軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

744.ソリ着地!

「うぉぉおおぉぉぉーーー!!」

「すごぴよーー!!」

「わふふふーーー!!」

ほぼ垂直で落下することなど人生でそうあるわけではない。幸いなのは、ほとんど揺れがないことだ。滑らかな雪と崖を直角に爆走している。

つまりこれは、ジェットコースターなのだ。前のナナが唐突に叫ぶ。

「突起を発見! 右に修正ーー!!」

「ぉああぁぁああーー!」

「みぎぴよーー!!」

「曲がったんだぞー!!」

ナナが体重を傾け、ぐいいーっと絶妙に曲がる。俺はどこに突起があるのかすらわからないまま、傾きを味わうことになった。

「うぉぉおおおーーっ!」

俺はこんなに大声を出せたのか、というほど叫びが止まらないままソリはあっという間に崖下へと到着しようとする。

「わふー、ところでこれはどうやって止まるんだぞ!?」

「ぴよ! いい感じに止まるはずぴよ!」

「……」

「ナナ! どうして黙っているんだ!?」

そうだ、世界には慣性の法則というものがある。崖下に行っても、このままの速度なのだ。それともずっと滑っていけば、段々と遅くなって止まるのだろうか。

というところまで考えて、俺はソリの前に人が立っているのを見つけた。

ステラだ!

疾走――いや、ほとんど暴走しているソリの前に立って、何を? 問うまでもない。ステラは屈んで、明らかにソリを止めようとしていた。

もう俺が何をするのも間に合わない。そのままソリはステラに激突しようとする。

「えーい!!」

一瞬、膨大な魔力がステラから放出された。ソリの先端をステラが掴む。普通なら大事故になっているはずだ。

しかしステラはまったく動くことなく、ソリを受け止める。ちなみに片手でだ――もう片方の手は絶妙なタイミングで俺を受け止めていた。運動エネルギーが解放され、ステラの背後で雪が盛大に舞う。

「と、止まった……」

「ぴよよ! すごかったぴよね!」

「重力を感じたんだぞ!」

ナナがすっとソリから降りた。

「ふふっ、計算通りだね。止める仕組みが他人任せというのは、ちょっと無念ではあるけれど」

「それは大きな欠陥じゃないか……?」

他人というか、世界最高クラスの人間を使っているわけだが。ナナがさっと目をそらす。どうやら自覚はしているようだ。とはいえ無事に到着できて何よりだった。

見るとステラの近くにはコカトリスの止まった形跡があった。ステラのいるところまで雪が平らになっている。どうやらすべてステラが止めてくれたようだった。

「ソリも楽しそうですね……!」

ステラは加速ソリに目を輝かせている。こうしたものはステラは普通に好きだからな。

しかし、ステラが乗ると……誰が止めてくれるのだろうか?

俺は胸の中にそっと疑問をしまい込んだ。