軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1-18

『ちょっと、セラ! 早まらないでよ!? まさかあんな馬鹿王子のために身投げするとか言い出さないよね!?』

「身投げ……。いいわね。どうして気づかなかったのかしら。私が死ねばエリオット様と結婚しようがないわ。二人の邪魔をしなくて済むじゃない!」

突如浮かんだ考えに、私はすっかり魅了されてしまった。

なんでこんな簡単なことを今まで思いつかなかったのだろう。

私がエリオット様のために出来ることがあったのだ。

恍惚とする私を、シリウスは私の服の袖に噛みついて引っ張りながら、慌てた声で止める。

『セラ、一度冷静になって! セラがあんな奴らのために死ぬ必要ない!』

「大丈夫よ、シリウス。本当に死ぬつもりはないわ」

『え?』

シリウスはぽかんとした顔で私を見た。

「私が死んだことにすればいいのよ。遺書を書いて崖か何かに血の付いた服の切れ端を置いておけば、きっと死んだと思ってくれるわ! それで私はどこかへ逃げてしまえばいいのよ!」

『えー……。まぁ、死ぬ気がないのはよかったけどさ……。セラがそこまでする必要ある?』

シリウスはげんなりした顔で言う。

「あるわ。私はエリオット様に少しでも恩返しをしなければならないの!」

『ふーん。今やってることで十分過ぎるくらいだと思うけど……』

シリウスは勢い込んで言う私に、納得のいっていなそうな顔を向ける。

しかし、何かに気づいたように耳をパタパタ動かすと、明るい声で言った。

『いや、やっぱりありかもしれない。どこか遠い場所に行くのもいいかもね』

「シリウス、賛成してくれるの!?」

『うん。よく考えたら、セラはずっとこんな場所に閉じ込められて搾取されているより、自由な場所へ行った方が良い気がしてきた』

「あら、私搾取なんてされてないわ。でも、そうね。エリオット様と離れるのはつらいけれど、自由になるのだと考えたら少し気が楽になるわ」

出来ることなら、私がそばにいてエリオット様を幸せにしてあげたい。

けれど、何の力も持たない私では無理だ。

それはとても悲しいことだけれど、新たな人生を始めるのだと思えば少し元気が湧いてくる。

「早速準備しないと! シリウス、手伝ってくれる?」

『いいよ。協力してあげる』

シリウスは尻尾をぱたぱた動かしながらそう言った。

私は別邸に戻ると、早速死の偽装工作の準備を始めた。

寂しさは消えなかったけれど、エリオット様の幸せと、新たな生活を思うと、今まで感じたことのない晴れやかな気持ちが胸に広がった。