軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

82.何がしたいのか。

―サブリーダー視点―

主が調べてくれた岩を手に取って、力を流してみる。

「通りやすい」と言われたが、やはり俺には少し難しいですね。

ですが、少し訓練をしたら大丈夫でしょう。

3個の岩を持って魔界に戻ります。

ケルベロスのテフォルテが魔界までの道を作ってくれたので、以前より行き来が楽になりました。

魔界まで一気に飛ぶと、思いがけない場所に出てしまう事がありましたからね。

道を作って安定するなら、もっと早く作ればよかったです。

「ただいま戻りました」

「「「「「おかえり~」」」」」

アリ達と蜘蛛達が出迎えてくれます。

そして彼等は、俺を興味津々で見ています。

「それで?」

代表して親アリが聞いています。

分かっていますよ。

主が選んだ岩がどれなのか、知りたいのでしょう?

「この3つです」

俺が岩を出した瞬間、嘆きと歓喜が湧き起こります。

また、賭けをしていたようです。

まぁ、魔界は娯楽が少ないのでしょうがない……いえ、呪界でも良く賭けてましたね。

主に、親玉さんとシュリの事で。

「失礼します」

声に視線を向けると、ボルナック魔神が頭を下げた。

「どうしましたか?」

「オウ魔界王から伝言で、見せたい物があるので魔界に来たら会いたいそうです」

「分かりました。では今すぐ行きましょう。あっ、これをどうぞ」

主から受け取った魔珠宝を渡します。

呪界では、かなり安定した数の魔珠宝を取れるようになりました。

「ありがとうございます。待っている者達に渡します」

「はい。魔界ではまだ魔珠宝が出来る兆しはないですか?」

「そうですね。魔族達にも探してもらっていますが、まだ」

ボルナック魔神が首を横に振る。

まだまだ、魔界は不安定と言う事でしょうか?

かなり安定したと思ったのですが。

「そういえば、恋人のシルシファリアとは上手くいっていますか?」

オウ魔界王に会うために、彼の城に向かいながら聞いてみる。

少し前に、シルシファリアがボルナック魔神の文句を叫びながら歩いているのを見たので、気になっていたんです。

「あ~、少し前にちょっとケンカをしたんですが、なんとか仲直りしました」

「それは良かったです」

城に向かいながら、周りを見回る。

アリ達や蜘蛛達が頑張ってくれたお陰で、家を建てる事が出来るようになった場所がかなり出来ました。

しかも既に、家を建てるための土台を作り始めています。

ゴーレム達が教えているので大丈夫でしょうが、後で少し確かめておきましょう。

オウ魔界王がいる城に着くと、誰に止められる事もなくそのまま彼のいる執務室に。

この待遇も、少し考える必要がありますよね。

だって、オウ魔界王は既にこの魔界のトップ。

それなのに、ボルナック魔神が一緒とはいえ、誰も俺を止めないとは。

少し問題だと思います。

せめて誰に用事があって訪ねたのかは、聞きましょうよ。

警護のためにも重要です。

「失礼します」

オウ魔界王の執務室には、ゴルア魔神とドルハ魔神がいた。

彼等に挨拶をすると椅子を勧められる。

「見せたい物があると聞いたのですが、なんですか?」

オウ魔界王に視線を向けると、険しい表情である物をテーブルに置いた。

視線を向けると、それは青い魔石だった。

ただし、その魔石にはヒビが入っている。

これでは、どんな力が籠められていたのか分からないですね。

「これは?」

「異常な力を持っている者達の体内にあった物だ」

異常な力を持つ魔族と魔神。

彼等は異様なほど、魔界に憎しみを持っている事が分っている。

しかも魔神は、死に方が通常の魔神とは違う。

あれは本当に魔神なんだろうか?

「魔石ですよね」

手に持って、少しだけ力を流してみる。

魔石なのでスーッと力が魔石に吸収されるが、ヒビが入った場所から抜けて行く。

「あぁ魔石だな。魔族や魔神には、そんな物が体内にあるわけがないんだが」

そうですよね。

魔族や魔神の体内にあるのは魔石ではなく核です。

では、どうして魔石が体内にあるのか。

「誰かに埋め込まれたという事でしょうね」

「そうなるな」

俺の言葉に嫌そうな表情を見せるオウ魔界王。

まぁ、そんな事をしそうなのは神だろうな。

全く余計な事ばかりする。

「どうするんですか?」

「神に対して抗議をするが、今回も相手にされないだろう」

オウ魔界王の言葉に、他の魔神達も諦めた表情で頷く。

確かに、これまで一度として魔界からの苦情や抗議をまともに受け取った事が無いですからね。

「そうかもしれませんが、抗議はしっかりとして下さいね」

「抗議をした」という事実は必要ですからね。

神国も、そろそろ変わっている頃でしょうから。

「もちろん。それで、その魔石の事で相談なんだが」

相談?

あぁ、この魔石がどういう物かですかね?

「魔族や魔神達に埋め込まれた魔石の力を、神に訊いてもらえないだろうか? どんな力が籠められているのか分からないと、対処が難しいんだ」

オウ魔界王の言葉に、頷く。

「分かりました。知り合いの神にお願いしてみます」

すぐに思い浮かぶのはアイオン神ですが、彼女はこの頃本当に忙しいんですよね。

お願いするのは、ちょっと可哀想な気がします。

他に思い浮かぶ神は、フィオ神。

彼も第1位の神の残した星の事で、忙しいです。

他に知っている神は、モモとスミレの身体検査をお願いしたスーキャー神。

彼女は、医者なので魔石については知らないでしょう。

「ロープに、神を紹介してもらえるようにお願いしてみます」

「ロープ?」

ゴルア魔神が不思議そうに俺を見る。

「はい。ロープは神達が作った魔幸石の事です。今、神国で色々動いているんです。だから、魔界に対して嫌悪感の無い神を知っているでしょう」

「そんな神が存在するのか?」

ドルハ魔神の言葉にボルナック魔神が頷く。

確かに少ないでしょうが、数柱ぐらいはいるでしょう。

「大丈夫でしょう」

オウ魔界王を始め魔神達が、首を傾げる。

と言うか、その表情はいないと思っていますね。

ん~、いると思うのだけど、

「もしもいなかったら、アイオン神に紹介してもらうので大丈夫です」

さすがにちょっと、心配になりますね。

最初からアイオン神にお願いした方がいいでしょうか?

「その辺りの事は全て任せるよ。悪い、面倒事を押し付けてしまって」

オウ魔界王は、小さく頭を下げる。

「大丈夫です。神を探すだけですが、この魔石は預かっておきますね」

持っていた魔石を、バッグに仕舞う。

なるべく早く、神にこの魔石が何か訊こう。

「とりあえず、一度呪界に戻ります」

執務室を出て、城から外に出る。

本当に、誰にも止められないんですよね。

今は俺しかいないのに。

オウ魔界王に、警護について話をしないと駄目ですね。

「さて、家の土台を確かめてから、呪界に戻りましょうか」

ゴーレム達が教えているので問題はないでしょうが一応。

それにしても魔石を埋め込まれた魔族と魔神ですか。

神はいったい何をしたいんでしょうね。