軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

360.秘密にはしておけない

ウッドによりかかりながら、ララトマは春の風を頬に感じる。

背中には確かなウッドの、頼りがいのある大木があった。

「……嬉しい、です」

巨大草だんごも食べ切った。少し日も傾いてきた気がする。

「ウゴ……」

名残惜しいけど、一旦帰らないといけない。

まだ二人きりで暮らすとか――そこまでは考えられない二人だった。

「ウゴ……またこうして、一緒にお日様にあたろうよ」

「はいです……! もちろん!」

ララトマは腕を伸ばしてウッドの頬に触れ、それから膝を下りた。

こうして、初めての二人きりのデートは終わったのであった。

リビングではディアがマルコシアスの肉球とお腹を揉んでいた。

もみもみ……。

「ぴよよー……そわそわ、ぴよ」

「我を揉んで落ち着くんだぞ」

「ぴよ。落ち着いて、落ち着いて……マルちゃんを揉むぴよよ……」

ディアはマルコシアスのお腹に顔を寄せる。

落ち着いている感じじゃないな。

ウッドがララトマに会いに行っている。

俺もわけもなく、リビングをぐるぐると歩き回りそうだ。

「落ち着くのですよ……! きっとうまくいきます!」

「……そうだな」

ソファーに座り、俺にべったりとひっついてくるステラ。

その手は俺の手を揉んでいた。

あと微妙に服の上から、俺の腹筋もさわさわしてるな。

……ディアと同じことをしているわけだが……。

相当、そわそわしているらしい。

「ま、まぁ……きっと大丈夫だろう、うん……。もう数時間経つんだぞ?」

ぽむぽむとステラの頭を撫でる。

きっと仲良く話し込んでいるに違いない。

「そ、そうですね……。わたし、その……」

「いや、いいんだ。それだけウッドを心配してくれてるんだから」

ステラからの断片的な話を聞く限り、彼女も家族関係が良かったとは言えない。

というより、かなり悪かったと思う。

だから家族のこうした話が心配なのだ。

俺も――正直、悩んでいるところはある。

前世の家族や親戚、友人。

残念ながら、思い出せないのだ。

俺の前世の記憶は、この世界に関連しないと前に出てくれない。

でも多分、そう恵まれてはいないのだろう。

思い出せないということは、そういうことだ。

……ガチャリ。

玄関から鍵を回す音がした。

鍵を持って出た家族はウッドだけだ。彼が帰ってきた。

「ウゴウゴ〜! ただいまー!」

「ぴよよー! おかえりぴよー!」

「おかえりなんだぞ!」

どたどたとディアとマルコシアスが出迎えに行く。

「ふむ……大丈夫だった、のかな?」

ウッドの声の調子から、俺はそう判断していた。

「……そうですね、大丈夫だったのでしょう」

ステラが俺の手を取り、頬すりする。

数秒そうしてから、ステラも立って玄関へ行く。

「おかえりなさいです……!」

俺も立ち上がり、息を整える。

「おかえり、ウッド」

出迎えたウッドの顔は、実に晴れ晴れとしていた。

うまく行ったみたいだな……!

良かった……!!

数日後。

冒険者ギルドの執務室。

お見合い会が近付いてきて、その打ち合わせだ。

とはいえ、ほぼ報告を聞くだけだが。

テーブルの上には、レイアデザインのコカトリス着ぐるみが置いてある。

「少し改良しまして……」

「……お腹がちょっとふっくらしたか?」

「お目が高い、その通りです! 小物が入るように、何体かには仕込みました」

「なるほど……」

レイアのテンションは上がっている。

コカトリス着ぐるみお見合いを開催するのが、楽しみのようだな。

「参加者締切もそろそろか」

「ええ、来週末にはお見合い会を開きますので」

食事の手配もあるからな。

「……シュガーも参加するはずと思うのですが」

「まだ予約受付してないのか?」

「まもなくザンザスから戻ってくるはずですので、恐らく今日明日には……」

そんなことを話していると、ドアがノックされる。

何かあったのかな?

「どうぞ、入ってくれ」

「にゃ。お話中、失礼しますにゃ」

「失礼します……!」

……珍しい組み合わせだな。

ナールとシュガーが並んで執務室に入ってきた。

「レイアもいるし、ちょうどいいのにゃ。エルト様と一緒に聞いて欲しいのにゃ」

「ほうほう……なるほど」

席を立とうとしたレイアが、また席に戻る。

シュガーがやや難しい顔をしながら、俺やレイアを見渡した。

「ちょっとした報告がありまして……!」