軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と包囲。

一度目の襲撃から一時間後。

ゾロゾロと入ってきた二百人近いプレイヤー達に【楓の木】は自軍以外のオーブを明け渡して奥へと駆け込むこととなっていた。

「まあ、奪われるのならちょうどいいくらいのギルドが来たかな?」

「ああ……で、ここからだ」

奥の部屋。

眠るメイプルの側で侵入者が追撃してくるかどうか足音を聞く。

来るのであればメイプルを起こすだけだが、侵入者達は触らぬ神に祟りなしとばかりに余計なことはせずに帰って行った。

【楓の木】のオーブを奪うということは常に【楓の木】に位置がばれてしまうということだ。

オーブ一つとの対価を考えるとすべきではないことになるだろう。

侵入者が帰っていった五分後、クロムを先頭にして台座のある部屋に戻ってきて自軍オーブを設置し直した。

「さてと……これでどこかで大規模ギルド同士の戦闘が起こるかどうか……」

呟くサリーにカスミが近寄ってきて現状のランキングを見せる。

「ランキングを見るに……中規模ギルドも次々潰されているな。間違いなくペースが上がっている」

壊滅したギルドの数を見るに四日目には大規模ギルド以外はほとんど残っていないだろうことは明白だった。

「オーブは守りきれそうなら守りたかったけど……メイプルなしであれは流石に厳しいし」

ポイントを加速出来なくてもそれはそれで次の行動がある。

サリーは出口に向かって歩いていく。

「私はさっきのギルドを追う。もしどこかで大規模戦闘が起こりそうなら……その時は……」

サリーがカナデの方を向く。

「うん、僕とサリーのスキルで」

「メイプルも連れてね」

「うん、分かってる」

「おっけー。いってくる」

そう言ってサリーは拠点から出ていった。

メイプルを起こすのはあと三時間経つかサリーから連絡があった時のどちらかである。

「まあ、もう私達を襲ってくるギルドもないだろうしのんびりしていよう」

「「そうですね」」

ユイとマイにも重要な役目が残っているのだ。

ゆっくりと休んで備えておかなければならない。

サリーは二百人近い集団を比較的早く見つけることが出来た。

集団で行動するとなると速度も落ちる。さらに進む方向も人数の利を殺さないような地形がある方に成りがちだ。

もっとも、確実ではないが今回はそれを元にした読みが当たったのである。

「まだどのギルドともぶつかってない……か」

サリーは遠くから集団を監視する。

決して見つからないように、しかし見失わないように。

彼らは多くの大規模ギルドにその位置を知られ続けている。

どこかのギルドはやってくるだろう、そう思って監視していたサリーの目に二つの炎の球が映った。

「意外……偶然?……うん、あそこは襲ってない」

炎は大地を焼き、天まで伸びてはプレイヤーを消し飛ばしていく。

迎撃の魔法が飛び交う中、爆炎を纏い圧倒的な機動力でそれを躱す一人のプレイヤーがそこにいた。

「【炎帝ノ国】か……なるほど。残りギルドも減ってきてるし十位以内を目指すギルドは【炎帝ノ国】を攻撃せざるを得ない……かな?メイプルには悪いけど……」

サリーはクロムにメッセージを送り、サリーの元に全員で集まることとなった。

一つの大規模ギルドをいとも容易く壊滅させたミィはオーブ全てを持って拠点へと帰っていく。

【炎帝ノ国】は現在五位。

メイプル襲撃というつらいイベントがなければもう少し順位は上がっていただろう。メイプルがマルクスの罠を大量に無駄遣いさせたお陰で防衛はボロボロになってしまった。

それが影響して多くのプレイヤーが死亡してしまったのである。

「このオーブを守り切れれば何とかなるか……」

ミィはオーブを奪われないように拠点へと帰り着くとオーブを設置し、肩の力を抜いた。

「さて……運よく奪えたが……」

「どこのギルドかは分からないですが、恐らく取り返しに来ますね」

隣にいたミザリーが続ける。

いくつのギルドがどのタイミングでやって来るかは分からないが、このオーブがポイントになる前には来るだろう。

「ああ……シンも呼び戻してくれ」

「分かりました」

全員を呼び寄せて万全の体制を整える。

シンも間に合い、静かに待つ【炎帝ノ国】に索敵部隊からの報告が次々に入ってくる。

その内容はどれも大規模ギルドが侵攻してきているというものだった。

【炎帝ノ国】の強さを知っている多くのギルドが周りと足並みを揃えて最後に美味しいところだけを掻っ攫おうと考えた結果、いくつもの大規模ギルドが【炎帝ノ国】を囲むという状況が生み出されたのである。

「もう来るぞ!全員、準備だ!」

「うん……頑張ろう……!」

「大丈夫大丈夫、ミィがなんとかしてくれるって」

「回復は任せて下さい」

意気込む四人だが、ミィに新たに一つのメッセージが届いた。

そこには、恐らくメイプルと思われる化物接近中、危険。

と、そう書かれていた。

ミィの顔色がすうっと悪くなる。

「嘘……もういいでしょ……ないないない……」

思わず素が出るミィに三人がどうしたのかと問いかける。

ミィはメッセージの内容を三人に伝えた。

「とてもつらい」

「俺……カスミにも負けてるんだけどなぁ……負けてるんだけどなぁ!」

「あ、はい……そう……」

マルクスはそのまま地面に寝転がってしまった。

罠の効かないメイプルにもっとも苦手意識を持っているのである。

「とてもつらい」

そうしているうちに大規模ギルドも迫ってきていた。