軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

507.ロウリュ

それから土風呂の増築の話を詰めて、解散になった。

「よし、数日中に土風呂の増築はやってしまおう」

「ですにゃ! 土や資材の搬入準備を手配しますにゃ!」

「わーい。土風呂の塔ですー!」

テテトカも喜んでいるな。

なによりだ。

そして仕事を終えて帰宅する。

「ぴっぴよー」

「ぴよよ〜」

ため池の土手の上をコカトリスがお散歩している。

日が高くなってきたおかげで、広場にも人が多い。

串を持ち寄ったり、野ボールをしていたり……。

わいわいと楽しそうだ。

春らしい、良い雰囲気だな。

「おっ、それは……?」

家に着きリビングに行くと、ディアがふわっとした布をスカーフのように体に巻いていた。

黄色に黒の線が入っている布だな。

ソファーの上でディアがポーズを取る。

「どうぴよ?!」

「かわいい、似合っているぞ……!」

本当にかわいい。

おしゃれも似合っている。

ステラがふふりと胸を張っている。

「ちょうど良さそうな布を買ってきました。まずは服の前に、布に慣れないとですからね」

「さすが、かあさまぴよっ!」

「抜かりないんだぞ」

ちなみにマルコシアスも、コカトリスパーカーみたいなパジャマを着ている。

「マルちゃんも慣れてる途中ぴよ」

「わっふ。着ぐるみ道は一日にしてならずだぞ」

「ウゴウゴ、堅実」

ウッドもスカーフを巻いている。

淡い黄色で、男の子っぽいデザインだ。

「ウッドはスカーフか……。かっこいいぞ」

「ウゴ! ひらひらしてるのも、新鮮でいいね!」

ウッドも嬉しそうだな。

「ウゴ……ララトマも気に入るかな?」

「きっと気に入りますよ!」

「素敵だと思うぞ」

ララトマの反応が気になるか。

それこそがちゃんとした自我だと言えるな。

いいことだ。

そして夜ご飯の時間になった。

今日はアスパラガスのサラダにトマトの煮込みだな。健康的である。

「もぐもぐ……」

食べながら、俺は今日一日のやり取りをステラに報告した。

「実は今日、ナールとテテトカがやって来てだな――」

「珍しいですね」

「うん、新しい事をやることになったんだが……」

土風呂やサウナだな。

ステラの出身は東方である。

もちろん土風呂は他にないだろうが、サウナはどうだろうな。

もしかしたら聞いたことはあるかもしれない。

「サウーナ、ですか……? ふむふむ……。それと似たようなものでしたら、ありますよ」

「おっ、あるのか」

やはり俺が初めて考えたわけではなかったな。

なんだか安心した。

「わたしの故郷よりさらに北ですかね。北の山脈寄りのエルフに、そういう習慣がありました」

「そうなるとかなり遠いな……。今も交流はまばらな所だ」

「あとはその周囲のドワーフもですね。ロウリュ……とか言っていたような。部屋に熱した石を集めて、水をかけます」

「なんだかたのしそーぴよ」

「お湯に入るのとはまた別に、体がぽかぽかします……!」

「しかし妙だな。良さそうな風習なのに、ここまで来ていないとは」

俺の言葉に、ステラが周囲をうかがう。

「……これは数百年前の話ですが」

「ふむふむ」

「ロウリュの風習はある地点で途絶えています。そこから先には伝播していないのです」

「ほう……」

……なんだかオチが予想できるような。

「着ぐるみでほかほかするヴァンパイアには、ロウリュは必要ありませんからね」