軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第33話 ダンジョンクリアと報酬

無限魔力と魔力譲渡を駆使してMPを魔法陣に流し込むことしばらく、ようやく必要なエネルギーを満たすことができた。

すると他の脱出ポイントと同じように、いやその時よりもずっと眩く神々しい光を魔法陣が放ち始める。

『奉納による敵性ダンジョンの解放が確認されました』

そしていつもように謎の声が頭の中に響いてくる。相変わらずその内容については分かり難いことこの上なかったが。

魔法陣の発光はそれほど長い間は続かず、やがて発する光は穏やかになっていく。

「ん?」

そこで魔法陣の中心付近に先ほどまではなかった何かが落ちているのが目についた。

それも一つではなく複数。

「また鍵か」

その内の一つは門番だったオークナイトを倒した時に手に入れた物に酷似していた。

だとするとこれもダンジョンに何らかの影響を及ぼすことが可能なアイテムといったところだろうか。

あとは見たことも無い鉱石のような物体が五つ落ちている。

どれも野球ボールくらいの大きさで、宝石の原石みたいな感じと言えば分かり易いだろうか。

(これが報酬なのか?)

分からないが、こういう謎のアイテムの名前を確かめる方法は一つ。ショップで売れるか確認すればいいのだ。

そう思って鍵と鉱石を拾った途端、

『人類陣営がオークダンジョンのマスターキーを奪取したことを確認しました。それにより邪神陣営に奪われた陣地を取り返すことに成功しました。オークダンジョンの消滅が開始されます。オークダンジョン内に存在する人類陣営の存在は安全確保のためダンジョン外に排出されます』

「は?」

そんな言葉が聞こえたと思ったら、俺の視界は真っ白な光で埋め尽くされた。

気が付くと国会議事堂前に俺は戻ってきていた。脱出ポイントで脱出石を使った時のように。

「……中には入れないと」

一応ダンジョンに入れるか確認してみたが、透明な障壁が復活したかのように一定の距離から近付くことが出来なかった。

また今回はオークダンジョンのマスターキーとやらを使っても壊せそうもなかった。

「いったい何がどうなってるやら」

とりあえず手に入れた鍵と鉱石をショップで売却できるか試した結果、売却不可なアイテムであることとその名前が判明する。

鍵の方は謎の声が告げていたようにオークダンジョンのマスターキーで鉱石と思った代物は聖樹の種というらしい。

「これが種なのか」

どう見ても植物とは思えない見た目をしているのだが、ショップでそういう風に出る以上は信じるしかあるまい。

「で、これはどこに植えればいいんだ? そもそも植えるのであってるのか?」

これを見ている存在に何らかの反応を求めて呟くが答えは一向に返ってこない。

どうやらこれも自力で調べろということだろう。本当に不親切な話である。

それに先生がユニークスキルで調べた時に分かった、ボスを倒すと人類にとって利となる何かが起こるという話だが、今のところそんな兆候は微塵も感じられない。

「……とりあえず戻るか」

しばらく待っても変化がないので、ここは大人しく戻るとしよう。

それ以外にここでやれることなどないし、先生のスキルなら謎だらけの現状についても何らかの答えを齎してくれるはずなので。

(もしかしたらダンジョンが消えたことでオークが復活しなくなってる、なんてこともあるかもしれないしな)

半ば強引に自分をそう納得させて念話で茜達と連絡を取ろうとした時だった。

背筋にゾクリとするような危機を知らせる感覚が走ったのは。

「っつ!?」

そこからの行動は考えてのことではなく反射だった。

咄嗟に近くの転移マーカーへと移動してその場から退避して、その行動が正しかったことは次の瞬間に証明された。

何故なら俺が先ほどまで立っていた場所には上から降ってきた黒い何かが存在していたからだ。

あのまま動かなければ俺はその黒い塊をまともにくらっていただろう。

明らかに危険を感じさせるその禍々しい黒い何かを。

「貴様、どうやって今の攻撃を躱した?」

そして上空を見上げれば、何者かが悠然と宙に浮かんだ状態でこちらを見下ろしていた。

そいつの頭部には二本の角があり、背中からは蝙蝠のような翼が広がっている。その姿を見て俺には思い当たる存在があった。

「魔族か。やっぱりお前らもこっちに来てたのか」

魔族。

別名、知恵のある魔物。

異世界において本能のままに暴れ回る魔物の上位存在であり、多くの魔物を統括する者。

知恵がある分だけ人類にとってより脅威となっていた存在の総称だ。

「なるほど、それが分かるということは貴様も異世界からの帰還者だな。その妙な移動方法もその恩恵といったところか。厄介な」

そう呟きながら魔族は地面へと降り立つ。

その敵意を隠さない眼はしっかりと俺を捉え続け、とても逃がしてくれるなんてことはなさそうだった。