軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12話

その後、私はランカスターと共に別宅へ様子を見に行った。

すると驚いた事にあれほどホコリまみれの部屋がどこもかしこもすっかり綺麗になっていた。

まさか、彼女が(もっとも会った事もないのだが)一人でやったのか? 仮にも貴族の娘だぞ。だが、本当に彼女がやったのだろう、屋敷のメイド達は誰一人として関知してないのだから。

私は、己の取り返しのつかない不手際に、今さらながら背筋が凍る思いがした。

半年以上前、砦へ向かう直前の私は、ランカスターに『メイドたちへの指示は、後で自分から伝令を出す』と言い残していた。しかし、いざ砦に着くと連日の小競り合いに対応することに忙殺され、あろうことか、その伝令を出すことを完全に失念していたのだ。

何ということだ。あの日、嫁いできたばかりの彼女は、埃の積もった荒れ果てた部屋に案内され、一人きりで取り残されたのか。想像するだけで、頭を抱えたくなった。

ランカスターは彼女が嫁いで来た日に一度だけ会っているが清楚な令嬢で、どう見ても貴族令嬢にしか見えないと言っていた。そんな彼女になんてことを……。

それにしてもそのような女性が、これほど完璧に掃除をし、おまけに料理までしている様子だ。台所には、見たこともないほど様々な調味料が揃っている。

これほど生活の気配があるというのに、彼女の姿は見当たらない。

どこかへ出掛けているのだろうか。それとも時々しか戻らないのか。

だが、彼女の不在以上に、今の私には気にかかることがあった。

確か実家は困窮していたからこそ、こんな条件の男の所に嫁いできた筈だ。

だったらこんなに長い期間の生活費はどうしていたのだ? 考えれば考える程、頭が痛くなる。

暫く待っていたが、帰って来る気配は無いので今日のところは本宅へと戻ることにした。

しかし、本当にまだここに居たとは、何と言い訳をしたらよいのか一切、言葉も見つからない。

下手な言い訳ならいっそ、本当のことを言うべきなのかもしれないと覚悟を決めた。決めたつもりが、やはりいざとなると勇気が出ない。