軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

140.認めてしまった。

似た力ではなく呪力に?

進化でもしたのか?

それともアルギリスの力が安定して……あれ?

アルギリスの力が……安定?

なんだろう、気になる。

重要な何かを忘れている様な……似た力が呪力に安定した。

「あっ! 存在証明だ!」

「呪界王? どうしたんだ?」

「そうだ。俺がアルギリスの力を認めたから、安定してしまったんだ」

今まで誰にも認められていなかったアルギリスの力は、不安定だった。

そして無いものだったから、襲っても神を傷つけられなかったんだ。

でも俺が、呪力だと認めてしまったため安定した。

あっ……俺は、アルギリスの存在まで認めてしまったじゃないか。

名を呼び、異空間にいると認めた。

神を襲いだしたのも、そして神が傷ついたのも、俺のせいだ。

ただ、かなり昔からアルギリスの呪詛は魔界王に届いていた。

誰にも認められていない状態なのに、魔界王に影響を与えた。

つまり、それだけの力があるんだ。

そしてそんな力を、俺が認めてしまった。

パネルに映る創造神を見る。

「悪い。アルギリスの力を俺が認めてしまったせいで、神が傷つけられたんだと思う。そしてかなりやばい状況を作ってしまったかもしれない」

「認める? そうか、存在証明か」

「あぁ」

創造神の様子から、存在証明で起こる事態を知っているようだ。

「呪界が出来た経緯をフィオ神から聞いた、だからその影響力は知っている」

あぁ、それで知っているのか。

あの時は、フィオ神、アイオン神、オアジュ魔神が呪界の存在を認めてくれたんだよな。

「それに俺も証明した1人だろう。過去の記録から、名前を引っ張り出してきたのは俺だから」

世界の王が2人も認めた事になるのか。

「でもアルギリスが生み出す呪詛は、遥か昔から魔界に届いて魔界王を狂わせてきた。つまり、かなり強い力を持っていると考えられるんだな」

創造神の言葉に頷く。

アルギリスの存在も奴の力も、俺達が認めたせいで変化してしまった。

一度認めた物は、無かった事には出来ない。

どうする?

「いや、良かったのだと思う」

「えっ?」

思いがけない言葉に、創造神を見る。

「呪力だと認めた事で、浄化が出来るようになったはずだ。だから、絶対こっちの方がいい」

確かに、呪力に似ているとはいえ、別の力だ。

それなら対処が出来る呪力で安定してくれた方が、良かったと言えるか。

不意に何かが、呪界に向かってくる事が分かった。

なんだ?

巨大な力?

「創造神、結界を!」

来る!

パリーン。

目の前のパネルが吹き飛び、破片が飛び散る。

顔を守るように腕を上げると、自分に張ってある結界を強化する。

今の力。

アルギリスが持つ呪力だ。

それも、かなり濃かった。

「創造神? 無事か?」

パネルはもう使い物にならないので、神国にいる創造神に直接言葉を送る。

「……」

「創造神? 創造神?」

「あぁ、大丈夫。ビックリした。悪い、貰ったパネルが粉々だ」

「それは大丈夫だ。また、新しいパネルを送るから。それより怪我は無いか?」

「あぁ、ちょっと……」

もしかして怪我を負ったのか?

「大丈夫。少し驚いて――」

「創造神。無事ですか?」

この声は、フィオ神だな。

それに複数の神が、創造神の下に駆け寄るのが見えた。

創造神は、彼等に任せよう。

そういえば、神国にいる仲間達は大丈夫だろうか?

それに呪界にいる者達は?

『リーダー』

異空間から家にいるリーダーに、声を掛ける。

『主? 無事ですか? 今、巨大な力が呪界に向かってぶつけられましたが、何か分かりますか?』

『アルギリスの攻撃だ。リーダー、呪界に被害が出ていないか調べてくれないか?』

『分かりました。しばらくお待ちください』

リーダーとの繋がりが、切れたのが分かった。

次は。

『ロープ。ロープは大丈夫か?』

神国で活動しているロープに、声を掛ける。

しばらくすると、ロープと繋がった感覚がした。

でも、声が返ってこない。

『ロープ?』

『あれ? 繋がったと思ったのに、聞こえない。力が不安定だな』

ロープの言葉に首を傾げる。

繋がっているのに声が届いていないし、力が不安定?

ロープに送る力を少し強めて、再度声を掛ける。

『ロープ? 声が聞こえるか?』

『あっ、聞こえた。それに主からの力が増えた?』

『ロープが不安定だと言ったから、声を届ける力を強めたんだ』

イメージは細い糸から、少し太いロープにした感じかな。

少し不安だったけど、無事にイメージは成功したようだ。

『それで、今の攻撃で仲間達は怪我を負っていないか?』

『それは大丈夫。ただ、神達が怪我を負った。だから、仲間達と一緒にヒールを掛け回っているんだ』

そうだったのか。

それにしてもアルギリスの力は、今のところ神にしか効いていないな。

『ありがとう。アルギリスの力を変化させたのは俺と創造神のようだ。俺達が奴の存在と力を認めてしまったから、攻撃が神に効くようになったんだと思う』

『そうだったんだ。でも、こちらに届くという事は、こちらからの攻撃も届くという事だよね? 悪い事ばかりじゃないよ』

『ありがとう』

ロープは、優しいな。

『呪界王? 聞こえるか? パネルでの通信が無理みたいだから、直接話しかけてみたんだが、無理か?』

この声はオウ魔界王だ。

『オウ魔界王。聞こえている』

あっ、もしかしたら今の攻撃が魔界にも起こったのでは?

『今、神国から攻撃を受けたんだが、何か分かるか?』

神国からの攻撃だと思ったのか。

『今の攻撃は、魔界への攻撃では無いんだ。今のは、神国で問題になっているアルギリスの攻撃なんだ。魔界だけではなく神国、呪界にも攻撃された。呪界の被害状況は今調べている所だ。神国では神達が怪我を負ったらしい。魔界での被害は?』

『それは大丈夫だ。それに、今の攻撃のお陰で喜んでいる者がいる』

喜んでいる者?

『誰が喜んでいるんだ?』

『誰では無いんだ。魔界で育っている大木だ。あれが、攻撃を全て吸収してしまった。しかもそのあと、急激に成長して花が咲いたんだ』

『はっ?』

『あはははっ。意味が分からないだろう?』

『あぁ、全く分からない』

花ってなんだ?

『俺も、なぜそうなったのか全く分からない。でも、魔界はそのアルギリスからの攻撃で被害が出る可能性は低いと思う』

『そうか。それは良かった』

良かったのか?

まぁ、被害が出ないなら良いか。

『魔神と魔族達には、今の攻撃について声明を出しておくよ。「神国からの攻撃では無い」と』

『あぁ、頼む』

魔界が問題ないなら、呪界と神国だけに集中できるな。

『主、聞こえますか?』

リーダーか。

『どうだった? 被害は?』

『ありません、神国から力の塊が飛んできて呪界にぶつかったのは、飛びトカゲ達も分かっていましたが、それ以上は何もありませんでした』

つまり被害は無し。

呪界を守る結界が、被害を防いでくれたのか?

『それと、地下神殿から妖精が来ています』

妖精が?

地下神殿からほとんど出ないのに。

『何か、あったのか?』

『主? 聞こえてる? これ聞こえてるの?』

そういえば妖精とは、この話し方はした事がないな。

『聞こえている、心の中で話せば俺に届くから』

『そうなんだ。別に声を出してもいいんだよね?』

『あぁ。それで、どうしたんだ?』

『さっき、衝撃が来たあと、湖に花が咲いた。あと、4階の葉っぱばっかりだったあの場所にも花が咲いたよ』

魔界に続き、呪界でも花?

はぁ、考えるのを放棄していいかな?