軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

370.ルイーゼ帰る

そうしてルイーゼは再び来る日付を五日後と決めると、ふよふよと空中に浮かんだ。

どうやらそのまま、帰るらしい。

「多少ならあたしの魔法で運んで行けるからな。まー、馬車で行ってもいいけど」

「わかった」

飛び立つ前にナナの着ぐるみの肩をぽんぽんと叩く。

「……なに?」

「いや、前より人生楽しそうでよかったよ。んじゃな。また来る!」

ルイーゼは窓からぴょんと飛び立つと、そのまま猛スピードで空の彼方へと消えていった。

嵐のような人だったな……。

「やれやれ……」

「お疲れ様です……!」

「さすがに疲れたよ」

「でもルイーゼに引かなかったのは、見事だったよ」

ナナがふにっと羽を動かす。

「本当に強烈な人だったな」

「アレがライガー家、次期当主の最有力候補……付き合っておいて、損はない。嘘をついたり騙したりはない人だから」

「別のところが過激というか、暴走気味ですが……」

「認めた人には、あれでいてそこそこ働いてくれる……。多分、半身の虎の件もあるんだと思うよ」

「ステラが北で戦った魔法具の絵か?」

話で聞いたな。

ホールド兄さんが大金出して買ったという。

「元々、ホールドはあの絵をルイーゼを経由して買ったんだ。今回、水運の話が動いたのも、その件の埋め合わせがあると思う」

「はぁ……なるほど。素直でない方ですね」

「……だったらホールド兄さんにも一応、報告の手紙は送っておくか」

ふむと頷いて、俺はナナへと向き直る。

「でもありがとう。間違いなく助かったのは、ナナのおかげだ」

「ええ、でなければ一つ二つはねじれてたでしょうね……」

俺とステラの言葉を聞いて、ナナが俺達の肩にもふっとハンドを置いた。

うん?

ずもももっとナナの着ぐるみが俺達に迫る。

「……じゃあ、ひとつお願いがあるんだ。魔王ナナって学生時代のニックネーム――記憶から消しといてっ!」

そっちの方がナナのトラウマだったか……。

その後レイアが来て少し話し合いをした。

まぁ、詰めるところを詰めた感じだな。

数時間後、仕事を終えた俺とステラも帰宅する。

「ただいま〜」

「ただいまです……!」

ディアとマルコシアス、ウッドは熱心に書き物をしているな。

勉強好きらしいが、これは俺とステラの性質か。

どっちも努力を厭うタイプじゃないし。

「おかえりぴよっ!」

「おかえりなんだぞー!」

「ウゴ、おかえりなさい!」

さて、問題は誰を送るかと言うことだ。

ソファーに座り、思案を始める。

「……失礼します」

ステラがすすっと俺のふとももを枕にする。

早い。

「ふぅー……」

ステラがにこにこモードだな。

「……行ってくれるか?」

「海ですよね? もちろんです……!」

ステラは二つ返事で引き受けてくれた。

「海ぴよ!? このすっごく大きい水たまりぴよか!?」

「しかもしょっぱいんだぞ」

「ウゴウゴ、ずっとずーっと向こうまで水なんでしょ……! スゴい!」

子ども達が盛り上がっている。

やっぱりそうだよな。

海には海の良さがある。

それは、絵では体験できないものでもあるのだ。

「……ぴよよ。でも、とうさまは?」

ディアがはっとして、俺の足元に走ってきた。

そして俺の脚に体をすりすりとさせてくる。

「とうさま、またお留守番ぴよ?」

「んう、そうだな……。多分、そうなるかと……」

「……ぴよよ……」

ディアが見るからにしょんぼりとした。

……心が痛む。

でも――仕方ないんだ。

ステラがディアを抱き上げて、俺を見上げる。

その瞳はきらきらとしていた。

「でも案外、今回はエルト様も来られるかもですよ?」

何を思い付いたのだろうか。

……そのきらきらとした瞳の中に、コカトリスが飛び跳ねているような気がした。