軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

10-1

馬車の前で、アメリアはスカートを持ち上げ頭を下げた。

「エリオット様、本日はよろしくお願いいたします」

「ああ、アメリア。よろしく頼む」

俺は落ち着かない気持ちでうなずく。

相変わらずセラの行方は見つからないが、今日は捜索を取りやめて、アメリアが精霊に力を送りにいくのに同行することになっていた。

正直、捜索の状況が気になって集中できる気がしないが、王子としてそんなことを言うわけにはいかない。

今、サフェリア王国には何かよからぬことが起こっているらしいのだから。

最近のサフェリア王国にはやけに問題が起こる。

森が荒れたり、川の水が減ったり、国の南方では原因不明の感染症まで流行りだしたと言う。

はじめは小さなことばかりでそれほど問題視していなかった。

そういうトラブルが起こるのは珍しいことではなく、その度に精霊師を派遣して解決してきたので、今回も簡単に片付くだろうと高をくくっていた。

しかし、最近はなぜかそれがうまくいかない。

優秀な精霊師を派遣して一時的に改善したとしても、すぐに問題が再発してしまう。

初めは王家と同じく楽観視していた国民たちも、だんだんと深刻になってきた。

そこで少しでも混乱を治めようと、各地に聖女アメリアを派遣して力を使ってもらうことになった。

これまでは、アメリアが力を送るのは彼女が自分から申し出てきた場所だけだった。しかし今回は特例として、被害の出た地域を順番に回ってもらうことになった。

アメリアの訪問は、相次ぐ異変に悩まされる国民たちの不安を消すための重要なものだ。

わかっているのに、どうも気乗りしない。王子失格なのはわかっているが、セラの行方が見つかるまでは集中できる気がしなかった。

憂鬱な気持ちで馬車に乗り込む。

一緒の馬車に乗ると、アメリアはいつも媚びたような声で話しかけてきたり、腕に手を絡ませてきたりしてうっとうしいことこの上ない。

今日はどうかわそうかと頭を悩ませていたが、それは杞憂に終わった。

今日のアメリアは珍しく強張った顔をして、じっと窓の外を見つめているばかりなのだ。気のせいか彼女の横顔は少し青ざめている気がした。

今回は川の水が干上がってしまったことにより、一帯が水不足に陥っている村に行くので、さすがに気負っているのかもしれない。

この女でも緊張するのだな。

俺はアメリアでさえ国の危機に気を張っているのに、今回の同行を面倒だとばかり考えていた自分を少しばかり反省した。

しかし、アメリアは村につくと、今まで通りあっという間に問題を解決してしまった。

干上がって底が見えていた川が、あっという間に水で満たされる。

村人たちは代わる代わるアメリアに握手を求め、感動した顔でお礼を言っている。

何度も見てきた光景だ。

しかし、アメリアの表情だけが違っていた。

大きな問題を解決した後だというのに、アメリアの表情はなぜか冴えない。