軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

300.仮説、産地の違い

イスカミナがスコップで地面に絵を描く。

ごく普通の楕円形だな。

卵のようにも見える。

「これがザンザスのダンジョンとしますもぐ」

「ふむふむ」

と、そこでウッドが興味を引かれたのか俺の隣にやってくる。

「ウゴ、どうかしたの?」

「ん、いや……この地下通路の目的がなんなのか、また仮説が出来たようだからな。それをイスカミナから聞いているんだ」

「ウゴ! 俺も聞きたい、いい!」

「もちろん大丈夫だ」

「もぐ! ぜひ聞いていってもぐ!」

イスカミナは楽しそうだな。こういうのが好きなのか……?

まぁ、好きじゃないと思い付かないか……。

その楕円形のちょうど真ん中に、イスカミナがさらに線を引く。

とんとんと楕円形をスコップで指しながら、

「ザンザスのダンジョンは大地の魔力の集中するところ、結節点もぐ。通常のダンジョンは周囲の魔力だけですもぐ。でも、ザンザスのダンジョンはいわば世界中の魔力を少しずつ借りてるもぐ」

「世界十大迷宮は皆、そうだと書いてあったな。だから規模や深度も桁外れだと」

俺の言葉にイスカミナが頷く。

「さらにザンザスのダンジョンはとても安定してるもぐ。これは一個の超巨大な魔法具に例えることもできるもぐ」

「ウゴ、わかりやすい!」

「でも逆にここまで安定してるダンジョンは他にほとんどないもぐ」

「そうなのか?」

「ザンザスのダンジョンは少なくとも千年前には存在してたもぐ。他の世界十大迷宮はもっと不安定で、魔物が溢れたり構造が破壊されたりしてるもぐ。ザンザスにはそういう記録はないもぐ」

なるほどな。

他に類を見ない、だから変な仮説が立てられるわけか。

「ウゴ、知らなかった……」

「ダンジョンの情報は機密の絡みもあるからな……」

ザンザスのダンジョンも深層部の情報は、本にはあまり書いてなかった。他の世界十大迷宮も深層部になると情報量が少なくなる。

「もぐ。そして、この地下通路は魔法的に導管の可能性があるもぐ。ストローみたいにダンジョンの横に突き刺して――」

「魔力を抜き取る、あるいは吹き入れるのか」

「そうですもぐ! この地下広場は、その中継点になりうるとも思いますもぐ」

「ウゴ、確かに凄く広い。色々と使えそう」

「ふむ……」

「詳細はもっと調査しないといけませんもぐ。でも可能性はそれなりにありますもぐ!」

「わかった。調査継続はその通りだな」

確かなことはまだ何もわからない。

ひとつひとつ、仮説を検証して探り当てるしかないわけだ。

「ぴよ」(難しい話をしてる)

「ぴよっぴ……」(もにゅもにゅ……)

「ウゴウゴ、どうしたの?」

コカトリス達はスナック感覚でパズルマッシュルームを手に持って噛んでいる。

飽きないというか、美味しく食べているみたいだな。

今回のパズルマッシュルーム討伐でもコカトリスのおかげで手早く片付いた。

普段はまったり穏やかだが、やる気になると物凄い。コカトリスにあやかろうと民謡や紋章になるのもわかる気がする。

「ぴよ……?」(食べる……?)

遠い目をしたコカトリスがすすっとパズルマッシュルームを勧めてくる。

「……もらおうか」

俺が手を差し出すと、遠い目をしたコカトリスがぽむっとパズルマッシュルームの切れっ端を渡してきた。

さらにウッドとイスカミナにもパズルマッシュルームを勧めてくる。

「ぴよ、ぴよ?」(君達も食べる?)

「ウゴウゴ、俺も食べる!」

「もぐ。もらうもぐ!」

そんな感じで行き渡るパズルマッシュルーム。

俺は切れっ端を口に放り込む。

もにゅもにゅ。

もにゅもにゅもにゅ。

食感は相変わらずだな。

もにゅっとしてる。

ん?

いや、ちょっと待て。

「ぴよ?」(気付いた?)

ふふんと遠い目をしたコカトリスが得意そうな顔になっている。

かわいい。

でも言わんとしていることはわかる。

噛めば噛むほど、これまでとは差が出ているのだ。

小さな差かもしれないが……。

「ウゴ、気のせいかな?」

「たぶん、合っているもぐ」

ウッドとイスカミナも同じ感想を持ったようだ。

もにゅもにゅしながら首を傾げている。

俺は確信を込めて言った。

「うん、少し味が濃くなっているな」