれば都合の合うメンバーが数人いるだけで倒せるだろうから、ここは今いるメンバーで先に進もうというものである。

これに反対する者はいなかった。

最悪、メイプルならば一人でもボスを倒してしまうことも出来るだろう。

こうしてメイプル抜きの【楓の木】は五層へ続くダンジョンへと向かっていった。