軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

トマトのブルスケッタ

「よし!作る!」

ハストさんに声をかけ、台所へと移動。

そして、ひとり気合いを入れた。

まずはポイント交換! いつも通りに液晶を操作して、新しい食材を入手する。

そうして辺りが白く光ると、調理台の上には二つのものが現れた。

「ああ……バター……懐かしい……」

調理台の上にある、黄色く四角い箱。

それを手に取って、思わずため息を漏らしてしまう。

バターはこちらの世界では高級品らしく、まだお目にかかったことはない。

まあ、バターは作るのに手間がかかるしね。

脂肪分の高い乳を乳脂肪と水分とに分離させる工程もめんどうだし、しかも、常温でやっていてはいつまでたっても分離しない。

ちゃんと冷やさないと、分離させるのは難しいから、きっちりとした温度管理も必要だ。

けれど、冷蔵庫なんてないわけで……。

こちらの世界で使用しているのは氷室のようなものらしい。そりゃあバターが高級品になるのもうなずける。

だから、パンにはいつもカッテージチーズだった。

でも、今回はバター。

大好き、乳脂肪。

「トマト、バジル、オリーブオイルときたら最後はこれ!」

そして、バターと一緒に交換した、白くてころんとした形。

「にんにく!」

イタリアンの王様。

くさいのに最高においしくて、くさいのが最高においしい粋なヤツ。

今回使う材料はこれだけ。

ハストさんの持ってきてくれたパン、バター、にんにく。

そう、作るのは……!

「ガーリックトースト!」

カリカリのパンにバターがじゅわっ。

にんにくの香りに有塩バターの塩味が効き、知らぬ間に食べきってしまう恐ろしいパン。

だいたいはあらかじめバターとにんにくを合わせた、ガーリックバターを作り、溶かしてからパンに塗り、トースターでカリッと焼くのが多い。

でも、私の台所にトースターはない。

なので、今回はこれを使う!

「フライパンでガーリックトースト!」

最初にポイント交換した大きなフライパン。

日々大活躍だけど、今日も活躍してもらう。

まずは立ち上がりの遅い電熱器でフライパンを温める。

その間にバターを箱から出し、銀色の紙を慎重にはがした。

「……バターケースがいるな」

バターの保存方法は人それぞれだと思うけど、私はあらかじめ切り分けてから保存をするタイプだった。

最近ではそれ用のものも売られるようになってるよね。

しっかり張られた針金の上にバターを置いて、ぎゅっと上から押す。

すると、針金で等間隔に切られたバターが出来上がるという、すばらしいやつ。

だいたい5グラムで切り分けてくれるから、すごく便利だった。あれが欲しい。

でも、今はないので、バターの塊から使う分だけ切り分けていく。

今回はいつもの厚さ2cmぐらいの斜め切りフランスパンが六枚なので、20グラムあればいいかな。

5グラムでカットされたバターを思い出しながら、目分量で。まあガーリックトーストのバターは多すぎるぐらいがおいしいと思うので、だいたいで大丈夫。

そうして、切り分けたバターをフライパンへ入れると……。

「うん!この音!」

フライパンの上をバターが滑っていく。

じゅじゅっと音を鳴らしながら小さくなる姿はなんかもうかわいくも見えてくるよね……。

「はっ眺めて、喜んでる場合じゃない」

バターが溶けきらないうちに急いでパンを並べる。

パンは焼きたてだったようで、中身はまだふんわりとしていた。

「このパンなら片面焼きにしよう」

せっかくの焼きたてパンだから、その柔らかさも使いたい。

トースターでガーリックトーストを焼くと当たり前だけど両面が一気に焼ける。カリカリ食感だ。

しかし、フライパンは片面ずつしか焼けないから、今回はそれを利用する。

片面はカリッカリ。けれど裏面はまだふんわりとした食感。

そこにしっかり溶けたバターがじゅわっと染み出せば最高においしいはず!

「強火で一気に!」

パンが焦げないように弱火にしたいけれど、ここは高温で!

低い温度でじりじり焼くと、パンの水分が逃げてしまうのだ。

今日はカリッふわっで行きたいので、強火で。ただし焦げやすいので焼き時間は短めで。

そうして、パンを焼きながら、バターをまた紙で包み、箱に戻す。

冷蔵庫に入れれば、パンはもう焼き上がりだ。

「アシストありがとう!」

フライパンを電熱器から持ち上げれば、いつものようにスッと出てくるお皿。

そんな台所へお礼を言いつつ、パンをお皿へと並べていく。

強火で手早く焼いた片面はしっかりと焼き目がつき、カリッカリだ。

「にんにく、行きます」

そう。今のままではまだバタートースト。ガーリックトーストにするにはにんにくが不可欠!

まずはころんとした形のそれの皮を剥く。

そして、ひとかけらだけ引っ張れば、大きな塊からぽろっと取れた。

そのひとかけのにんにくの頭を包丁で切り、できた切れ目から薄い皮を剥いて……。

「相変わらず剥きにくいな」

皮が剥きにくいです。

薄すぎてすぐに千切れるし、なんか指にくっついて邪魔をしてきます。

本当に、にんにくの皮はいつだって剥きにくい。

しかも、それだけではなく、調理する際は手ににおいもつく。ちゃんと洗ってもなんかにおい取れないなってなるんだよね……。

でも、またにんにくを使ってしまう……だっておいしいから……にんにくって罪な子。

そうして、にんにくに翻弄されながらもつるっとさせると、切断面を上にして、手に持つ。

そして、もう一方の手で焼き上がったパンを持って……。

「あつっ」

当たり前だけど熱い。パン熱い。

でも、料理に熱さ冷たさは付き物だから……!

「あついっ……あつっ……つ」

ひとりで戦いながら、カリカリに焼けた面ににんにくをすりこんでいく。

すると、おろし金のようになったパンに削られ、にんにくの香りが一気に辺りに漂った。

「いいにおい……食べたい……あちっ」

その香りに思わずごくっと唾を飲む。

にんにくは本当に食欲が増す香りだと思う。

フライパンで焼く時にみじん切りしたにんにくを入れてもいいんだけど、にんにくが焦げやすい。

それに、やっぱり生のにんにくをこうして擦ると、食べた時に口に広がる香りが違う。……まあ、熱いけどね!

そうして小さくなるにんにくと戦いながら、六枚全部にすりこめばガーリックトーストのできあがり!

包丁を洗い、納めてから冷蔵庫のワンドアぱたんでできあがっていたトマトのオリーブオイル和えも取り出す。

しっかりと焦げ目がついたガーリックトーストは裏面はまだふんわりとしている。

トマトはオリーブオイルとしっかり合わさり、光をきらきらと弾いた。

「トマトのブルスケッタ!」

ガーリックトーストとトマトのオリーブオイル和え。

それにスプーンをつければ、この二つを合わせて一品!

「『できあがり!』」