軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

298.ぴよと出発

一方、ヒールベリーの村。

「ぴよーっ!」

……外からコカトリスの鳴き声が聞こえる。

俺はもぞもぞと綿から抜け出した。

「ウゴウゴ、おはよう!」

「ああ、おはよう」

ウッドも起き出したようだな。

たまにだが、コカトリスが朝早くお散歩するときがある。

そのときは、こうして外からコカトリスの鳴き声が聞こえるのだ。かなりレアなので俺の中では勝手に吉日にしている。

「ウゴ、コカトリス元気だね」

「そうだな。外もよく晴れてる……」

今のところ、コカトリスが朝早くお散歩するのは晴れた日だけだ。

窓の外からは柔らかい日差しが差し込んでいた。

そういえば民謡だと、コカトリスが生命力の証として登場することがたまにあるらしい。

いつも元気でぴよぴよしているコカトリスに勇気付けられるのだとか……。

それもわかる気がする。昔の人はきっと、あのふわもっこなコカトリスに希望を見出したのだろう。

「よし、朝ご飯にするか」

「ウゴウゴ! サラダつくる!」

ウッドにサラダを任せて、俺はハムの原木をカットしていく。

あとは……昨日、さらっと受け取ったパズルマッシュルームも食べるか。

酢漬けのもにゅもにゅ……だ。

厚めのハムに爽やかハーブティー、パズルマッシュルームとフルーツを少々。

焦らずよく噛んで朝ご飯を食べる。

今日はまた地下通路の探索だ。

三個目の地下広場まで馬車で行き、そこから進んでいく。

「頑張ろうな、ウッド」

「ウゴ! がんばるー!」

……あとは真紅のベリーマッシュルームか。

地下通路の魔力も濃くなってきているし、見つかるといいな。

準備を整え、村の入口に集合する。

すでに冒険者達とアナリア、イスカミナと馬車も集まっていた。

「にゃーん。皆さんを迅速にお届けしますにゃん!」

御者服に身を包み、格好良くブラウンがキメている。長靴を履いた猫みたいだ。……かわいい。

イスカミナがブラウンの服を見てふむふむと頷く。

「やる気もぐね」

「にゃん。この服は新しく買っただけにゃん」

「もぐ。お洒落さんもぐー」

ニャフ族は皆、しっかりと着飾るからな。

服もよく変わる。

そして我々以外にも集合している者がいた。

「ぴよー」(やふー)

「ぴよよー」(きたよー)

「ぴよ……」(もぐる……)

コカトリスが三匹……。

前に地下通路へと来てくれた二匹と遠い目をしたコカトリスだな、きっと。

アラサー冒険者が俺にこそっと聞いてくる。

「……どうしやすか? 今回も来てくれるみたいですぜ」

「ふむ……。戦力的にはいたほうがいいんだろうが……」

前回も大活躍だったしな。

ちらっとコカトリス達を見ると、アナリアが何やらご飯をあげていた。

「えーと、お目当てはこれですか?」

「「ぴよっ!」」

白くてイカの切り身みたいな……。

パズルマッシュルームの酢漬け、か?

それをコカトリス達はつまむと、素早く食べ始める。

もにゅもにゅもにゅ。

うん、あの口の動かし方はパズルマッシュルームだな。見分けがつくようになってきた。

「ぴよぴよ」(もにゅ、いいね)

「ぴよぴよぴよ」(今日も今日とて、もにゅるのみ)

「ぴよ……ぴよ」(まだ見ぬ……もにゅを求めて)

なんだかコカトリスから気合を感じる。

「ウゴ、やる気みたい!」

「どうやらそうみたいですねぇ。こっちとしても、いてくれたら大助かりなんですが……」

「そうだな……。そうしたら同行してもらおう」

俺がそう言うと、コカトリスがぴっと羽を上げる。

「ぴよ、ぴよっ!」(がんばる! もにゅもにゅ!)

「ぴよよ、ぴよっ!」(気合は十分! もにゅもにゅ!)

「ぴよ、ぴよよ……!」(新鮮なもにゅを求めて、もにゅもにゅ……!)

もにゅもにゅしながらだが、意気込みは伝わってくる。そうとなれば断る理由はない。

「よし、じゃあ一緒に行くか!」

俺の言葉にコカトリスが一斉に応える。

「「ぴよよー!」」

こうして俺達は地下広場探索のため、村の外へと繰り出していった。

「ウゴ……ところでコカトリスは馬車に乗らないの?」

馬車はコカトリスを乗せずに出発している。

「ウゴ、ぎゅうぎゅうに詰めれば入ると思うけど……」

「ま、まぁ……それはそうなんだが……。あれを見てくれ」

馬車の隣にいたはずのコカトリス達は猛烈にダッシュしていた。

遠い目をしたコカトリスをえっさえっさと担ぎ上げながら。

「ぴよよー!」(はしれー!)

「ぴよっー!」(担いでいけー!)

「……ぴよ」(……あとで交代ね)

凄まじいスピードで道を走っていく。

全力疾走するコカトリスはチーター並に速く、さらに底無しの体力もある。

どこかで立ち止まって調整してくれるだろうが……。

そんな様子を見たウッドが、深く頷く。

「……ウゴ、ひとつ学んだ」