軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12.換金できない?

困った表情で顔を見合わせている3人を見る。

失敗したな。

侵入を防ぐ結界などは、国にとっては防衛情報になるのかな?

俺としては、「結界で防いでます」と軽く返事が貰えればよかったんだが。

この雰囲気をどうしようか。

謝ったら、もっとおかしな雰囲気になりそうだし。

……よしっ、無かった事にしよう。

「えっと、換金場所はどこにあるんだ? ここから近いのか?」

「えっ!……あぁ換金、えっと確かすぐそこです」

そうとう困らせてしまったんだな。

ダダビスさんの目が泳いでいる。

「こっちです」

小さく息を吐いたダダビスが、馬をゆっくりと動かした。

あっ、聞かなかった事にしてくれたみたいだ。

良かった~。

安堵感から、空を見る。

綺麗な青空が広がっていた。

「いい天気だな……あれ?」

何だろう?

空に膜がある。

もしかして、あれは結界かな?

……あぁ、見えた。

かなり薄い結界が張ってあるみたいだ。

これは侵入を防ぐというより、侵入者を認識するものかな?

流石にこの薄い結界では、侵入者は防げないだろう。

「主、どうかしたのか?」

上をじっと見ている俺を、不思議そうに見るチャイ。

コアもちらりと、後ろを振り返り俺に視線を向けた。

「いや。いい天気だと思ってな」

前を向くと、馬に乗っているダダビスたちが視界に入る。

体が大きく、分厚い胸板。

騎士だからあの体格なのかと思ったが、どうやら違うみたいだな。

村に入ってから見たどの獣人も、ダダビスたちほどではないががっしりした体型をしている。

女性もいたが、たぶん背は俺より高く、体つきもしっかりしている。

まぁ、獣人だけじゃなく人も俺より背が高くてがっしりしてたよな。

……俺って、この世界ではチビでヒョロかもしれない。

いや、きっとそうなんだろうな、はぁ。

「あの、何か不備がありましたか?」

ダダビスの言葉に視線を彼に向けると、なぜか3人揃って不安そうな表情で俺を見ている。

えっ?

なんで?

「いや、不備なんて無いが……」

俺の返答に3人の体から力が抜ける。

どうしてそこまで恐れられているんだろう。

思い当たる事が無いから対処も出来ないよな。

「ここです」

ダダビスの指す建物を見ると、年季の入った1軒の家。

看板も無いため、ダダビスに紹介されなかったらきっと見つけられなかっただろう。

「ありがとう」

コアから降りて建物に近付く。

流石にコアたちは外で待機だな。

「コアたちはここで待っててくれ。すぐに終わるだろうし」

換金はそれほど時間が掛からないだろう。

「主が1人で?」

コアが不服そうな声を出す。

だが、さすがに建物内には連れていけない。

「大丈夫だ。何かあればすぐに呼ぶし」

俺の返答に少し考えたコアは、諦めたのか頷いた。

「ダダビスたちもありがとう。助かった」

案内も終わったし、ここでお別れだな。

子供達の教師を紹介して欲しいが、ここまで怖がられているとお願いしづらい。

あれ?

どうして3人とも馬から降りているんだ?

「店の主人を紹介します。その方が色々といいと思うので」

紹介?

色々といい?

もしかして、誰でも換金できるわけじゃないのか?

何かルールがあるのか?

……これは早急に、この世界のルールを知らないと駄目だな。

今日はダダビスたちにお世話になろう。

「あっ、そうだ、魔石はどんな物でも換金できるのか?」

俺が売る予定にしている魔石は、俺が魔力を注いで変化させた魔石だ。

一つ目に、これでいいかと聞いたら「大丈夫」と言われたので持ってきた。

ただ、一つ目の常識がどこまでこの世界に適合しているのか分からないため、少し不安があったんだよな。

一緒に来てくれるなら、まずは彼らに魔石を見てもらおう。

「どんな物とは、どういう意味でしょうか?」

キミールが、首を傾げる。

これは口で説明するより現物を見せた方が分かりやすいよな。

肩から下げているバッグから、魔石を2つ取り出す。

赤い魔石と青い魔石。

俺が検証した限りでは、赤い魔石は火の魔法を強化してくれて青い魔石は水の魔法を強化する。

魔法を実際に使用して実験したので、おそらく間違いはないだろう。

「これだ。赤の魔石と青の魔石」

出した魔石を、ダダビスたちに見せる。

魔石は俺が魔力を注いだことで綺麗に変化しているが、太陽の下で見るとその綺麗さが際立つな。

「なっ! 何ですかそれは?」

驚いた声を出すキミールに、目を向けると俺の手の上にある魔石を凝視していた。

ダダビスとカフィレットが、俺の手の上にある魔石に手を伸ばす。

「グルグルグル」

コアの唸り声に、ダダビスとカフィレットの手がびくりと固まる。

「コア、落ち着けって大丈夫だから」

お願いだから、これ以上彼らをビビらせないでくれ。

またヒールを掛けるか?

それとも、緊張感を和らげるように……どうしたら緊張感はほぐれるんだ?

リラックスさせる?

……強制的に……洗脳にならないか?

止めておこう。

変な魔法を掛けてしまいそうだ。

「あ、あの、申し訳ないですが魔石を見せてもらえませんか?」

カフィレットの前に魔石を差し出す。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

カフィレットは赤い魔石を手に取るとじっと見つめる。

そして何か魔法を発動させた。

「すごい。かなり純度の高い魔力を感じます」

すごいな、そんなことまで分かるんだ。

さっきの魔法かな?

「だが、これは……」

ダダビスが戸惑った表情で俺を見る。

何だかすごく嫌な予感がする。

「何?」

「この魔石は、たぶんこの村では換金できません」

嫌な予感は当たるよな。

しかし換金できないとなると、別の方法でお金を稼ぐ必要がある。

彼らに俺でも出来る仕事があるか聞いてみようかな?

怖がられているけど見捨てずここまで付き合ってくれたし、もしかしたら仕事を紹介してくれるかもしれない。

「この魔石を買うお金を持っているのは、王都の魔石店だけだと思います」

まぁ、仕事の事を相談する前に、他にかんき……ん?

買うお金を持っている……王都の魔石店だけ。

つまり?

手の中にある青い魔石を見る。

俺が想像しているより、この魔石が高いのか?

一つ目が2つか3つと言っていたのだが、1つでよかったのかもしれないな。

「あ~、そうなんだ。魔石って高いんだな」

俺の言葉にカフィレットが首を横に振る。

えっ、違うの?

「この魔石からは、森の魔力が感じられます。しかも、この魔石の中にはかなり大量の魔力が詰め込まれています。こんな魔石、他にありません!」

カフィレットの言葉に首を傾げる。

森の魔力って言ったよな?

おかしいな、俺が魔力を注いだんだけど変化でも起こしたのか?

手の中の青い魔石を見る。

……俺の魔力以外は感じないんだが……。

「確かにすごい魔力量だな」

カフィレットから赤い魔石を受け取ったダダビスが、魔石を見ながら感心したように言う。

そんなにすごいのか。

まぁ、魔力は詰め込めるだけ詰め込んだからな。

かなり試行錯誤して、魔力を濃縮する事も出来るようになった。

しかし、それのせいで普通では取引できない魔石になったのか?

それは困ったな。

それに、「こんな魔石、他にありません」と言われたが、同じように変化させた魔石が俺の家にはごろごろ転がっているんだが。

「あの、この魔石を王に売るつもりはありませんか?」

おうにうる?

おう……王様!?

「えっと」

話がデカくなってきたな。

俺としては教師を雇えるだけの金が欲しかったんだが。

でも、村で換金できないなら王都までいかないと駄目だし。

あれ?

王様に売るなら、王都には行かないと駄目なのか?

……簡単に換金して教師を雇えると思っていたのにな。