軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

51.闇の魔力でした

アイオン神の様子を見ながら、ちょっと冷や汗をかく。

闇の魔力って、そんなにやばいものだったのか?

……俺、もしかしてやばい立場になった?

「まさか、あんなものを作るとは」

いや、大丈夫だろう。

悪さをするわけじゃないし。

「作ってないぞ、再現だからな。それに元々この世界には、闇の魔力を閉じ込めた魔石があったし」

俺の言葉に首を傾げるアイオン神。

何だ?

何か、間違った事でも言ったか?

「闇の魔力を閉じ込めた魔石? もしかして魔界の雫の事か?」

魔界の雫?

「見習いが、数点持ち出した事が確認されていたが、見つかってないんだ。あれは不安定なものだったから、既に消えたと判断したんだが」

「アイオン神が来る前に、主がすべてを回収した。回収した魔界の雫は、ケルベロスたちに与えられたので、既に無いが」

アイオン神に飛びトカゲが答える。

いつの間に隣に来たんだ?

巨大な体を持っているのに、気配を感じないんだよな。

……俺が鈍いのか?

「どうした?」

飛びトカゲが不思議そうに俺を見る。

「なんでもないよ。それより魔界の雫って、森のあちこちに隠してあった石の事であってるか?」

「そうだ。ただあれは石ではない」

石じゃない?

……今思い出しても、石にしか見えないんだけど。

「石じゃないなら、魔界の雫は何なんだ?」

「魔界の雫は、魔界の木々から取れる」

魔界にある木?

つまり木の実? 果実?

あれが?

意外過ぎる答えに、ちょっと戸惑う。

手に持った時の触り心地も石だった。

本当に木の実や果実なのか?

「魔界の木々は、5年間蕾に闇の魔力を溜めそして花を咲かせる。蕾に溜まった闇の魔力が、花が咲いた瞬間雫となって1滴地面に落下する。それが魔界の雫だ」

木の実でも果実でもなかった。

花から落ちる雫らしい。

……液体?

いや、たぶん石みたいに固まるんだろうな。

想像だから正しいかは分からないが、幻想的な風景だろうな。

木々に咲いた花々から雫が落ちていく風景は。

ちょっと見てみたいかも。

「少し、見てみたいな」

「それは、やめた方がいい。雫が下に落ちた瞬間、周りの命を奪うと言われている」

幻想的だと思ったが、恐ろしい現象みたいだ。

見ていたら死ぬって、さすが魔界?

「本当に闇の魔力を作ったのか?」

アイオン神の言葉に首を横に振る。

「再現だって。こっちにあるぞ」

アイオン神をケルベロスが寝ているベビーベッドの近くに案内する。

「これだ」

闇の魔力を閉じ込めた魔石を見せる。

アイオン神は手を出すことなく、俺の手の中にある魔石をじっと見る。

そして、1歩分だけ遠ざかった。

「本物みたいだ」

良かった。

ちゃんと闇の魔力を再現出来ていたみたいだ。

これで違ったら、ケルベロスたちに何を与えたのか慌てるところだった。

「しかも、純度が高い」

つまり?

良い闇の魔力が作れたって事でいいのか?

純度が高い方が、ケルベロスたちにとっていい事だよな?

「どうしよう」

「出来たのだから、それを認めるしかないだろう」

アイオン神が困った表情をしている隣で、飛びトカゲが呆れた雰囲気で言う。

「そうだが! これは魔界の力だ!」

そりゃそうだ。

魔界の力が必要で再現したんだから。

「それがこの世界で維持できるなんて……どうなっているんだ?」

アイオン神の視線が俺に向くが、首を横に振る。

そんな事、俺は知らない。

「さぁ? そんな事より、ケルベロスの事に気付いていたなら魔界に連絡を取ってくれたんだよな?」

見習いが魔界のどこかから攫って来たんだから、責任は取らないと。

「……それが……」

アイオン神の視線が俺から逸れる。

そして、なんとも決まり悪そうな表情になる。

それを見て、嫌な予感がする。

「まさか、連絡を取っていないのか?」

攫ってきたのは神の見習いだったんだから、悪いのは神側だ。

なのに、まさかまだ連絡すら取っていないとは。

「まさか、隠し通すなんて事は……」

俺の言葉に、アイオン神が首を横に振る。

「そんな事はさせない。絶対だ。ただ、魔界と関わる事に反発が強い」

関わる事に反発って。

「関わらないと駄目な状況を作ったのは、神側だろ」

何を馬鹿な事を言っているのか。

俺の呆れを感じ取ったのか、苦笑を浮かべるアイオン神。

「長年、関わらないようにしてきたからな。踏ん切りがつかない神々も多い」

今の言い方から考えると、反発している神は多そうだな。

何というか。

「身勝手な」

「そうだな。だが、そろそろ切れるんじゃないかな」

切れる?

アイオン神を見ると、なぜかちょっと遠い目をしていた。

初めて見るな。

「誰が切れるんだ?」

「……時の神だ」

あぁ、色々協力してもらった神か。

アイオン神をちらりと見る。

何だか大事になりそうな雰囲気だな。

「頑張れ」

「時の神は切れかたが、怖いんだよ。平気で過去の汚点とかばらまくし、無理難題は吹っ掛けてくるし」

それは、精神的に来るな。

「切れる前に、反発している神達を説得するしかないな」

「そうだな……ふふっ」

不気味に笑ったアイオン神から視線を逸らす。

そう言えば、なんでアイオン神を呼んだんだっけ。

「そうだ。核の周りの濁りだけど、あれは呪いだと分かったから」

「……呪い? あれは呪いだったのか?」

アイオン神が、ばっと俺の方へ視線を向ける。

その勢いに、ちょっと引く。

何だか、今日はいちいち動きが激しい。

そう言えば前に、疲れすぎると行動が大雑把になると言っていたな。

「アイオン神、疲れてるのか?」

「そうかもしれない。5日間の徹夜の後に、2日間の会議。会議で出来なかった仕事を夜中に……あれ? 徹夜7日目か?」

「7日! 働き過ぎだろう」

だから、今日の行動は少しいつもと違うのか。

面倒だな。

いや、違う。

心配だな。

「そうか? 3日ぐらいの徹夜なら日常茶飯事だ。この体になってからは、それぐらいなら特に問題が無いんだが、さすがに7日は駄目だな」

「体はしっかり休めないと。ちょっとだけでも、寝ていくか?」

「専用の目覚ましがある場所でないと、起きられなくなるだろうから、やめておくよ」

専用の目覚まし?

「そうか」

「ところで、核の周りは間違いなく呪いか?」

「あぁ、浄化で消えたからな」

「そうか。呪い。どこから呪いが発生しているんだ? しかも世界の中心だ」

そうだ、1つ気になったことがあるんだよな。

全く関係ない事なんだが、聞いてもいいかな?

真剣に考えている時には、やめた方がいいかな?

「どうした?」

ちらちら見ていたのが、ばれたみたいだ。

「核なんだが、直径100mの円と言っていたが、球体ではなく円なのか?」

「ん? 円だぞ? 球体には、長い年月をかけてなっていく」

どう言う意味だ?

「1年に1個円が生まれる。それが長い時を掛け積み重なって球体を完成させるんだ」

「円の厚みは?」

「1nmだな」

1nmの円が年々球体になるって……それってすごい長い年月が必要という事か。

「すごいな。球体になったらどうなるんだ?」

「星の寿命だから、ゆっくり終りに向かう」

星の寿命。

そう言えば、地球にも寿命があると聞いたことがあったな。

確か、数十億年という単位でまったく実感がわかない年数だったけど。

そうか、星には寿命があるのか。

「他に何か訊きたい事はあるか?」

何だったかな。

「核の周辺の呪い以外に、この世界に問題があるとロープが言っていた。何か知っているか?」

「呪い以外に? 前に調べた時は特に気になる事は無かったんだが。そう言えば、思ったより世界が小さいなとは思ったな」

世界が小さい?

ん?

「どう言う意味だ?」

「外から見た星の結界の大きさと、実際に星を調べた時の大きさに違和感があったんだ。調べたが、特に問題は見つからなかった」

一応色々調べてはくれていたのか。

それにしても、世界が小さいね。

何か気になるな。