軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

261.タイミング

イグナートとナナがステラの元にやってくる。

まずイグナートが一礼する。

「あなた方にも世話になった……。俺はイグナート・スクラートフ。今回の芸術祭の共同主催者だ。ぜひともイグナートと呼んでほしい」

ステラも一礼する。

「ご丁寧にありがとうございます……! ヒールベリーの村のステラです。エルト様の代理として、参上いたしました。私の胸元にいるのは――」

「ディアぴよ!」

「マルちゃんだぞ」

ぴよぴよとわうーが手を振る。

「……ディアとマルシスに危険がないのは、僕が保証するよ。素直で純粋な二人だから」

「ほめられたぴよ?」

「ほめられたんだぞ」

「今日はなんだか、いっぱいほめられるぴよねー!」

「だぞー!」

アイスクリスタルを倒し終わり、テンションがなんだか上がっているディアとマルコシアスはきゃっきゃっとはしゃいでいた。

雪原の向こうから、レイアも合流する。彼女は近衛ぴよと兵士ぴよを率いていた。

「はぁ、はぁ……。ご無事でしたか!」

「レイア、あなたこそご無事でしたか!?」

「ええ、おかげさまで……!」

レイアは疲れてはいるようだが、全く怪我はないようだった。

「ぴよ。たくさんのぴよがいるぴよ……!」

「北のぴよがたくさんなんだぞ」

「たくさんぴよ。……みんな、だっぴするぴよ?」

「多分、するんだぞ」

「ぴよ。おそるべきせーたいぴよね……!」

なんだかごくりと喉を鳴らすディア。

ぞろぞろと現れる、近衛ぴよと兵士ぴよ。

その誰にも怪我はない。レイアの指揮のおかげであった。

全員の無事を見て取り、イグナートが呼びかける。

「皆、揃ったか……」

その声には威厳があった――間違いなく為政者の声である。

「偉大なる英雄の来訪に、改めて敬礼!」

「「ぴよー!」」

一斉にコカトリス着ぐるみがステラへと敬礼した。

それを見て、ステラも敬礼を返す……。

偉大なのは自分だけではないと、ステラは知っていた。

腰に差した二本のバットが太陽に照らされているのだ。

「……やはりバットは偉大ですね……!」

その頃、エルトの家。

草だんご作りは佳境を迎えていた。

コカトリスがこねこねした草だんごをまたひとつ、テーブルに置く。

テーブルには数十個の草だんごが置かれている。

「……ぴよ」(……そっ)

「ぴよっぴ……」(とてもグッド……)

「ぴよよー」(そちらこそー)

「「ぴよぴよぴよー!」」(あはははー!)

どうやら楽しそうに作っているようだな……。

対してこちらは倍の大きさの草だんご――ビッグ草だんご作りに苦戦していた。

ウッドが首を傾げながら呟く。

目の前には固まっていない、ふにゃふにゃのビッグ草だんご。

「ウゴ、固まらない……。柔らかいまま」

「うーん……まさか、こんなに難しいとは……」

アナリアがむむむっと唸る。

さっきから何度もチャレンジしているが、ビッグ草だんご作りは難航しているのだ。

「単純に材料を倍にしても、うまく行かないのか……」

「ええ、材料を分けて元の分量にするとうまく行くのですが……」

「つなぎとなる成分が足りないということか……うーむ」

草だんごはドリアードの見つけてきた薬草を混ぜて作る。

それ以外の添加物は一切含まれていない。

薬草の中につなぎとなる成分があり、それがこねこねされることで固まるのだ。

しかし材料が倍になると、このバランスが崩れるらしい。

なので固まらずに柔らかいままなのだろうな。

このレシピはドリアードから教えてもらった、そのままである。

どこを変えればいいかはすぐにはわからないな。

「まさか大きさを変えると、こんなことが起こるとは……! レシピのどこを弄ればいいかは、私達ではわからないですね……」

「そうだな……。あとは……」

「ウゴ?」

俺はウッドを見上げる。

「探りを入れてみるか、だが」

「ウゴ……! とうさんが?」

「なんとかうまく言ってみれば、バレないと思う」

正直、普通の草だんごでもウッドは作れる。

しかし体の大きさ的にベストではない。

それはなんとなく、もったいない気がする。

……テテトカなら勘は鋭いが、協力してくれると思うし。

「……ウゴ。そしたら、頼んでもいい? 俺だとうまく聞けないと思う」

「ああ、わかった……」

ぽむぽむとウッドを撫でる。木の温もりが伝わってくる。

「うーん、草だんごにも色々とあるんですね……。勉強になりました」

「ああ、そうだな……」

「私も色々と材料を変えてやってみましょうか。何か法則性や意外な何かが見つかるかも……」

「すまないな、そうしてくれると助かる」

様々な面からやってみるのも大事だからな。

コンコンコン。

と、玄関がノックされた。

「お客様ですね……」

誰か来たようだな。来客の予定はなかったと思うが……。

「ウゴ、行ってくる!」

「ああ、頼む」

ウッドが玄関に向かい、扉を開ける――。

そこにはぽやっとしたテテトカがいた。

「やほーですー」

「ウゴ、いらっしゃい!」

「こんにちは、テテトカ」

「こんにちはですー!」

「「ぴよっ!」」(こんにちぴよー!)

挨拶を交わすと、テテトカはすすっと俺の隣に来る。

珍しいな。いきなり距離を詰めてくるのは……。

「ちょっといいです?」

しかもこそこそ声だ。

本当に珍しい。なんだろう?

少し屈んで、耳を寄せる。

ヒソヒソ。

「ああ、いいが……」

「ララトマがウッドへ、プレゼントしたいみたいなんですけど……その相談でー」

……。

なんというタイミング。

俺は思わずテテトカの顔をまじまじと見た。

二人とも同じことを考えていたようだな……。

「ちょうど、俺もその相談がしたかったんだ」