軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

407.海中へ

兵士達も甲板に武器を持って集まってきた。

口には金属製のマスクをしている。

「あれが呼吸用のマスク魔道具か」

見た目は結構ゴツいな。偏見だけどヒャッハーしてそうなマスクだ。

「ああ、でも使うのにコツがいる。長い訓練が必要なんだぜ」

察するに、あのマスクをつけた兵士達は魔力がそんなにはないんだろうな。

あればこの着ぐるみスーツの要領で潜水もやるはずだし。

「ウゴ、こっちは準備オッケー!」

「ばっちこいですわー!」

村のメンバーで潜るのは俺、ステラ、ウッド、ナナ、ジェシカとダイエットに燃えるぴよ達だ。

「ぴよっ!」(準備体操は万全です!)

「ぴよよー!」(関節がぐりぐり動くのだ!)

パタパタパタと羽を動かしている。

……滑らかな動きだ。

「んじゃ、行くよー」

ナナは着ぐるみを信頼しきっているのか、肩に力は入っていない。

ヴィクターもパタパタと手を動かす。手をほぐしているみたいだな。

「俺も同行しよう」

「……いいのか?」

「心配するな。潜水機能はバッチリだ。海コカトリス観察用の着ぐるみだから」

他にも着ぐるみがあるような口振りだな。深くは問わないでおくが。

「よし……行くか!」

「はい! ぴよちゃん達を救うために!」

「気を付けてだぞ!」

「いってらっしゃいぴよー!」

ディアとマルコシアスに見送られ、俺達は海へと潜っていく。

……大丈夫。

俺もこの着ぐるみは信頼している。

綺麗だ。

それが海の中の第一印象だった。

岩礁には赤い珊瑚、カラフルな熱帯魚が海を泳いでいる。

スキューバダイビングではないが、シンプルに美しい。

「びよっ!」(こっちだよー!)

岩場のリーダーコカトリスが羽をツンツンと伸ばしてる。

というか、思い切り水中で鳴き声を出しているが……問題ないのか?

「ぐっ!」

ステラが微笑みながら俺の目の前でオッケーとサインする。

「海の歌姫!」

「……あれ?」

声が聞こえる。水の中なのに……。

「どうでしょう、これで少しは……」

ちょっと聞こえづらいが、ちゃんとわかる。

水中で会話する魔法か。俺の知らない魔法だ。

「こんな魔法があったのか?」

「新しい魔法ですが、それなりに使えますですわ。でも私から離れると感度が悪くなるので、お気を付けて」

これはステラの水上歩行と同じ、この世界オリジナルの魔法だな。

ゲームの中ではチャットや外部ツールがあるので、こういう魔法は意味がない。

なるほど……結構便利だ。

ヴィクターが泳ぎながらふむふむと頷いている。

「この魔法は百諸島秘伝の魔法だな。話には聞いたことがあるが、ふむふむ……」

「な、内密! 内密ですわ!」

「失礼。研究者の性でね。で、この魔法を金貨百枚で売ってくれないか?」

「駄目ですわ!」

そうか、これはそういう類の魔法か……。

確かに優れた魔法はアドバンテージだからな。秘匿する類の魔法だったか。

「ウゴ、でもこれで意思疎通は楽になったね!」

「ウッドも塩水は大丈夫か?」

「ウゴウゴ……大丈夫! 家のお風呂で塩水テストはしたし!」

こちらも良さそうだな。

あとは――。

「ぴよよー!」(きれれー!)

「ぴよっぴよー!」(燃える、たぷが燃えるのを感じるー!)

ヒールベリーのコカトリスも目を輝かせて泳いでいる。

よし、更に深く潜っていこうか。