軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

562.特使へのもてなし

もふ、もふ……。

レイアは皆の死角からコカトリスの背中に顔を埋めていた。

「ふふふ……」

仕事はちゃんとこなしていた。

特使とエルトを引き合わせたことで、少しの間フリーになる。

その合間――皆が魔導トロッコに注意している間にもふるのだ。

当然、このスケジュールはレイアが作成したものだ。時間を制すものは全てを制するのである。

「ぴよー」(たのしそー)

当のもふられているコカトリスも、魔導トロッコと人の群れに気を取られている。

少しの間忙しかった分、もふるのだ。

「……おや?」

レイアが顔を上げた。

向こうでは別のコカトリスがいる。そのそばにはステラが立っていた。

しゅっもふ。しゅっもふ。

なんとステラも人に知られないようもふもふしている――!

ステラは高速で抜き手のようにコカトリスをもふっていた。

もちろんコカトリスも何が起きているかわかっていない。

「ぴよ」(今日のおやつは少なめ……いや、多め……)

さすがステラである。

触られていることさえ気がつかない速度で触る。

(いつか、私もあの高みへ……!)

どうでもいいが、そんなことを考えていた。

魔導トロッコの案内が終わり、特使を冒険者ギルドのレストランへと案内する。

「いやぁ、実によろしかったですな……」

「そう言ってもらえるなら、こちらも嬉しい」

特使の団とこちらの村の代表。

揃っての会食だ。

「これが辛味炒めですか……!」

特使が真っ赤な炒め物を見て目を輝かせる。

「おかげで売上も上々だ。村の名産になりつつある」

「にゃ、村に来た半分以上の人が食べていきますのにゃ」

英雄ステラ直伝のレシピ! とか書かれたら興味を持つよな、うん。

「いくつかはザンザスでも食べましたが、いやはや本場の村で食べるとさらにおいしく感じますな」

「ありがとう。たくさん食べてくれ」

この特使は事前に聞いていた通り、何でも食べるな。辛味も全く躊躇なく食べ切った。

他にも高級紅茶や菓子でもてなす。

「あとはこのメニューも始めてみようかと思ってな」

俺の合図で料理人達が次のボウルを持ってくる。

「ほ、ほう……それは氷ですかな?」

そう、調整したアイスドラゴンの牙である。

まだ上には何もないので、削った氷の集まりだが。

試食してもらうにはいい機会だろう。