軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

77.現実はシビア……あれ? 解決?

農業隊が午後の仕事に向かう。

あの子たちの休憩は本当に短い。

もう少し長く休憩したらいいと言ったが拒否された。

いわく『本当は休憩も要らない体』なんだそうだ。

岩人形って頑丈だな。

『もういい加減にしてほしい。神がすごい存在だと説明されても本性を知っているから思えない』

(だから、お前は何も知らないと!)

『あ~、はいはい』

ずっと続く無駄な攻防。

それを見ながらお茶タイムを楽しんでいるけど、そろそろ止めた方がいいよな。

だが、どうやって止めたらいいんだろうか?

(貴様、本当に)

『あ゛~! 鬱陶しい!』

ロープがキレること数回目。

何回目だっけ?

「7回目?」

「いや8回目だ」

俺の独り言に飛びトカゲが付き合ってくれる。

そうかロープは8回もキレているのか。

「よく相手出来るよな」

「あぁ。主、こちらに来るぞ」

「ん?」

ボーっと空を見ていた視線を、飛びトカゲが見ている方へと向ける。

アイオン神がこちらに来た。

何か用事でもあるのだろか?

「……何か?」

俺の言葉に苦笑いを浮かべるアイオン神。

何だ?

「なんだか馬鹿らしくなってきた。そちらに混ぜてもらってもいいか?」

「別にいいが……今さら?」

あっ、ものすごく呆れかえった声が出てしまった。

「本当に、すまない。こんな予定ではなかったんだが……はぁ、デーメーを連れてきたのが失敗だな。まさかあんな性格になっていたとは」

「知らなかったのか?」

「あぁ、数十年ぶりに会ったらあれだ。以前はもう少し融通が利いた」

なるほど、久々に会ってあれだとビックリしただろうな。

俺も前回とはあまりにも違いすぎる性格に、ビックリしている。

プラス、ちょっとビビっている。

変わりすぎだ。

「どうして、あんなに神という存在に拘っているんだ?」

デーメー神の言い分を聞いていると、異常だ。

筋が通っていない。

なのに、神はとにかくすごい存在なんだとごり押しが酷い。

例えすごい存在だとしても、あれだと反発されるだろう。

「……いつの間にか、だな」

いつの間にかって……理由なし?

「寿命を嫌がる理由は? 子供たち以外で理由があるんだろう?」

「寿命…………」

なんでそんな嫌そうな顔を?

「私は、神も寿命が持てる事を先ほど知った」

「は? いや、さっき子供たちのためと」

「知らないとは言えなかった。神としての馬鹿な意地だ」

馬鹿な意地ね。

「なんで知らなかったんだ?」

「……おそらく、私が知れば賛成派が増えるから。私の耳に入らないようにしたんだろう」

「「「…………」」」

なんと言えばいいのか。

神という存在は、長く生きることで絶対に間違った方向へ進んでいるよな。

「先ほどは簡単に説明したがギフトで何か聞きたいことはあるか?」

「いや、とくには何も」

「そうか。本当に、不思議な存在だな」

何故かアイオン神がじっと俺を見つめてくる。

「なんだ?」

「いや、勇者召喚で贈られるギフトを受け取りながら、ここまで自我を守った者は初めてだ。何度か助けるために駆け付けたが、手遅れな者がほとんどだった」

アイオン神はそんな事をしているのか。

「今回のことで勇者召喚をするための条件がより一層厳しくなる。無くしたかったが反発が強くてな」

「愚かだな」

本当に神という存在は愚かだな。

長く生きることで問題が起きているのに、権力を握りしめて離さない。

……俺達人間を作った存在なだけはある。

そっくりだ。

神がこんな存在だと知ったら、華は悲しむだろうな。

あの子は、ファンタジー漫画が好きだったからな。

あれ?

俺は失敗とはいえ、勇者召喚でこの星にきたよな。

華の好きな展開というやつか?

確か転生や召喚、トリップ物が好きだったはずだ。

となると……えっ、俺が主人公?

ハハハ、無理無理。

それに勇者に贈られるギフトが現実的過ぎて怖い。

ファンタジーで性格崩壊とか、どんなシビアな物語だ。

「……そうだな『だったらお前たちに寿命をくれてやる! 主、力を借りたい!』」

お~、びっくりした。

ロープの怒鳴り声が、響き渡った。

『主?』

うわ、声が近くなった。

姿が見えないと不気味だな。

『主?』

「あっ、力だったな! 良いぞ、ただし使いすぎるなよ」

『大丈夫。では借りる』

あれ?

今、ロープは力を何に使うと言っていた?

寿命が何とかって……やばい聞いていなかったけど大丈夫だよな?

おっ!

体の中から膨大な力がごっそりと抜き取られる感覚に、体が硬直する。

えっと、こんなに持っていくのか?

大丈夫だよな?

「ロープ?」

ロープに確認を取ろうとしたら、なくなったはずの力がふっと戻る。

あれ?

そして、またごっそりと取られていく感覚がする。

……もしかして俺の力って、いつの間にか無限に湧いて出てくるようになっているとか?

いやいや、それはないよな?

否定するが、なくなったはずの力が何処からかふっと体内に戻る感覚に押し黙る。

首を捻っていると、近くの椅子に座っているアイオン神が一瞬光る。

遠くでデーメー神が光るのも視界に映る。

「おや?」

アイオン神が不思議そうに自分の手を見つめている。

何が起こったのか不明なので飛びトカゲと水色と一緒に静観しておく。

巻き込まれるのはごめんです。

他の仲間達も、岩人形達も遠巻きに見つめている。

「何かが動いているようです……これが寿命でしょうか?」

へ~、自分で寿命の動きが分かるんだ。

やっぱり神なんだな、凄いわ。

それにしても、寿命を感じて嬉しそうな顔をするなんて不思議な感覚だな。

「何をした。これはいったい」

デーメー神は大混乱みたいだな。

「ロープ」

『主、呼んだか!』

ほんと嬉しそうに答えてくれるよな。

「ここの神だけに寿命を与えたのか?」

『いや、封印された仲間を目覚めさせて主の力を送った。で、全員で全ての神に寿命を与えた! これで奴らも少しは考えるだろう』

えっ、全ての神って……。

「すごいな。ロープにはそんな事が出来る力があるんだな、最強の存在だな」

『違うぞ主。これには主の力が必要だった。そうでなければ、封印された仲間達を目覚めさせられなかった。それに俺達はこの力を使うためだけに作られた存在。これしかできない』

そうなのか?

「いや、この星の言葉に掛けられた結界を解いたりしただろう?」

『あれは主の力を借りて壊すだけだったから出来た、他のことも壊しただけだ』

なるほど。

いや、寿命を操作できる存在は最強だろう。

たぶん。

……あっ、神の問題はこれで解決?

寿命が出来れば、生きることに飽きていた神も少しは限りある時間に考えを改めるだろう。

というか、問題って何だったっけ?

この星の行く末と俺の存在?

星はアイオン神が見守るみたいだし、問題解決。

俺は未知の存在みたいだが、特に問題にはなっていないよな。

「神の問題は、俺には関係ないし」

というか、神の馬鹿な執着問題はロープが簡単に解決したな。

ハハハ、現実なんてこんなモノだな。