軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12階層建築後・ダンマス視点

12階層の効能は何にしよう。

第1部隊によるブートキャンプ期間に半年ほど考える時間があったにも関わらず、俺は特に何も考えていなかった。

何もしないで見守る期間、とか言って時間を空けるとむしろスカスカとアイデアは抜けていく。

成長に合わせた勢いで考えないと、意外と何も思いつかないものである。

ただ、このぼんやりと眺めている期間中に思ったのは、お風呂はいいけどただお湯に浸かってるだけの姿はちょっと寂しいな、と感じ始めた。

だから、そうだ! 泡だ! 泡で身体を洗うエロエロな姿を拝もう!

と思いたって、泡風呂階層を作りあげたのだ。

効能? 知らん、ただ俺は泡にまみれた女騎士の肢体が見たかっただけだ。

そんなわけで効能は後付で考えた、いい香りが長時間……そうだな、1ヶ月ほど持つようにしよう。

それだけじゃちょっと効果がしょぼいので、ワキや足やお股の気になる悪い匂いは永続で消える効果もいれてやろう。

ヤバい体臭に悩む淑女がいたら、なんとしてでもすっ飛んでくることだろう。

ついでにそろそろ、持ち帰りができるものも作りたかったので、石鹸の壁をいくらでも持ち帰れるようにした。

石鹸に特殊な効果をもたせると、ちょっとポイントがかさみすぎるので、石鹸自体には特に超常現象的な効能はない。

日本のホームセンターで買えるような、至極普通の石鹸である、これなら山のように出してもそれほどポイントはかからなかった。

たぶんそれでも結構な価値はあるだろう、どんどん持って帰ってくれ。

そして、石鹸で身体を洗って、泡の裸体を見せてください。

とまあ、12階層を作った理由はスケベ9割なので、ダンジョンの経営としてはあまり深い理由はない。

今の第2部隊の強さなら、トウジ隊長が言っていたように20階層くらいなら対応可能なはずなので。

今は趣味で適当な階層を多少作っても問題はないはずだ。

まあ、20まで対応できるってだけで、実際20まで行くと死者がでそうだから、安全なのは18階層くらいまでかな?

飯困らずダンジョンの方も、高額な宝石やチョコがでたことによって10階層にわらわらと人が集まり始めてきた。

ちなみに今ではチョコレートが出た時には、冒険者たちがチョコレートが出たぞと普通に言っていた。

最初は、ああん? 何で? 何でこっちでもチョコレートがチョコレートって名前で呼ばれるんだ?

って思ったが、よく考えれば俺は異世界語が瘴気で翻訳されている言葉を聞いているのだから当たり前である。

たとえば現地人が、チョコレートに「うんこちんちんおならぷー」と名付けた所で、俺の耳には翻訳されてチョコレートに聞こえるのだ。

そういや飯困らずダンジョンに生えてる作物も、いまでは普通にトウモロコシだのメロンだのと呼ばれてたな。

わかりやすくていい反面、少しつまらなくもある。

「うへへへへへへへへへ、今日も人がいっぱいキタキタ~~、伸びる、まだまだ私のダンジョンは伸びる~~」

ペタちゃんもまた、10階層に人が増えたことで、ポイントが急増してご満悦だ。

おそらくこのご満悦はしばらく続くだろう、なにしろここからしばらくの間、特に不都合が発生する気がしないからだ。

今はしばらく、欲しいものが出るダンジョンを作ればひたすら伸びる要素しかない。

問題となるのは、騎士……というか人間の実力が追いつかなくなってくる20階層後半からだろうな。

……と、そんな先の話を今から考えるのはよくないか。

とりあえず、今の状態をよく見極めないといけない。

石鹸が取れる泡風呂階層の評判を見ながら、次の階層の内容を考えないとな。

そうして、俺達はまたしばらくの間、見物を続けることにした。

12階層から戻った騎士達は、数日後、ものすごい人数を引き連れて温泉ダンジョンに入ってきた。

こんなにいる? ってくらいの大人数だ、セパンスの女騎士ほぼ全員出撃してるんじゃないだろうか。

後方には見知らぬ貴族の人と付き人が大勢いるので、おそらくは他国の要人なのだろう。

「こんな薄暗いダンジョンに入るなんて……」「美肌を手に入れるためよ……頑張れ私」

そんな事を言いながら、おそるおそるダンジョンの中へと入っていく、周辺の男のお付きは心配そうに入口の外で見ている。

あらゆる階級の貴族の女性が入っているこのダンジョンには、貞操や醜聞を防ぐ関係上、男は基本入れないからな、男子絶対禁制の後宮みたいなものだ。

男が来るのは、9階層の湯船を探す懸賞金をかけられていた時期に、例外処置で入場許可が出されていた時と。

あとは体を治してもらうことが国益につながる人材が、ガチガチの見張りを付けて9階層の湯に入ることが認可された時くらいである。

姫っぽい人の周りのお付きのメイドも、慣れない防具に身を包んで、さすまたのような棒を持たされている。

おそらくド素人が刃を持ったら逆に危ないからだろう。

「戦わなくていい……戦わなくていい、私達はただお嬢様に悪いものを近寄らせないようにするだけ……」

そんな感じでプルプル震えながらご主人の周りを取り囲んで進んでいく。

うーん、懐かしい光景だね、普段箸より重いものを持ったことのないような淑女が、ダンジョンの奥へと挑む光景。

初期の頃の温泉ダンジョンで、よく見た光景だ。

はじめは、イヤーン私こんな所に入るなんて無理ぃ~~、って言ってた娘でも。

そのうち軽い防具に身を包んだ格好で、小回りの利く短いヤリを持ち。

周りの護衛が敵を始末するまでの間、モンスターが近寄れないように切っ先を敵に向け続け、防御に徹する。

……くらいの動きはするようになっていくからな。

6階層深部まで行くのは、道中何度も殺意マシマシの猿や野犬がわんさか出てくる、かなり高い山の頂上まで登るくらいにはしんどそうな道のりなのだ。

何度もこなしてると、嫌でもそれなりにたくましくなってしまう。

しかし彼女たちは、筋金入りの淑女っぽいので2階層の湯までが限界だろう。

モンスターが全くいなければ、片道1時間半くらいのゆる山ハイキングコースくらいのものなのだがこのお嬢様達には結構しんどいだろう。

そして3時間後、彼女たちはようやく2階層の湯船にたどり着いた。

息も絶え絶えにやっと着きましたわ……といったような様子で他所の国の姫様が目的地の近くを見ると、ズラッと並んだ行列にギョッとしていた。

行列している市民は、みんなヤリを携えてのんびりと談笑していた。

それも護衛や若い娘だけではない、小さな女の子やおばあちゃんまでもが槍を握って並んでいるその姿は、正直非現実的で不気味な光景である。

さらには、行列に向かってイタチのような獣が、洞窟の横穴から這い出して突如襲いかかってきたが、まるで慣れたことかのように皆一斉に獣に向かって槍を向けた。

そしてイタチが槍の間合いに入ってくると、イタチは同時に多方向から槍で貫かれ絶命して消えた。

モンスターを倒したあとは何事もなかったかのように、行列は雑談を始めた。

それを見ていた姫っぽい人達はドン引きしていた。

「……ずいぶんたくましくなったよな……2階層の湯に頻繁に入りに来るようになった人も」

その様子を見ていた他国の姫っぽい人達も大人しく行列に並んだ。

2階層の湯に入る時には、さっそく石鹸も使われていた、うむ、いいことだ。

……おいおい、メイドたち、偉い人を洗ったあとの残った泡で自分を洗うのはやめなさい、あさましい。

まあ石鹸は温泉ダンジョンの最新の出土品だ、たぶんそれだけのことをしたくなる値段がするんだろうなきっと……、どんだけボッた値段で売ってるんだろうか?

そのあとの、3階層、4階層、5階層、6階層は第2部隊の騎士にタンカみたいなものでテキパキと運ばれていた。

2階層まででヒイヒイ言っているようではどうせ歩けないだろうと判断されたのだろう。

さすがは半年第1部隊にしごかれていたメンバーである、人をかついで6階層まで運ぶくらいなんでもなくなっているようだ。

ただ、運んでもらうのには相当な費用はかかるみたいなので、タンカで運ばれるのは姫や貴族だけらしく。

そいつらのお付きのメイド達は死にそうな顔でついて行っていた。

そして国外の貴族たちを6階層の湯まで運んだあとは、ある程度の護衛を残して、残りの超大量の女騎士はみんな深部へと潜って行ってしまった。

あれ、護衛じゃなくて奥の探索のために大人数を連れてきたのか?

石鹸を大量に持ち帰らせるつもりなのかな?

俺はそんなふうに探索の様子を見ていた。