軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

445.決戦の朝

ヒールベリーの村。

ナールは置かれたオーブン焼きをふーふーしながら食べている。

「にゃー。つまりウチの実家に、過去の冒険者のメモがあったのにゃ」

「へぇ〜……そういうの、残ってるモノなんすね」

シュガーもグラタンをもぐもぐしながら応じる。

「ザンザスの仕組みが整ったのはステラが来てから……それ以前はマジでヤバかったみたいですし」

「そうみたいにゃね」

ステラが来る前のザンザスは、本当に村レベルの大きさしかなかった。それを安定した探索ができるようにしたのがステラである。

それからザンザスは急激に発展し、大都市になったのだ。

「ブラックムーン商会はあちしのおじいさんからだけど、元の流れはもっと古いにゃ」

「何代も続いているって言ってましたもんね」

「そうにゃ。実家の倉庫を整理してたら出てきたみたいにゃ」

「歴史モノですねぃ……」

シュガーはふふっと微笑む。

「ま、俺で手伝えることがあったらやりやすからね。気軽に言ってくだせぇ」

「ありがとうにゃ……!」

そう言うとナールはオーブン焼きをそっと小皿に取り分ける。

「にゃー……ちょっと交換にゃ」

「いいですぜ!」

オーブン焼きとグラタンを取り分けて交換する。

仲睦まじく二人は夜ご飯を食べるのであった。

港の宿舎。

「んむ……」

つんつん。

頬に指先の感触がある。

これは……ステラか。

俺は小声で彼女に答えた。

「……おはよう」

「おはようです……ふふ」

ステラが俺の顔を覗き込んでいる。

楽しそうだな。

「まだ早いですけれど……今日はなんだか早起きでした」

「そうか……」

俺の胸元にはディアとマルコシアスがいる。

すぴーすぴーとまだ寝ているな。

「ぴよぴよ……」(もっしゃもっしゃ……)

「ぴよ……」(幸せ……)

宿舎の部屋の半分はコカトリスでみっちり埋まっていた。海ぴよには昆布が巻き付いている。

昨日、海藻がお気に入りだったので寝る前に渡しておいたのだ。

そのほうが海の雰囲気が出てよく眠れるかと思ったし。

「食べてるな……」

巻き付いた昆布はかなり減っていた。

どうやら寝ている間に食べていたらしい。

「ぴよぴよ……」(もぐもぐ……)

昆布がコカトリスの口の中に吸い込まれていく。

食べてる。めちゃくちゃ食べてるな。

「ま、まぁ……おやつみたいなものか」

「そうですね、すやすや寝ているようですし」

そこでステラの目がすっと細くなった。

「今日は気合を入れないと……」

「ああ、海底神殿に行かないとだからな」

ふにふに。

ステラの指がまた俺の頬をつんつんする。

「……どうしたんだ?」

「着ぐるみの前に触れておこうかと思って。いえ、もちろん着ぐるみエルちゃんも最高ですが……」

お、おう。

時計を見るとまだ時間はある。

そのまま少し、ステラは俺にスキンシップをしたのであった。