軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

608.夜が近づいて

その頃、ヒールベリーの村。

大樹の塔の前でナールは優雅に読書をしていた。

「にゃんにゃーん」

ナールが夕陽を見上げながら、読んでいた本をぱたりと閉じる。

本の題名は『新々英雄ステラ伝説』という、ステラが読んだら卒倒しそうな本であった。

「おや、その本は……」

夕方のお茶をしに来たアナリアがナールに声をかける。

「にゃ! ザンザス議会で編纂している本の書きかけにゃ」

「ふむふむ……途中までできていると聞きましたが」

アナリアはナールの前に座りつつ、お茶の準備を始める。

ナールも茶葉の用意を手伝いつつ、頷いた。

「ステラが復活する以前にスタートしてるにゃ。だから今は真実じゃないこともあるにゃ」

一番最初にナールがステラと会ったとき、黒檀を折るとか……実際は粉々にしたのだ。

その他にもステラが目覚めてから、真偽が判明したことは多い。

「……つまりごっそり書き換えですね」

「そういうことにゃ」

「でもステラはそういうの、嫌がると思いました。本とか、銅像とか……」

「途中まで書いてたから、セーフだったみたいにゃ」

「ああ、なるほど……。無駄にはさせたくないと」

「にゃ! でも正直、書くのが追い付かにゃいみたいにゃ」

「追い付かない……?」

そこでナールは指を振った。

「伝説は増えていくのにゃ……!」

砂漠の宮殿。

時刻の上では夜になったが、砂嵐が止む気配は全くなかった。

窓ガラスには砂粒がひっきりなしに当たり、雷鳴はとどろき続けている。

「……今夜はこのままかな」

砂コカトリスもサボテンを食べ終えて、うとうとしていた。しかし眠くても無秩序に寝転んだりはしない。

……輪になって、前のコカトリスにもたれるようにしている。

「ぴよちゃんサークルですね……」

「うむ、とりあえず満腹になってすやすやしそうだな」

大広間はいくつもあるし、場所的には問題ない。

ただ、砂嵐がおさまらないと外には出られないな。

「連れてきた手前、俺たちが自分の部屋で寝入るのは……」

「もちろん、大丈夫ですよ。砂ぴよちゃんを見守りながら寝ましょう……!」

「ありがとう……」

ステラならそう言ってくれると思った……!

そろそろ夜ご飯の時間か。

ディアたちはまだ窓の外を見ている。

しかし……この砂嵐、やはり妙な砂嵐だな。