軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

393.百年の港

しかし、もう来てしまったものは仕方ない。

クロウズのこめかみがぴくぴくしてる。

ルイーゼとクロウズは黄色いテントに行き、少し話し合いをするようだった。

「いっちゃったぴよ」

「お話し合いなんだぞ」

「きっとぴよちゃんの寝る場所とかのことですね。けっこう大きい子ですし」

ちなみに今回来たコカトリス二体は、俺やステラと同じくらいの背丈である。

横幅は俺達よりかなり大きいが……。

でも話し合いの内容はそれ以前の気がする。

「ぴよ」

「ぴよ」

「はぁ……うっとりです」

レイアはコカトリスの間に挟まっていた。

俺が『ぴよサンド』と心の中で呼んでいる光景だ。

それを見ているクロウズの従者は、この世の終わりに直面したような顔をしている。

ふむ……それに比べると俺とナナはスルーだな。

やはり着ぐるみのほうがメジャーなのか……。

「よう、待たせたな」

「…………」

爽やかなルイーゼと眉を寄せているクロウズがテントから出てきた。

どうやらルイーゼの言い分が通ったらしい。

ルイーゼは腕を振り上げ、ついてくるよう合図する。

「んじゃ、港へは歩いて行くぜ。はぐれないようにな」

空き地から港へは、平らな道を少し行くだけで到着できた。

いよいよ夕方になり、斜陽が港町を照らしている。

レンガ造りの建物が並び、人にも物にも活況がある。

……住人らしき人からは思い切り注目されているな。

まぁ、この集団なら当然か……ルイーゼのお膝元で、ウッドとコカトリスは目立つからな。

多分、俺もだが。

ナナはルイーゼの隣で、なにやら話をしている。

公的な場所で対等に話せるのは、ナナだけだからな。

俺は謎の着ぐるみなので、自重する。

「泊まる場所は?」

「騎士用の宿泊所がある。そこそこ綺麗だし、設備も揃ってるぜ」

「……頼んであった、着ぐるみ丸洗い洗濯機は?」

ナナがずいっと身を乗り出す。

そんなの頼んでたのか。

「顔を近づけんな! 取り寄せたよ!」

「やるじゃん。ありがとう」

俺はステラの横をぽよぽよと歩いている。

胸元にはディアとマルコシアスだ。

「これ、全部レンガぴよ?」

「そうなんだぞ。頑張って積んだんだぞ」

「けっこう歴史を感じさせる建物が多いですね。長年、日や潮風に晒されているような……」

「ウゴ、色合いがちょっと違うね!」

ウッドの言う通りだ。

かなり古ぼけた家もけっこうある。

「百年前くらいに、この街は出来たんだったか……。それから大禍はないようだし、その当時の建物が残っているんだろう」

俺の言葉に、近くを歩くクロウズが反応する。

「よくご存知で。この街はまさにライガー家の重みを体現するのです」

その言葉には確かな自負が感じられた。

俺はその自負に少し乗ることにする。

本で読めることには限界があるしな。

当事者から聞くのも、大いに学びになる。

ディアやマルコシアス、ウッドの教育にもなるだろう。

「良ければ少し解説してくれないか? 海は久しぶりなものでな」

この世界では初めてだけど……まぁ、いい。

でも俺の言葉はクロウズにとっても良いものであったようだ。顔がやや緩む。

「喜んで」