軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

279.村への帰途

村への帰り道。

まだ夕方にはなっていないが、太陽は傾きつつある。

ここから村へは一時間半くらい。着く頃にはちょうど日暮れになっているだろう。

アナリアとイスカミナと俺は、ウッドの背に乗って帰っている。

「懐かしいですね、この帰り方!」

「そう言えば、久し振りかもな……」

「もぐ! 速いもぐー!」

イスカミナは大興奮だな。ウッドの背にある枝に捕まって目をキラキラさせてる。

「怖くはないみたいだな」

「もぐ! 坑道での微妙な揺れに比べれば、全然ですもぐ!」

「……それは怖いな……」

イスカミナもちょいちょい過去で苦労した話が出てくる。まぁ、楽なことなんてないんだろうが。

「もぐ。それよりウッドは重くないんですもぐ?」

「ウゴウゴ、ありがとう! 大丈夫!」

ウッドはベリーマッシュルームが見つかったことでご機嫌なのだ。

「ウッドは力持ちですからね。村でも有数です」

「一番じゃないもぐ?」

「ウゴ、一番はかあさん!」

「……なるもぐ」

イスカミナは納得したらしい。

ウッドのパワーはドラゴンに匹敵するレベルになっていると思うんだが、まだステラには及ばない。

彼女は彼女で特別だけどな……。

「魔導トロッコはどうだ、設置できそうか?」

「今の時点では大丈夫ですもぐ!」

ぽにっと腕を上げるイスカミナ。

かわいい。

「ウゴ、地上に戻って気が付いたけど、ここは魔力薄いね」

「ああ、本当にな。地下のほうがよほど魔力が濃いと思う」

「そうなのですか? イスカミナの魔力濃度計では数値が出ているようですが……」

「もぐ。とりあえず森より魔力濃そうもぐ。でも濃度計はそんなに当てにはならないもぐ」

さきほどイスカミナは地下で置き時計のようなものを弄っていた。あれが魔力濃度計らしい。

便利なものだと思ったが、調整が頻繁に必要な上、微妙な数値はわからないとか。

ちなみにザンザスのダンジョンに持ち込むと、一発で完全に動かなくなるそうだ。

それでも貴重な魔力の計測手段なので、鉱山や開拓のような新規のところにいくのには有用だな。

……多分普及してないのは、魔法使いのほうが感度と面倒がないからだろうが。

「本格的にスタートさせるなら、ザンザスとも調整しないと行けないな」

ここまではまだ俺の領内だが、伸ばしていくとやがてザンザスへと到達する。

というより、トロッコは長距離設置しないと旨味が出ないしな。

「断られる理由はないでしょうが……。資金面は問題かもしれませんね」

「もぐ。それなりのお金はかかりますもぐ」

「俺の貯めた資金から出すから、そこは心配ないぞ」

俺はあっさり言った。

が、それを聞いたアナリアとイスカミナは大いに驚いたようだ。

「そ、そんな大金を!?」

「かなりの額になりますもぐ!」

「とりあえず、トロッコを少し設置するのにいくら掛かるんだ?」

「金貨で百枚は必要もぐ」

「……それくらいならあるな」

その数倍は楽に用意できる。

ヒールベリーの村では、儲けた額に対して税を掛けている。なので動く金が大きくなるほど、入ってくる金も多くなる。

利率はザンザスと変わらない――というより、今はちょっと安くしたくらいだ。

来年はもうちょい安くしてもいいかな、というところだが。

ポーションや高級野菜、果物はひっきりなしに売れている。さらに素材関連の実入りも安定しているからな。

……俺が癒やしの実を生み出して売るだけで、毎日金貨五枚とか十枚とかなるくらいだし。

「事業計画の精査は必要だが、資金面は気にしなくていい。村に戻ったらよろしくな」

「もちろんですもぐー!」

「凄いですね、やはり……」

とはいえ本格的に進むとしても、ステラとレイアが帰ってきてからだろうが。

その頃には地下通路の探索ももっと進んでいるだろうし。

「ぴっぴよー」(えっさ、えっさ)

「ぴよよー」(もにゅもにゅー)

コカトリスは一定のスピードでビッグパズルマッシュルームを運んでいる。

たまに担ぎ上げているパズルマッシュルームから、つまんでもにゅっとしてるようだが。

ステラ達は今、北の国で頑張っている。

ナナもいるしあまり心配はしていないが……そうだ、魔法具ならナナもいるんだな。

彼女からもトロッコについて役に立つアドバイスを聞けると思う。

ディアも帰ってきたら、一回り大きく成長しているだろう。うん、俺も次を見据えて進まないとな。

「こういう時こそ、トップで決断しないとな……」

「ウゴウゴ、頑張ろうね!」

アナリアとイスカミナもうんうんと頷いてくれる。

まさにそういうのこそ、俺の役割なのだから。

あとはもちろん、ベリーマッシュルームもだ。

大きな草だんごを作らないとな。