軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

29.調査中。

―一つ目獣人国担当 オル視点―

リーダーから、貴族達の動向や新たに出来た繋がりを調査するように指示がきた。

だから、頑張った!

……孫蜘蛛達が。

うん、あの子達は本当に優秀だ。

お礼に差し入れは何がいいか聞いたら「ヒュージサーペントの唐揚げ」と言われた。

主が巨大ヘビといっている魔物だ。

今度の休みにちょっと狩ってこようと思う。

ただ、獣人国の周辺でヒュージサーペントを見た事が無い。

まぁ、森の奥に行けば確実にいるので、ちょっと時間が掛るけど問題は無いだろう。

問題は、狩ってきたヒュージサーペントをどこで処理するかだな。

かなりデカいから。

さて、その問題は後で考えるとして、今は孫蜘蛛達から集まった報告を確認しないと駄目だな。

「あ~、やっぱりかぁ」

少し前、獣人国で暗躍していた貴族達が粛清された。

リーダーが「目に余る者達から、消えて貰います」と言ったので、やりたい放題だった者達から消した。

この事から、残りの貴族達が反省し行動を改めてくれたらよかったのだが、上がいなくなると「次は我々の時代だ!」と思っちゃう愚か者達がいるんだよな。

そして、今回問題になっているのがそんな愚か者達。

その中でも一番問題なのが、現宰相。

コタルギ伯爵当主だ。

それにしても、ヴィスルイが捕まってから宰相の地位が落ち着かない。

替わっては問題を起こし、替わっては無理だと途中で辞めてなど、えっと、コタルギで4人目だったかな?

あまりにコロコロと替わるので、誰が宰相なのか分からなくなりそうだ。

今のコタルギ宰相も、あと少しで消えるだろう。

それにしても、書類の内容をもう一度確認する。

「どうしたらいいかな?」

フッと視界が暗くなる。

前を見ると、親アリさんがいた。

「……いつの間に?」

そんなにボケボケしていただろうか?

「あそこから」

親アリが指した場所には、大きな穴。

あぁ、地下から来たのか。

アリ達は地下で行動する時、一番力を発揮する。

気配を完全に消す事だって、地下なら完璧だ。

ただ、主には気付かれるみたいだ。

それと、本気で切れたリーダーにも。

「動くみたい」

親アリの言葉に、頷く。

そろそろ動くと思ったけど、やっぱり動いたか。

順調に繋がりを増やしたので、そろそろ慶事を名目に集まると思ったんだよな。

さて、この情報をどう使おうかな。

「……リーダー?」

親アリの言葉に、窓から外を見る。

「えっ……」

親アリが戸惑った理由が分かった。

どうしてリーダーはスキップをしているんだ?

しかもちょっと踊っている。

あぁ、親アリがドン引きしている。

実際俺も、引いている。

「「あっ、気付いた」」

俺と親アリが見ている事に気付いたみたいだ。

一瞬で普通に歩きだした。

いや、見ちゃったし。

「……俺は何も見ていない」

あんな恐ろしい光景は忘れるに限る。

「私も!」

力強く言う親アリと視線を合わせる。

そして同時に頷く。

うん、俺達は何も見ていない。

「失礼しますね」

「くっ……どうぞ」

来ると分かっているのに、少し前のあれを思い出して吹き出しそうになってしまった。

リーダーの視線ですぐに落ち着いたけど。

「それでどうでしたか?」

「現宰相の一族が次々と婚約を結んでいます。この1ヶ月で15組が婚約を結びました」

現宰相の一族は、粛清は見逃されたがそこそこに問題がある貴族だ。

少し前には、持ち出し不可の書類を、王城から持ち出そうとした事もある。

まぁ、すぐにバレたけど。

持ち出そうとしたのは、現宰相の弟だった。

ただ、この問題でその弟を処罰する事は出来なかった。

「ワザとではない、気付かなかった」と言ったため、他の証拠が必要だったのだが、獣人の騎士達は証拠を見つけられなかったのだ。

後で俺達が調べたが、誰かの指示で行ったという証拠は出なかった。

なぜなら、弟が現宰相の兄を蹴落とそうと勝手に行った犯行だったから。

その弟は、最近姿を見ていない。

最初はある場所に幽閉されていた、だけど……まぁ、邪魔者は、ね。

あ~貴族は、怖い、怖い。

「伯爵一族とはいえ、婚約出来る子供が15人もいたのですか?」

「いたんだよね。前当主の子供が外にいっぱい。今まで知らぬ存ぜぬだったくせに、必要になったから一族の子だと認めたみたいだよ」

「どうやってですか?」

獣人国では12歳を超えると、親が子供の人生を勝手に決める事が出来ないようになっている。

法律で「親の提案に子供は拒否する権利がある」と決められているのだ。

そして、無理矢理容認させた場合は逮捕され、子供に対しては慰謝料を払う義務が生じる。

その法律は貴族にも当てはまる。

というか、貴族の方が厳しくチェックされる。

「書類を見る限り、提案された者達は全て容認しているようですね」

今まで放置してきたのだから、金を積んだ提案だとしても拒否をする者もいるはず。

だけど、調査結果では誰も拒否をしていない。

それはなぜか。

「親を人質に取られているんだ。親達を調べて分かったんだが、この計画はかなり前から進められていたと思う。親の働いていた所が問題を起こすと、なぜか親達に高額な借金が出来るんだ。詳しく調べたら、問題が起きる前に共同経営者になっていた事が分かった。きっと、親たちの勤め先の者達が、現宰相に買収されていたんだろうな」

親を人質に取られ「拒否」が出来ない状態なのだ。

「なるほど、そういう事ですか。婚約相手はどうですか? 問題がある者はいますか?」

リーダーの言葉に、別の書類を渡す。

「力を伸ばしている貴族や幅広く商売をしている家の者達と婚約をしたようだ。子供達の婚約者だけど、9人が問題あり。かなり危険だと思ったのが3人。奴らの調査は別に行ったから」

3人分の書類を、リーダーに渡す。

受け取ったリーダーは、さっと書類に目を通す。

前も思ったけど、読むのが早いよな。

俺はちょっと苦手だから、羨ましい。

「この3人は随分と暴力が好きみたいですね」

「うん。奴等と付き合ったせいで、大怪我を負った者達がいた」

後遺症が残った者もいるんだよな。

「恋人に選ぶ条件は、自分より弱い力の者ですか?」

リーダーが呆れたような声を出す。

「今まで付き合った者達を調べたら、全員が力の弱い獣人だった。だから自分達より弱い獣人を選んで、恋人にしていると思ったんだ」

自分より強かったら、反撃される可能性があるからな。

この事を調べた時は、本当に大変だった。

孫蜘蛛達が毒を持って行こうとするから。

「今は待て」と何とか説得した。

たぶんゴーサインを出したら、次の日はこの世にいないだろうな。

「3人の家族はこの問題を……ふふっ。なるほど、分かりました」

子供を窘めずに、お金で揉み消していた。

それでも訴えようとした者は、姿が見えなくなった。

今は消えた者達を調査中だ。

「どうしますか?」

リーダーは、親アリを見る。

「そろそろ、彼等が集まるのですか? これだけの縁談が纏まったのだから」

親アリが頷く。

それにリーダーが嬉しそうな雰囲気になった。

「では、集まる場所を特定して時間を探って下さい。おそらく宴会が出来る有名店でしょう。判明したら、隣に部屋を押さえましょう」

つまり、集まりをぶち壊すんだな。

「オル」

「何?」

「被害にあった方達がいくら欲しいか聞いておいてください。上乗せ5割を請求します」

「分かった」

「借金を抱える事になった問題を詳しく調査。買収されていた者達の調査もお願いします」

「分かった。コタルギ宰相と周辺の貴族は消すの?」

「いいえ、貴族がこれ以上減るのは問題ですから、条件を付けて生かします」

条件?

つまり、王に歯向かわないようにするのかな?

「了解」

あっ、凄い勢いで孫蜘蛛達が飛び出していった。

「時間を掛けずに、情報は集まりそうですね」

「そうだね」

リーダーと孫蜘蛛達が飛び出していった、壁に出来た小さな穴を見る。

あの穴、いつ作ったんだろう?

……まぁ、いいか。