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王宮知恵袋。妻と別れたくないので相談にのってください

作者: 香月航

本文

【質問者 K】

初めての投稿ですので、失礼があったらすみません。

自分は新婚夫婦の夫のほうです。結婚してからは半年ですが、妻との交際期間は六年あります。いわゆる大恋愛での結婚だと自負しております。

その妻が、最近「別れてほしい」と度々訴えてくるようになってしまいました。

私はずっと妻一筋で、彼女以外など眼中に入れたこともありません。別れるなんて考えるのも嫌です。

離婚回避のために、お力添えをいただけますと幸いです。

守秘義務があるので詳しくは書けませんが、私は公務員のような仕事についています。

妻も同じ職種でしたが、ここ一か月ほど体調を崩しているため、在宅でできる仕事を少しだけやっている状況です。(これは私が頼み込んだものです。体調第一にしてほしいので)

それなりに多忙ではありますが、朝・晩の食事は必ず一緒にとるようにしていますし、夜の営みも普通にあります。

結婚前に『どちらかが苦痛になったらすぐにやめる』と取り決めをしたので、今回の問題ではない……と思いたいです。

妻が別れたい理由について確認したところ『私(夫)に不満はない。ただ、自分では釣り合わない』という一点のみでした。何度聞いてもこれだけです。

自分たち夫婦には多少身分差があるのですが(私のほうが少しだけ上です)それを承知の上で結婚したので、今になって持ち出してくることにどうにも違和感を覚えてしまいます。

直せるところは直したいと思っても、私自身に不満はないと言われてしまえば、どうにもできません。

ちなみに、妻が浮気をしている可能性はゼロです。絶対にないと断言できます。

私はどうしても妻と別れたくないのです。何とぞ、ご助力をお願いいたします。

〔追記〕

妻の生家は毒親と呼ぶのもおこがましいほどのクソで、結婚前に絶縁しています。

犯罪にかかわっている者もいたので、二度と妻と会うことがないよう、しかるべき機関にぶち込んで対応しました。

これが三年前のことで、以降は信頼できる医師やカウンセラーとの治療を二人で続け、ようやく半年前に結婚できた形になります。

そのため、妻の自己評価が人様よりも低い可能性はあるのですが、これも関係ありますでしょうか。

【回答者 M】★ベストアンサー★

質問拝見いたしました。大変な事情を経てのご成婚だったご様子ですので、心中お察しいたします。

質問者様の書き込みに偽りがないのでしたら、原因は質問者様ではなく、結婚後の奥様をとりまく環境にあるように思えます。

結婚してから奥様と親しくなった人物や、傍にいるようになった人物にお心当たりはありませんか?

もしそのような方が思いあたるならば、一度先入観を除いて、調査してみることをおすすめいたします。何かよからぬことを吹き込んでいたり、後ろ向きな考え方に誘導されているかもしれません。

問題が一日でも早く解決されることを祈っております。

↑返信【質問者 K】

ご回答ありがとうございました。

あれから妻の身辺を調査したところ、結婚後に傍付きになった侍女の一人が、ないことないことを彼女に吹き込み、心を病ませていたことが発覚いたしました。

侍女の選考も妻本人にお願いしたので信用していたのですが、どうやら分厚い猫をかぶっていたようです。

危うく私たちの愛の結晶が流れてしまうところでしたので、原因の侍女は現世と縁を切らせて解決いたしました。最悪の事態になる前に対処できて本当によかったです。

本当にありがとうございました!

「いや、質問者KってキングのKかよ!!」

城勤めたちの共用休憩所の掲示板でのやりとりを見て、『回答者M』こと一般文官モブは悲鳴のような声をあげた。

確かに、彼の妻こと王妃はとある伯爵家の出なのだが、親がとんでもないクソ野郎で結婚までに大変な騒動を経ている。

もちろん、しかるべき機関こと王国騎士団がしょっぴいた上で、現在は大半が空の上だ。〝二度と会うことがない〟とは、物理的に無理という意味なのだから。

その後、陛下の親戚の公爵家が彼女を養女とし、精神面の快復を待ってから結婚に辿りついた……という、王国民には有名な大恋愛話だ。

そして数日前、王妃付きの侍女として雇われていた某侯爵家の三女が捕縛された。

どうやら彼女は生家が王妃よりも上であることを笠に着て、「お前は相応しくない」という侮辱や洗脳めいたことを繰り返していたらしい。

王妃のお腹には待望の御子もいたため、彼女の行動は悪質と判断。指示していた父親たちも含めて、もれなく首が飛んだ。こっちも物理的に。

(陛下が唯一の妻を溺愛していることなんて幼子でも知っているのに、馬鹿な女たちだな)

王妃の傍付きには厳しいチェック体制が取り入れられたので、再発はまあないだろう。

もしまだやらかす輩がいるのなら、それは死にたがりの愚者だ。処刑人が儲かるだけである。

「それにしても、天上人がこんなところの掲示板を利用しないでくださいよ……」

粗末な板に張り付けられているのは、同じく梳きの甘い粗雑な紙の束だ。

下っ端たちが飲み会の募集や下ネタの投稿で賑やかす場を国王陛下が利用するなど、一体誰が予想できるだろうか。

質問文が丁寧だったので己も合わせて返答したが、適当なノリで返さなくて本当によかったと痛感する。やらかしていたら、自分の首も危うかったかもしれない。

「まさか、他にも高貴な方の投稿とかないよな……大丈夫だって信じてるぞ」

なんて心配を呟きつつ、国王夫妻を救ったモブはそそくさと休憩所を後にする。

ここからずいぶん離れた王族用の薔薇園では、掲示板のおかげで離婚を回避できた二人が、仲睦まじく寄り添っていた。