軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

510.鍛冶ギルドのカミーユ

「るんるんー」

レイアは鼻歌をしながらザンザスの大通りを歩いていた。その隣にはシエイがいる。

「ご機嫌でござるな」

「ええ、ステラ様のおかげで本格的な図ができましたから。これだけの情報があれば、ザンザスの鍛冶ギルドはやってくれるはず……!」

レイアがぐっと拳を握る。

「魔導トロッコでもお世話になったが、今回もお世話になるつもりだ」

「お世話になりっぱなしでござるな」

「お金はちゃんと払ってるし……」

シエイはジト目である。

レイアと同じペースで働き続けることなど、誰にもできない。

まぁ、最近のレイアはその点にも自覚があるから良いが。

鍛冶ギルドは冒険者ギルドから少し離れたところにある。大掛かりな実験室と工房とセットであり、常に煙が吹き上げているのだ。

レイアは鍛冶ギルドの本部前で、ちょちょいと佇まいを直す。

コカトリス帽子も完璧な位置にセットされた。

「お邪魔します……!」

「またですか! またお仕事ですか! またまたまた追加のお仕事なんですか!」

鍛冶ギルドの副ギルドマスターは、応接間のレイアに詰め寄った。

もこもこ毛、ほぼ二足歩行の白ウサギであるラビット族のカミーユが叫んでいた。

「でもおかげで、お金はたくさん稼げています。ありがとう!」

ぺこり。

「どういたしまして……!」

レイアもカミーユとの付き合いは長い。

このあたりのやり取りは定型である。

カミーユはレイアからもらった書類を見ながら、ささっと走り書きをしている。

持ち手の先に、コカトリスのミニ像がくっついたペンである。

「はー……。滑車と台と魔法具、なるほどー……」

「ロウリュと言う施設ですね。予算やスケジュールの細かいところはシエイからの資料に――」

「こちらでござる」

シエイの差し出した資料を、カミーユが黙読していく。

下まで読んで、カミーユがむむむと唸る。

「相変わらず、かなりの高額予算とキツめのスケジュール……!」

「日常業務に追加でござるからな」

近隣の鍛冶職人にも声を掛け、仕事を割り振らないとならないだろう。

それなりに長い付き合いなので、シエイにもその苦労はわかった。

「やはり『無理』ですかねぇ……?」

ぬいーんと首を伸ばすレイア。

こうした態度を取るのは、ザンザスの同業者だけである。

「いやー、さすがの鍛冶ギルドでも荷が重い話でしたか……」

「むっ! 聞き捨てなりません!」

カミーユがばっと立ち上がる。

その瞳はメラメラと燃えていた。

「受けて立ちましょう! ザンザスに鍛冶ギルドあり! たくさん働いて、たくさんお金をゲットします! お財布の紐を緩める用意をしていてください!」

「頼もしいでござるな」

「ええ、本当に。あっ、こちらはカミーユに……」

レイアが鞄の中から、すすっとニンジンを取り出す。

「はわっ! ニンジン……!」

「いつもすみませんね、無理を言って」

レイアは手慣れた様子でカミーユにニンジンを渡す。

それをニマニマしながら、カミーユは受け取った。

「……んふふー」

「では、詰めの話をしましょうか」

「ですねー」

二人ともライバル意識はあれど、それなりにうまくやっている。

こうしてロウリュ作りは急加速していくのであった。