軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第24話 魔物の居城

撤退した後は休息を取った。

いくら無限の魔力を持っていたとしても俺の体力には限界があるので。

疲労から判断ミスをしないためにも自身を限界ギリギリまで追い込むようなことはしない。

どうしようもない状況に陥らない限り無理は決してしない。

それが生き残るために必要なことだと異世界で嫌というほど思い知ったのだから。

(そしてどうしようもない状況に陥らないように準備を怠らない重要性もな)

休息がてら避難所へと退避した家族が大丈夫か確認したり、茜からグールの討伐状況などを聞いたりして過ごす。

なおその際に家族の中でも事情を説明した由里からは色々と聞かれたが、無理しない程度に魔物を倒して状況を確認しているとだけ言っておいた。

下手にボスを倒すために色々動いていると言っても心配させるだけだろうし。

そんなこんなで避難所に設置されたテレビを見ていたのだが、

「……世界中が大混乱に陥ってるな」

まだテレビ放送も完全に死んではいないらしく、この異常事態に対する警告や各地の被害の状況などについて流れている。

そこでは日本だけでもかなりの死傷者や行方不明者が出ているとアナウンサーが言っていた。

(行方不明者が多くて死者が少ないのは死人がグールとなってるからだな)

損壊が激しくない死体は時間経過でグールとなり、グールは倒せば御霊石を残して肉体は跡形もなく消え去ってしまう。

そうなれば死体がないので扱いとしては行方不明者になるという寸法だ。

だからこの行方不明者の多くは死亡しているのだろうと予想ができた。

必死に生きていることを信じている彼らの身内などには気の毒な話だが。

更にスマホで世界の状況を調べてみたが、どこも同じように混乱しているようだった。

その中には死体がバケモノになるという書き込みなども徐々に増えてきているようで、この分だとグールのことやステータスカードのことなどが明らかになるのも時間の問題だろう。

「ん、これは……」

色々と調べている内にSNS上に上げられたとある海外の動画が目についた。

それはアメリカの郊外らしき場所で撮られた映像であり、内容は軍隊が魔物を排除していくというものである。

(あっちの魔物はトレントなのか。やっぱり場所によって出現する魔物の種類は違うんだな)

トレントは動く木のような魔物と言えば分かり易いだろうか。

だたしその肉体は木のように見えても実際の硬さは鋼鉄のようで生半可な攻撃では傷一つ付けられない。

ただ代わりに炎に弱く、異世界では火魔法などの弱点で攻撃すれば割と倒し易い魔物ではあった。

そのトレントだが、映像の中では浴びせられる銃弾の雨やミサイルらしきものなどに蹂躙されている。

(それなりに頑丈な魔物でも流石に銃弾には敵わないのか)

アメリカの軍が動いているのだろう。

軍人らしき人物から放たれる数多の弾丸によってトレントの身体は抉られ、やがて形を保つことができなくなって魔石となっていく。

その際には当然ながら魔石が落ちているようだが、それでもお構いなしに銃弾は降り注ぎ続けていた。

そのままその周辺一帯は制圧されて、動画のコメントでは称賛の嵐が巻き起こっている。

当然現れたバケモノに対しても人類の兵器は負けてはいない。

この調子ならきっとバケモノを駆逐して奪われた土地などを取り戻すのもそう難しいことではないと期待して。

だけど俺はそう上手く事が運ぶとは思えなかった。

(自衛隊も同じようにして魔物を駆逐したはず。だけど実際には翌日に魔物は復活を果たしたんだからな)

そう思ってその動画の続きを見ていたのだが、ふとおかしな点に気付いた。

攻撃の余波によって周辺の建物などはほとんど吹き飛び、良くて半壊となっている。

だがその中で一つの建物だけ、まるで全ての銃弾などが当たらなかったかのように無傷で健在なものがあったのだ。

そして色々な国の映像を見返すと、同じように不自然なほどに荒らされた様子のない建物や空間などが存在していることが確認できた。

(そう言えば日本の国会議事堂も入口が無事だったし、今にして思えばどこも壊れているようには見えなかった)

オークが暴れ回ったのならそれなりの被害で出ておかしくないはず。

実際に他のビルなどハ火事になるなどの被害が多数出ていることは確認できているのだから。

「……もしかして魔物の居城には外からの攻撃が通らないのか?」

そこにボスがいるのかどうかまでは分からないが、魔物の復活するスポットがそういう防御に守られているのなら中々殲滅できないのも頷けた。

そしてもしかしたらそこをどうにかして破壊できれば、魔物の復活が止まるという可能性もある。

(外からは無理でも中からならイケるとかか? なんにしても仮説が正しいのか検証する必要がある)

あるいは最悪な可能性として破壊不能なこともあり得るが、今はどうにかできることを信じて色々試してみるしかないだろう。

無理なら無理で対応の仕方を変えなければならなないし。

「それにしても、いつまでSNSとかも使えるのかねえ」

段々と魔物が出現する地域は増えているとのことだし、これが続けばスマホはおろかテレビやラジオ、電話なども使えなくなる時が訪れるかもしれない。

そうなったら一般人の遠距離での連絡手段が失われることに等しい。

(家族には転移用のマーカーだけじゃなくて念話の登録もしていくか)

いざという時に連絡が取れないなんてことに陥らないためにも。