軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

15話

今日は、本当に驚いたわ。

だって書類上だけでも夫である方がいきなりお店に入ってこられたのですから。

その上、名物となったアップルパイをわざわざご自分で買いにこられるなんて思いもしなかったわ。

私はご主人が対応している間にそっと厨房に隠れてしまった。

一応は書類上だけの妻でも、パン屋さんで働いているのが分かったら、叱られそうな気がして思わず隠れてしまったというのに、何も知らないご主人は私に仕事を任せるなんて……。

『今日は少し早めだが、これを領主様に届けたらそのまま上がって構わない』

そう言って、ご主人はわざわざ丁寧な地図まで書いて渡してくれたのです。

私は流石に毎日帰っている住まいと同じ敷地内ですと言える筈もなく、罪悪感を感じながら地図とアップルパイを受け取り帰路に就きました。

そして本宅に着くと丁度、門番が居たので、その方に頼むことにしました。

「これは、領主様が、ご注文なさった品物です」

そう告げてアップルパイの入った箱を渡してから、いつもの別宅へと帰りました。

いくら別の出入り口があるといっても、私は誰にも見られないよう、辺りを見回しながらそっと中に入りました。

やっと部屋に着いたけれど、何だか今日はとても疲れてしまっていたので、湯浴みはせずに頂いたパンだけを食べて直ぐに横になることにしました。

翌朝。

昨夜は疲れてすぐに寝てしまったので、今朝はいつもより早くに目が覚めてしまいました。

たまには朝の散歩もいいかしらと、気分転換に外へ出ることにしました。

朝の光がとても気持ちよく、清々しい気持ちに満たされます。

良く寝たおかげで、とっても爽やかな朝を迎えられました。

私は軽く背伸びをしてから、朝の散歩を楽しみました。

ふと気づけば本宅の方へと目を向けていました。

『アップルパイは気に入ってくださったかしら』

何故か、気になり呟いていました。