軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

53.石像の探索……力

朝から森の中を走り回る。

その原因は、卵の中の犬もどきの弱り方だ。

昨日、少し元気になったように見えたのだが、今日見たらぐったりとしていた。

何だかその様子に危機感を覚えたのだ。

なので、残りの石像に隠されているだろう力を含んだ石を集めるために朝から全力疾走だ。

神力を上から探した時、壊した石像と同じ光り方をしていた場所は残り3か所。

全てに力があるかどうかは行ってみないと分からないのだが、行くしかない。

しかし、調べてちょっと気が遠くなった。

どうして、光っている全ての場所が遠いんだ。

これを1日で集めるのか~っと、ちょっとくじけそうになってしまった。

だが、ベッドの中の犬もどきの様子を見ると急ぐ必要があると感じる。

やるしかないのだ。

ただ心配なのは、そこに力があるのか。

あったとしても足りるのかである。

最初の潰した石像の中にあった力は、1匹を少し補う程度だったように思う。

残り3つ。

……足りなかったらどうしたらいいのか。

「全てはやってみてからだな」

先ずは2番目。

俺達の少し前を魔物の石が飛んでいる。

神力と石像をイメージして、捜索という魔法を発動させた。

上手くいくか少しドキドキしたが、どうやら成功したようだ。

少し先に2番目の石像が見える。

それにしても、森の中に石像。

不気味だよな。

しかも、この石像綺麗なんだよ。

普通森の中にあったら、雨風にさらされて少しずつ汚れていくと思う。

他にも、つる性の植物が絡んだり。

なのに、それらが一切ない。

まるで今立てたばかりですと言えるほど、綺麗な状態で森の中に立っている。

「気持ち悪いよな。あっ、ポーズが違う」

目の前の2番目の石像は、最初に潰した石像とは違うポーズをとっていた。

何か意味があるのだろうか?

最初の石像は両手を上にあげて、顔も上を心もち向いていた。

目の前にある石像は、右手は上にあげているが左手は胸元にある。

そして、顔は正面を向いている。

……その顔は無表情だ。

何だか、怖いな。

「粉砕!」

見ていても欲しい物は手に入らないので、容赦なく潰す。

石像を鑑賞するような趣味は無い。

あったとしても、この石像は嫌だ。

森の中にひび割れる音が響き、石像がみるみる崩壊していく。

何だか、壊れるのを見ると気持ちがスカっとする。

性格が悪くなったかも。

……そもそも、それほど良くないか。

さて、力の石を早く探さないと駄目だな。

次がまだ残っているのだから。

「石、石」

石像の残骸をよけながら力を含んだ石を探す。

石像とは石の色が違ったので、すぐに見つける事が出来ると思うのだが。

ん~、あっ色が違う。

残骸の中には真っ赤な石。

鮮やかな真紅の石が、残骸の下から出てくる。

手に取って眺める。

鮮やかな色過ぎて、なんだか恐ろしさを感じる。

「昨日の石より、力が強そうだな」

石を手に取った瞬間、石から力が伝わる。

その感覚が、昨日より強めだ。

おそらく力が強いのだろう。

「よし1個目ゲット! 次に行こうか」

今日のお供について来てくれた、水色とアイ達に声を掛ける。

次は、今よりもう少し移動距離がある。

……頑張らねば。

それにしても、今の体になっていて本当に助かった。

止めていた魔物の石に探索を再開させる。

少しグルグルと周辺を回っていると、ピタリと動きを止めて次の瞬間ある方向へと飛んで行く。

最初から容赦のない速さだな。

グッと足に力を入れて、魔物の石の後を追う。

森の中には倒れた木などもけっこうあり、足場がわるい場所もある。

走るだけなのだが、結構集中力が必要となる。

走りながら何度かヒールの魔法を発動させる。

そうすると疲れが消え、もう一度走る速度を速められるのだ。

それを繰り返しながら突き進んでいると、今日2個目の石像を発見。

今度は左手を上にあげて、右腕は胸元だ。

顔は、下を向いて無表情だ。

やっぱり何か意味があるのかもな。

「粉砕!」

正直ポーズなどに意味があるような気もするが、今のところ気にしていない。

分からないのに、気にしても仕方ない。

なので、容赦なく潰す。

「あれ? さっきの石像と割れる時の音が違うような……?」

石像にヒビが入りだすと、森の中に音が響くのだがその音に違和感を覚えた。

先ほどより、音が響いていない。

何かが起こる前兆だろうか?

心配になり、周りを警戒する。

その間も、どんどんとヒビが入り割れて落ちていく石像。

しばらく様子を窺うが、何も起こる気配はない。

森の中の環境の違いで、音が響きにくかったのかも知れないな。

「さてと、石、石」

もしかしたら3番目も色が違う可能性があるな。

石像の欠片をよけながら力の石を探す。

なかなか見つけられない。

「まさか無いのか?」

石像の残骸をほとんどどけていくと、微かに力を感じた。

それを頼りに探し続ける。

「あった。……でも、これは……」

残骸の中から石を取り出す。

今まで見つけた他の2個の石より、かなり小ぶりだ。

しかも、微量な力しか感じない。

まぁ、仕方がない。

覚悟していた事だ。

とりあえず、これで2個目をゲットだ。

最後の1個、それに期待しよう。

しかし、最後の場所がかなり遠い。

かなり気合を込めて走らないとな。

「水色は飛んでいるから大丈夫だな。アイ達は大丈夫か?」

水色は飛んでいるので疲れに関しては問題ないだろう。

ただ、アイ達は休憩なく走り続けている。

疲れが溜まっていないかと様子を見るが、いつも通りの表情で疲れなんて窺えない。

ヒールを使っている俺の方が、疲れているような気がするのは気のせいだろうか?

「なんだか、全てにおいて負けているよな。よし、最後の場所へ行こうか」

もう一度、魔物の石に探索魔法を発動させて後を追う。

ヒールを何度もかけ続けると、少し疲れが取れにくくなってくるようだ。

足の疲れが、ヒールでは補えなくなってきている。

あ~、一日で3ヶ所は無謀だったか。

でも、あんなに弱っていたからな。

「はぁ、頑張れ俺の足。ヒール!」

スッと疲れは消えるが、なんとなく足が重い。

やはり最初の頃に比べると、疲れが取れていないようだ。

だが、最後だ。

あとは、根性だ!

飛んでいる水色が視界に入る。

羨ましい。

だが、仕方ない。

小さなため息をつく。

今日は朝から、新しい力が少し暴走している。

いつもなら落ち着く熱が、今も落ち着いていないのだ。

それだけなら問題ないのだが、他の者の力が近づくと熱が上がるのだ。

朝、リビングでコア達に会った時に気が付いた。

リビングに入った瞬間、熱が倍増したのだ。

これは、やばいとすぐにウッドデッキに出て自分の周りに結界を何重にも掛けた。

とりあえずは、小さな暴走なので問題ないが……。

そんな事もあるため、体に長時間触れるような事は控えている。

正直、水色の上に乗って楽をしたいが。

残念だ。

そろそろ、本気で考える時期だよな。

神様も来る気が無いようだし。

今度は大きなため息が口から零れる。

犬もどきに力を与える事が出来たら、考えるか。