軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

142.攻撃。

「オウ魔界王、アルギリスからの攻撃を魔界に送るのは賛成だが、実際は難しい」

「そうなのか?」

オウ魔界王が首を傾げる。

「あぁ、奴の攻撃は予測が出来ないんだ」

「アルギリスは、そんなに自由に動き回れているのか?」

驚いた表情のオウ魔界王と、眉間に皺を寄せた創造神。

「そうなんだ。だから対応も難しくて。俺の仲間が近くにいれば……いや、無理だな」

攻撃される先に、魔界への道を開ける必要がある。

攻撃される前だったら準備が出来るかもしれないが、攻撃された後ではどんなに急いでも間に合わないだろう。

「悪い。アルギリスの居場所を把握したとサブリーダーから聞いたから、奴からの攻撃にも対応できると思っていた」

オウ魔界王の言葉に苦笑する。

「居場所は分かっている。この場所のように、神国に繋がっている異空間だ」

ここは3つの世界と繋がっているけど。

「異空間か。ん~、それなら無理か」

オウ魔界王も異空間の事について知っているみたいだな。

「アルギリスの攻撃を防ぐと同時に、倒す方法を探す必要があるんだよな?」

創造神の言葉に頷く。

「攻撃を予測できないとしても、居場所がわかっているなら攻撃は出来るんじゃないか?」

オウ魔界王の言葉に、ハッとする。

確かに居場所が分かっているのだから、攻撃は出来る。

アルギリスの作った異空間に入り込まなければと思ったけど、必要ないのでは?

「そうだよな。居場所が分かっているんだ。攻撃は可能だ」

創造神も気付いたのか、表情が少し明るくなった。

「それなら――」

ギシギシ、ギシギシ。

異空間に不穏な音が響く。

オウ魔界王が言葉を止め、周りを見回す。

「なんだ、この音」

バキバキバキ。

そして次に聞こえた何かが壊れる音。

「アルギリスの攻撃か?」

創造神の神力が、何処かに向かうのが分かった。

おそらく神国の状態を調べているのだろう。

呪界の様子を確認するが、問題は起こっていない。

オウ魔界王を見ると、彼も首を横に振った。

つまり、音の原因は神国にある。

「えっ」

驚いた声を上げた創造神の顔色が、どんどん悪くなる。

「大丈夫か?」

オウ魔界王が、創造神の肩を掴む。

それでも反応しない創造神に、オウ魔界王が肩を揺さぶった。

「アルギリスが、攻撃で星を……、星を爆発させて、消滅を」

「「…………」」

創造神の言葉に、一瞬意味が掴めなかった。

アルギリスが何をした?

星の爆発に消滅?

手をギュッと握ると、爪が掌に刺さった。

その痛みに、混乱した頭が少し落ち着く。

冷静になれ。

「星の被害は?」

俺の言葉に創造神が一度ギュッと唇に力を籠めた。

「3つが消滅。1つが半壊。消滅した星を守っていた神獣達の気配も、無くなったそうだ」

被害が大きい。

今までの動きから、こんな事をするとは思わなかった。

アルギリスは何がしたいんだ?

「まだ攻撃は続いているが、呪界王の仲間が結界を張って、星への攻撃を防いでくれているみたいだ」

ロープと蜘蛛達が頑張ってくれているのか。

でも、仲間達にも被害が出ているかもしれないな。

神国に行きたいが、どうすれば。

「創造神。俺を神国に招いてくれ。今の俺だったら、アルギリスの攻撃前に移動する事が出来る。前に出られれば、魔界への道が開ける。ただ俺が神国に行くと、影響を及ぼすかもしれないが」

オウ魔界王の言葉に、創造神が戸惑った表情をした。

それは、そうだろう。

オウ魔界王がアルギリスの攻撃に対応できなければ怪我を負うかもしれない。

いや、アルギリスの力は星を消滅させるほど強い。

もしかしたら、オウ魔界王が死ぬ可能性だってある。

そして、オウ魔界王が神国で力を使った場合の影響も気になるのだろう。

世界の王となった時に、自分の力が他の世界に影響を及ぼす力なのだと知った。

ただ分かっている事は、それだけなのだ。

どう世界に影響を及ぼすのか、それは分かっていない。

悪い方に影響するのか、それとも良い方に影響するのか。

「もし、オウ魔界王に何かあったら」

創造神の言葉に、オウ魔界王が笑う。

「大丈夫だ。魔界が落ち着き、仲間達からの支持が増えて俺の力は過去最大まで強くなった。前魔界王の部下だったゴルア魔神にも、これまでで一番強い魔界王だと言われている。だから、アルギリスなどに殺される事はない。怪我は、気にするな。それは俺が失敗しただけだ。影響については、実験だと思えばいい。いずれ試してみないと駄目な事だっただろう?」

確かに自分の力が、神国や魔界にどう影響するのか知りたいとは思っていた。

悪影響が出た場合のリスクが大きかったため、使わせて欲しいとは言いだせなかったが。

「はぁ、分かった。頼む。助けてくれ。ただし危険だと思ったらすぐに逃げてくれ」

「もちろんだ」

オウ魔界王と創造神の話を聞きながら、悩む。

魔界王と呪界王。

我々が、神国で力を使えば影響力は大きくなる。

だから、今は行かない方がいいと思うのに、なぜか今行くべきだと思ってしまう。

「呪界王。どうしたんだ?」

オウ魔界王の言葉に、首を横に振ろうとして、止める。

呪界王の「勘」なのかもしれない。

それなら従った方がいいよな。

「俺も神国に招いてくれないか? 2柱が世界を越えるため、影響がどう出るか分からないが」

俺の言葉に創造神が驚いた表情をする。

隣にいるオウ魔界王も驚いている。

「分かった。魔界王、呪界王。2柱を神国に招く」

創造神の言葉と同時に、視界が変わる。

そして、見えた世界に目を見開いた。

「思ったより悪い状況だな」

オウ魔界王の言葉に頷く。

あちこちで攻撃による光が見える。

ロープたちは大丈夫だろうか?

さすがにここまで攻撃を受けているとは思わなかった。

「創造神。俺は勝手に動いても構わないか? すぐに、攻撃前に移動できるか試したい。出来たらそのまま、その攻撃を魔界に送る」

「自由に動き回ってもらって構わない。気を付けて」

オウ魔界王が笑って頷くと、ふっと姿を消した。

ドーーーン。

近くで大きな音が聞こえた。

視線を向けると、建物が半壊している。

「あそこは!」

創造神の焦った声に視線を向けると、彼は半壊した建物に走り出していた。

その後を追いながら、ロープに声を掛ける。

『ロープ。ロープ』

なかなか返答がない。

その事に、不安がつのる。

もしかして、何かあったのでは?

「あっ!」

頭の遥か上。

神国ではありえない魔神力を察知した。

「オウ魔界王か」

彼の言うように上手くいけばいいが。

「みんな、無事か!」

創造神が誰かに向かって声を上げた。

視線の先には、神族達の姿。

「大丈夫です。でもガルアル神が中に!」

神族の言葉に、創造神が半壊した建物の中に入って行った。

それを見送ったあと、神族達に視線を向けた。

「怪我は?」

神族達の様子を見る限り大怪我はしていないと思うが、見えない場所はどうだろう?

「大丈夫です。逃げる時に擦り傷が出来たけど、攻撃では無傷だったから」

まただ。

また、神族達は無傷だ。

俺の存在に少し戸惑いながら返事をする神族に、お礼を言う。

「あっ」

再度感じた魔神力。

先ほど感じた場所からは、少し離れている。

「場所を移動したという事は、成功したのかな?」

魔神力を探ると、強い呪力を感じた。

が、フッと呪力が消えた。

これって、魔界に送ったという事か?

もう少し探ろうとすると、創造神の力が不安定に揺れた。

「何かあったみたいだな」

急いで創造神のもとに向かう。

フワフワと不安定に揺れる創造神の力。

今のこの神国で、その力の揺れは駄目だ。

「創造神、大丈夫か?」

創造神の力を追って、部屋に入る。

その部屋は、攻撃を受けたのだろう。

壁がなく、外の景色が見えていた。

そして床に広がる血。

「創造神」

彼の肩を掴むと、誰かを抱きしめている事が分かった。

「創造神、しっかりしろ!」

抱きしめている者の様子を窺う。

かろうじて息がある。

「まだ、間に合うはずだ」

創造神の腕の中にいる者に向けヒールを掛ける。

いつもならすぐに傷は塞がるのに、なぜか効きが悪い。

「ガルアル神」

その様子を見た創造神の目から涙が溢れる。

血で汚れているため気付かなかったが、倒れていたのはガルアル神だったのか。

「うっ」

苦しそうなガルアル神の声。

このままでは、手遅れになる!

ガルアル神の手を握り、傷が治るイメージを作る。

イメージが出来たら、

「ヒール!」

膨大な神力を、ヒールの魔法に乗せてガルアル神に送る。

ガルアル神が光に包まれると、血を流していた傷がスーッと治っていく。

そして数秒後、ガルアル神の意識が戻った。

「ガルアル神!」

泣いている創造神に驚いた表情のガルアル神。

もう大丈夫だな。