軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

739.雪の行く先

ブリザードジェムが完全に崩れ去った。ふむ、少しだけ雪の勢いが減ったか。

「これで動きやすくなったな」

「ブリザードジェムは氷の魔力の結節点ですからね。倒せば吹雪も弱まります」

「ぴよ! 覚えておくぴよ!」

ナナがふむふむと頷いている。

「北国ではよく大量発生するからね。定期的に倒さなきゃいけない魔物だよ」

「わふー。そんなに出るんだぞ?」

「多いときには50体くらいね……。よく兵士たちと一緒に駆除したよ」

ナナが遠い目をしている。しかしあんなのが50体もか……。ここよりは小さい個体が多いとしても、かなり厄介ではある。

「ぴよちゃん着ぐるみ兵士の行進ですか……」

レイアは別のところに思いを馳せている。それはいいとして、俺たちは雪原を前に進む。

ふとウッドが疑問を呈する。

「ウゴ、さっきのブリザードジェムは遠くから攻撃したら安全?」

「基本的にそうですね。弓や弩、バリスタや投石器も有効です」

「攻撃をあまり避けないからな」

精霊系の魔物へは遠距離攻撃がセオリーだ。生命なき魔力の結晶体である精霊は、決められた通りに動くだけ。臨機応変に回避や防御をしない。

「ぴよ。それなら近づいて攻撃しても一緒じゃないぴよ?」

「精霊は硬かったり、魔力を周囲に振りまくからな……」

「鉄くらいだと剣のほうがダメになることもあります。燃えるように熱い精霊などもいますし」

「わっふ。やっぱり遠距離攻撃がいいんだぞ!」

「なるぴよね!」

ちなみにコカトリスの羽毛は魔力を散らす。コカトリスビンタや頭突きは精霊の天敵でもあるのだ。精霊の大発生がいつの間にかコカトリスたちによって鎮圧されていた、ということもある。

俺たちは雪原を進んでいく。雪が弱まったおかげで歩きやすく、視界も良い。このくらいの視界なら、魔物がいても遠くから視認できる。

先頭のステラが後ろを振り返る。

「少しスピードアップいたしますか?」

「そうだな……大丈夫か」

ナナもレイアもウッドも頷いている。コカトリスたちも『ぴよっぴ!』と羽を掲げる。

というわけで、普段の歩きの8割くらいのスピード……ダンジョンの進みとしてはかなり速く移動する。

幸いにも魔物に出くわすこともない。順調だな。

「ん……?」

そのまま進んでいくと、雪原が途切れていた。ステラが耳を動かす。

「おっと、坂になっていますね」

「坂……?」

俺の目にはかなりの急斜面に見える。落ちればそのまま地面に直行するほど角度があるが。

これは――崖じゃないか?