作品タイトル不明
100.「偉大」では無い。
―ロープ視点―
やはり信じてくれないなぁ。
今まで色々な神を見てきたけど、彼等は少し思い込みが激しいところがあるよな。
特に問題を起こした神達の記憶装置を確認したけど、どの神達も思い込みが激しかった。
自分の信じたい事だけを信じ込み、突き進む。
それが強さになる事もあるけど、悪い方向に突き進む事も多いから注意が必要なんだよ。
「そうか。ロープはなぜ神国は?」
んっ、神国は《・》?
あぁ、シーバー神をよく見るとかなり動揺しているみたい。
それはつまり、映像で見た神国が気になっているという事だよね。
このまま、外に少しでも興味を持ってくれればいいんだけど。
「ん~……極秘任務かな」
あっ、表情が変わった。
興味かな? 不審かな?
「あっ、ちなみに極秘任務の内容は、この星の神達と神族の勧誘だから。呪界に来ませんかって」
不審だと警戒心が増すかもしれないから、ここは正直に話そう。
あっ、完全に混乱させてしまったみたいだ。
攻め方を少し変えよう。
「このままこの世界にいても、神に怯えて暮らす事になるだろう? 違う?」
呪界に来たら安心出来る事を、紹介していこう。
「えっ? それは、まぁ、そうだな」
「そうだろう?」
良し、もう一押し?
「怯えて暮らすより、のびのび生活したくない? 呪界に来れば、神に怯えて暮らす事は絶対に無いよ。主……呪界王が、横暴な神達から守ってくれるから」
シーバー神はまだ警戒心が強いけど、周りの神達や神族は我の提案に興味がわき始めているな。
だったらもう少し彼等の不安を取り除こう。
「この星をそのまま移動させるから、今の生活を変える必要も一切ないし」
まぁ、本当にこの星をそのまま移動出来るのかは不明だけど。
でも主なら、きっとやってくれると信じている!
「そうなのですか?」
おっ、シーバー神以外の神が話しかけて来た。
これはいい傾向だな。
「うん。約束するよ」
約束しちゃったけど……大丈夫だよね?
「あれ?」
今、神国を映している映像にありえない存在が映ったような……。
気のせいかな?
ちょっと調べてみようかな。
映像を映し出しているパネルを操作して、映し出している場所を変える。
「どっちに向かっていたのかな?」
目の前の映像が次々と切り替わる。
それを、興味深そうに神達と神族達が見に近寄って来る。
さっきまで、警戒して近づかなかったのに。
「見つけた。というか、本当にクウヒだったのか」
どうしようかな。
迎えに行く?
でも、どうして彼が神国にいるんだ?
「どうしようかな?」
あっ。
こっちを見た。
えっ?
まさか、我が見ている事に気付いた?
いや、それは無いか。
でもこっちに来ているな。
こっちというか、この映像を撮っているカメラの方に。
「カメラ、発見」
「「「「おぉ~、声が聞こえた」」」」」
神達と神族達が、聞こえてきた声に盛り上がっているけど我もビックリだから。
本当に、カメラに気付いたなんて。
かなり小型化したのに。
「ロープ? 繋がっていると思うんだけど、違うのかな?」
「あっ、大丈夫」
しまった。
通信をオープンにしないと。
「クウヒ、悪い。ビックリして反応が遅くなった。でも、どうしてカメラの場所が分かったんだ?」
「呪界の力を微かに感じたからだよ。それより、今は何処にいるんだ?」
呪界の力?
後で確かめておこう。
まずはクウヒに、この場所を教えてもいいのか。
いや、今は駄目だろう。
神達と神族達は、我を少しだけ信じ始めていたがまだまだだ。
この状況で、我の仲間をこの世界に呼ぶのは悪手だ。
「悪い、クウヒ。今いる場所については、内緒なんだ」
「そうなんだ。それなら仕方ないか」
そう言えば、クウヒはどうして神国にいるんだろう?
「クウヒはなぜ神国に?」
「入れるか挑戦してみたんだ。今なら結界が無いし」
あははっ。
主の周りにいる子供達は、どうしてこう何でもやってしまうんだろうな。
「誰かにバレる前に帰った方がいいよ」
「そうだね、そうする」
手を振って帰って行くクウヒに笑ってしまう。
体格は良くなっても、まだまだ好奇心に突き動かされるんだから。
まぁ我も似たような性格だから、クウヒの事は言えない……かな。
「あの」
あっ、神達が周りにいたんだった。
「何?」
あれ?
何となく雰囲気がさっきとは違うな。
警戒心がかなり弱くなって、興味の方が出てきている?
「さっきの方は神族ですか? どこか違った雰囲気だったんですが」
「あぁ、彼は呪界の王が守っている子供の1人だよ」
「王が守っている?」
「うん」
我の言葉に、周りにいた神達と神族達が顔を見合わせた。
その行動に首を傾げる。
特に、おかしな事は言っていないはずだけど、なんだろう?
「何か気になる事でも?」
「世界の王は特別な存在なので、簡単には触れ合う事は出来ないですよね? それなのに、王に守られている存在がいるのですか?」
不思議そうに聞く神に、首を傾げる。
簡単には触れ合えない?
あぁ、そう言えば創造神は「別格」として扱われていたんだったな。
「呪界は神国と違って、王が身近だから」
「そうなんですね。呪界は、声が届きやすくていいですね。神国は……全く声が届かないので」
あれ?
「神国」という言葉を自然と使っているな。
まぁ神国、そのままだから気にする事も無いのかもしれないけど。
ちょっと気になるな。
「神国という呼び方に、違和感は無いのか?」
我の言葉に、周りにいる者達が不思議そうな表情を見せる。
「どういう事ですか? 神がいる世界の事ですよね? もしかして昔とは意味が異なるのですか?」
えっ、昔?
「もしかして昔は、神国と呼ばれていたのか? 我は『神々の住む偉大な世界』と呼ばれていたと聞いたんだけど」
「あぁ、そんな風に呼ぶのは力の強い神達だけだ。我々のように力が弱い者達は『神の国』と呼んでいた。偉大な神々などと、思うわけがないので」
確かに、弱い者を甚振っている者を「偉大」とは思わないな。
思うとしたら屑の国?
「あっ、それより呪界には来てくれるの?」
我の言葉に、シーバー神が複雑な表情を見せる。
「本当に、この星がそのまま移動出来るのですか?」
やった!
「うん。まぁ、主に聞かないと駄目だけど。きっと大丈夫だよ」
シーバー神の周りに集まっている神達を見る。
期待と不安な表情をしている。
シーバー神も、まだ決めかねているようだ。
それなら、
「呪界王に会ってから決めてもいいよ」
「え?」
シーバー神が驚いた表情で俺を見る。
「会えるのですか?」
「パネル越しになるけど」
空中に浮かんでいるパネルを指すとシーバー神を見る。
彼はジッとパネルを見ると頷いた。
「では、お願いします」
よしっ!
主にいい報告が出来そうです。