軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

102.なんで?

あの日、妖精が見ていた死者の花は翌日には消えていた。

もしかしたら最後の力を振り絞って、綺麗に輝いていたのかもしれない。

今度、周りより輝いている死者の花を見つけたら、じっくり観察してみよう。

「行くよ~!」

今日の浄化を終わらせて家に戻って来たんだけど……今日も皆は元気だな。

にしても、のろくろちゃんが異様に飛び回っているのは気のせいか?

数は6匹から増える事なく、今の数をキープしてくれている。

増え続けなくて良かった。

「こっち」

「よしっ」

何をしているんだ?

さっきから子供たちの指示を受けて、のろくろちゃん達が飛び回っている様に見える。

「お帰りなさいませ」

ひっ!

……お願いだから、気配を消して後ろに立つな!

「リーダー」

まぁ、言っても無駄だよね。

俺のお願いを聞いてくれるなら、既に実行されているはずだから。

「ただいま。ところで、子供達とのろくろちゃん達は何をしているんだ?」

「これは、のろくろちゃん達と子供達による鬼ごっこ、庭限定バージョンです」

庭限定バージョン?

よく見ると、子供たちは庭から一切出ていない。

つまり、庭だけで行う鬼ごっこか。

「凄い動きだな」

庭には隠れる場所がない。

だから、動き回るしかないんだろうけど……動きが速い。

目で追っていると疲れるな。

「鬼ごっこなんだよな?」

「そうです」

リーダーの返事に首を傾げる。

鬼ごっこって、こんなに攻撃を繰り出す遊びだったかな?

「よっしゃ! 大将の首をゲット!」

鬼ごっこなんだよね?

大将?

ゲームのルールを知りたいけど、聞いたら強制的にゲームに参加させられそうだよな。

それは嫌だ。

うん、何も聞かないほうがいいだろう。

「悔しい、半分以上は呪いで動けなくしたのに」

うわぁ。

のろくろちゃん達を使った作戦だ。

月を見ると、悔しそうな表情で黒くなった右手を浄化している。

本当に、呪われても全く気にしないんだな。

「あっ、主!」

ん?

「桜か、どうしたんだ?」

「体を頂戴!」

………………えっ?

今、桜は何って言った?

「体?」

「そう、カッコよくて可愛いのがいい!」

えっと、桜は今の体が嫌なのかな?

だから違う体を欲しがっているのか?

と言うか、体がもし出来たとして……魂を移動させるのか?

俺はそんな事はした事ないから、無理だぞ。

「無理だと思う」

「えっ、どうして。なんで?」

いや、そんな悲しそうな表情をされても困るんだけど。

と言うか、そんなに今の体が嫌なのか?

これはどうしたらいいんだ?

バコッ。

「いったいぃ。風太、何をするの? 馬鹿になったらどうするのよ!」

「言い方! 体を頂戴なんて意味が分からないだろう」

いや、意味は分かったぞ。

ただ、俺に出来るかどうかは分からないが。

「はぁ、体は誰のために欲しいんだ?」

えっ、誰の為?

桜だろ?

「そんなの、のろくろちゃんのために決まっているでしょう?」

んっ?

のろくろちゃんのために、体を頂戴と言っていたのか?

あぁ、一つ目達みたいに体が欲しいのか。

確かにしゃべれないから意思の疎通が難しいもんな。

「良かった」

魂を移動するなんて、怖い事をせずに済みそうだ。

いや、お願いされても拒否するけど。

「主? どうしたの?」

「ははっ、なんでもないよ」

風太は俺が何を想像したのか分かったみたいだな。

苦笑されてしまった。

「主。のろくろちゃん達の体は作れそう?」

「ん~、出来ない事は無いと思う」

一つ目達は、手助けが欲しいと思って作ったから動いてくれるようになったんだよな。

何も考えずに作ったら、中身が空っぽの岩人形、違った。

ゴーレムが作れるはずだ。

ただ、空っぽのゴーレムにのろくろちゃんをどうやって定着させるかが問題だよな。

傍を飛ぶのろくろちゃんを見る。

「とりあえず、空っぽのゴーレムを作ってみるか」

「既に準備はしてあります」

ん?

リーダーの指す方を見ると、ウッドデッキにゴーレムの元になる岩がドンと置いてあった。

ただ、量がおかしい。

いったい、何体作らせるつもりなんだ?

「主?」

「あぁ、ありがとう。凄い量のゴーレムが作れそうだな」

「好きなだけどうぞ」

うん?

好きなだけ?

えっと、一体だよな?

違うのかな?

ウッドデッキに行き、まずはゴーレムを作る。

取り敢えず……目と口があればいいか。

丸いボールに、目と口をイメージしながら岩に魔力を流し込む。

手の中の岩が形を変えだしたので、魔法で一気に作りあげる。

「のろくろちゃん専用ゴーレム作製」

出来た。

あれ?

想像した物より、表情が怖くなってしまった。

まぁ、これは試作品だからいいか。

うん、見た目なんて気にしなくていいだろう。

「あとは、この子を動かす事をイメージしていくか」

ゴーレムに入って動かす。

ロボットみたいなイメージでいいかな?

乗り込んで、手や触覚は無いから電波? 脳波? で信号を送って動く。

「まぁ、やってみよう」

「ゴーレムとのろくろちゃんを……合体」

手に持った丸いゴーレムが青く光ると元に戻る。

「成功したのか? 試してみるしかないよな」

のろくろちゃんを見る。

大丈夫かな?

失敗してのろくろちゃんに何かあると困るし。

ふわり。

「えっ」

手に持っていた丸いゴーレムにのろくろちゃんが近づくと、そのままゴーレムの中に入って行く。

ドキドキして、手の中のゴーレムを見る。

「ん?」

なぜかゴーレムから出てくる、のろくろちゃん。

のろくろちゃんも不思議なのか、振り返ってゴーレムを見ている。

そして再チャレンジ。

やはり、ゴーレムを通り過ぎてしまうようだ。

「ごめん、ちょっと待って」

ゴーレムの中に留まれないのかな?

どうしてだろう?

もう一度イメージをしっかりと作ろう。

丸いゴーレムの中心に、のろくろちゃんが入って中で固定。

そういえば、さっきはこのイメージを作らなかったな。

次にのろくろちゃんの意志で、ゴーレムが動き出すイメージを作って……。

「これでどうだ! ゴーレムとのろくろちゃんをリンク」

合体より、リンク。

繋がりが重要だよな。

手の中のゴーレムが再度、青く光る。

先ほどより少しだけ長く光ると、消えた。

「のろくろちゃん、試してみてくれ」

スッとゴーレムに入るのろくろちゃん。

全員がじっと見つめるなか、ゴーレムがピクリと動いた。

やった成功!

ビシビシ、ビシビシ、ビシビシ。

「えっ?」

パンッ!

「うあっ」

手の中にあった重みが消え、目の前で弾けた。

俺の周りが淡く光り、ゴーレムの残骸から俺を守ってくれる。

結界は、今日も問題ないな。

では無くて、弾けた。

「のろくろちゃんは?」

俺の言葉に反応したのか、目の前に現れるのろくろちゃん。

この子が、ゴーレムの中に入ったのろくろちゃんか?

どの子も似ていて区別がつかないんだよな。

「ゴーレムに入ってくれた子かな?」

小さく動いたけど、頷いたんだよな?

「ごめん。大丈夫だったか?」

目の前でくるくる回るのろくろちゃん。

大丈夫だと言ってくれているみたいだ。

そういえば、皆は?

周囲に視線を向ければ、驚いた表情の仲間達や子供達がいた。

怪我をしている様子は無い。

「良かった」

それにしても、どうして弾けたんだ?

考えられる原因は……呪いの力?

今までとは違う力に、反発したのかもしれないな。

えっと、まずはゴーレムを作って。

「のろくろちゃん専用ゴーレム作製」

次にのろくろちゃんを定着させるイメージに、どんな種類の力でも受け入れるイメージを追加して。

これでよしっ。

「ゴーレムとのろくろちゃんをリンク」

完成!

「のろくろちゃん頼む!」

ビシビシ、ビシビシ、ビシビシ。

パンッ!

力が強いのかな?

ゴーレムの体に耐久を付けて。

ビシビシ、ビシビシ、ビシビシ。

パンッ!

なんで?