軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第48話 銃と新種の魔物

つい最近、拳銃を使ったことがあるからそれが銃声であることはすぐに理解した。

だが一体誰が銃を撃ったのか。

それは攻撃を受けるまでは全く分からなかった。

「ゴブリンアサシンか!」

背後を振り返って俺はその攻撃をした奴の姿を確認する。

隠密行動に優れており、気配や姿を消すことを得意とするゴブリンの上位種である。

ただ移動や攻撃する際などにはその隠形も解除しなければならないので、本来なら隠形してからの飛び道具の攻撃でも回避することはできなくもない。

仮にその状態で投げナイフや弓を放たれても矢が届く前に今の俺なら回避することも十分に可能だからだ。

だが流石に隠形状態で待ち伏せして、更にその手に握られていた拳銃から放たれた弾を気付いてから回避するのは無理だった。

「クー!」

隠れていたゴブリンアサシンは二体。

それぞれが獲物である俺とクーに弾丸を放っている。

だから食事をしていて隙だらけだろうクーを思わず心配したのだが、

「ギャー」

その心配は無用とばかりに無傷だった。それどころかその鋭い牙で放たれた弾丸を咥えて止めているではないか。

そしてそのまま咥えた弾丸も咀嚼してみせる。

(……流石は竜。人間とは生物としての格が違うな)

ただ生憎と銃弾はお気に召さなかったらしい。

吐き出さず呑み込んだものの、すぐに口直しをするかのように魔石を口に含んでいるし。

かくいう俺も衝撃を受けた肩に少し傷があるくらいで無事だった。

何故なら今の俺もステータスのおかげで拳銃程度の弾丸ではほとんど傷を負わない肉体となっているので。

なにせ魔闘気を使用しない素の73のVITでも至近距離からの拳銃の弾が肉体を貫通しないのだ。

流石に撃たれた腕や手は無傷とはいかずそれなりの痛みや出血もあったが、逆に言えば至近距離でもその程度。

戦闘続行も可能な程度の損傷だし、それも回復薬ですぐに治ったくらいである。

更に言えば、魔闘気を使えば銃弾が肌に弾かれて痛みも傷もないという始末。

そこまでいくと威力が強力な銃に変わっても問題なさそうだった。

それをどうやって確認したかって?

つい最近、偶然にも複数の拳銃を手に入れる機会があったので、それらを使って自分達で色々と試したのだ。

スキル継承の件もあって人間から銃を向けられる可能性もあり得ると思ったからこそ、今の俺はどのくらいまで人間が使う兵器に耐えられるのかと。

ただまさか魔物に銃を撃たれるとは俺も思ってもみなかったが。

その光景を見て拳銃による銃撃が効かないと分かったのか、ゴブリンアサシンたちは逃げようとする。

「逃がすかよ」

魔闘気を使うまでもない。俺はオークナイトの大剣をインベントリから取り出すと、逃げようとする一体の頭を背後からかち割って仕留める。

そして残る一体もすぐに殺そうとして、

「ギャー」

既にクーの放たれた空気砲によって仕留められるのを確認した。

食事をしながら片手間に敵を仕留めるその姿は余裕そのものと言ったところだろうか。

「……もしかしてお前、最初からアサシンの存在に気付いてたのか?」

「ギャ」

当たり前だろ、というように鼻を鳴らす。

それもそうか、隠されていた結界まで見抜いたこいつがゴブリンアサシンのことを分からない訳もないよな。

落ちていた魔石を粗方食べ終えたクーは俺の頭の上に飛び乗ると、尻尾でペシペシとこちらの後頭部辺りを叩いてくる。

まるでしっかりしろよ、とでも言うかのように。

「……分かったよ、隠形を見抜けるスキルは取っておくって」

「ギャー!」

その返事に対して満足そうにクーは鳴くのだった。

その後、クーの協力もあって隠れていた魔物含めて殲滅は完了した。

ゴブリンダンジョンの鍵も無事手に入れている。

ただその過程で気になったこともある。

「ゴブリンガンナーの魔石か。こんな奴、向こうでは見たことも聞いたこともないな」

ゴブリンアサシンが使った拳銃は恐らく自衛隊が使っていた物だと思う。

それが分かるのはオークキング戦で使った手榴弾などを回収した時に、俺も同じ物を幾つか手に入れているからだ。

だからたぶんゴブリン共も俺と同じような形でそれらを入手したのだと思われる。

それに俺だってオークナイトなどから武器を奪っているのだ。

相手も同じことができてもおかしなことではない。

だが上の階で待ち構えていた個体が持つ銃は、明らかにそれらとは別物だったのだ。

そしてなによりオークナイトの大剣のように、所有者である魔物本人を倒した際に消滅したのである。

(ショップにも新しい武器として追加されてるみたいだし間違いないな)

明らかに普通ではない銃だったこともあって念のために武器を奪ってから倒して正解だったようだ。

いやよく見れば、新しいスキルもショップに増えているではないか。

追加された武器の名称は魔導銃。

スキルの名前はオートリロードというものだった。

これまで通常の銃を使ってもオートリロードのスキルが追加されなかったところから察するに、この魔導銃を手に入れることがスキル習得の条件だったというところだろうか。

新種の魔物に、異世界でも見たことも無い武器。

そしてそれ用と思われるスキル。

これまでの経験から分かっていたことではあるが、どうやら異世界とは変わっている点も色々とありそうだ。

それも一つや二つではすまないくらいに。

ただ何はともあれゴブリンダンジョンに入るための鍵は手に入れたことで一番の目的は達しているのだ。

(まずはゴブリンダンジョンの攻略。それ以外のことは後々に考えよう)

この鍵もオークダンジョンの時のように今日の零時までしか使えないようだし、もたもたして時間が来て使う機会を失うなんてことのないようにしなければ。

「助かったよ、クー。それでこれから俺はダンジョン攻略に向かうけどお前も来るか?」

「キュー……ギュ!」

クーは首を横に振る。

どうやらそろそろ置いてきた茜が心配だから彼女の元に戻るらしい。

異世界からこっちに付いてきた時点で分かっていたことだが、本当に茜のことが大好きらしい。

「分かった、なら送り返すぞ」

今のINTなら茜のいる場所まで俺以外の存在を転移させることもできる。

姿を透明化してもらって送れば他の誰かに見つかることもないだろう。

「ギャー」

そうしてクーを転移させる前、しっかりやれよと言われたことが分かって苦笑するしかない俺だった。