軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

476.ヴィクターの問い

それから船の上での宴を終え、俺達は港へ戻った。

村へと帰るのは明日になる。

それまでは自由時間だな。

「ぴよぅ……」(おやすみぃ〜……)

コカトリス達はお昼寝に入った。

……大広間でこんもりまとまっている。

「はぁ……海ぴよちゃん……」

レイアはそんなコカトリス達をゆったり撫でながら、うっとりしていた。

ちなみにナナも着ぐるみ姿で寝っ転がっている。

「…………」

返事がない。お昼寝中のようだ。

日中と海中で疲れがたまったのかもしれない。

「んむ。出発までゆっくりするんだぞ」

「そうだな……」

そこへドアをノックする音がした。

「エルぴよ、いるか?」

「……博士」

「時間があるなら一人で来てほしい。話がある」

奇遇だな。

俺もちょっと話をしたいとは思っていた。

家督のこと、家族のこと……。

ヴィクターは他の兄2人よりも後継者に近いとされている。

ちゃんとふたりきりで話さなければならない相手なのだ。

「わかった。すぐ行く」

「もちろん着ぐるみは着用だ。ここの屋上で待っている」

屋上は簡易なテラスになっていた。

海が一望できる、絶好のロケーションだ。

ヴィクターは優雅に座っていた。

紅茶にストローが差してあり、それをくちばし部分へ突っ込んで飲んでいる。

「飲むのならグラスとストローはそこにあるぞ」

「ありがとう、だけど喉は乾いていない」

ふたりきりなんだし、着ぐるみの頭を取ればいい――と言うのはやめておく。

ヴィクターの性格上、絶対にそうはしないとわかる。

「まずは元気そうで何よりだ。中々、タイミングが悪くてな」

「それはこっちも同じだ。むしろ兄さんと会うと思っていなかった」

実家でのヴィクターとの記憶はあまりない。

俺が物心ついたときには、寄宿制の貴族院へと行っていたからな。

時折、夏休みや冬休みに会ったくらい……それでも年齢が違いすぎた。

それに家の中の扱いでも、ヴィクターは優遇されていた。今から思えば、少なくない執事やメイドがヴィクターを後継者だと思っていた。

ヴィクターがグラスを静かに置く。

「話したいことは色々とあるが――そうだな。お前を試そう」

ゆらりと魔力が立ち昇る。

一瞬、冷たい風が通り抜けた。

「どうやってそこまで高めたのかは知らないが、驚嘆すべき魔力だ。素晴らしい。その点はもはや申し分ない」

だから別のことでお前を試す――とヴィクターは続けた。

「俺と何を話したい? そうだな。1つだけ……今日は1つだけ、お前と話そう」