軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12.エンペラス国 第4騎士団団長

-エンペラス国 第4騎士団 団長視点-

大きくため息をつく第1騎士団の団長のガンミルゼ。

本人は嫌がっているが、周りはすでに彼を王にするための準備を整えつつある。

騎士達は既にその心づもりでいるし、元奴隷の協力者たちも彼ならと意思を示している。

そして協力者から情報が流れ、村や町にいる元奴隷達は見守ってくれている。

王都に近い国民は戸惑いながらも、森の怒りを鎮めてくれるならと期待を寄せている。

王都から離れると貴族たちを支持する者達もいるが、森の怒りやエレガリ町の事が広がりつつあるとその声も小さくなってきている。

それと同時に森の怒りをかった先代の王を討ちとった事になっているガンミルゼの支持が上がってきている。

この世論の状態で違う者が王として立つとなれば、かなり荒れる事になるだろう。

エンペラス国の国民も騎士も、ガンミルゼを必要としているのだ。

そして彼はそれを理解している。

国内だけの事ならまだ少し猶予はあるが、王が早急に必要なのはエンペラス国が他国から狙われているからだ。

それを裏付けるように、他国の間者らしき者を見たと情報が多数上がってきている。

おそらく先代の王が亡くなった情報が広がり、この国の隙を窺っているのだろう。

森を手に入れようと画策していた国だ、不安定のうちに攻めて滅ぼしてしまおうとする国もあるだろう。

国に王がいない今が狙い目なのだ。

他国との問題を解決するためには、早急に王が必要だ。

だが王であれば、誰でもいいと言うわけではない。

今、必要とされている王は、まず多くの騎士たちの支持が無ければならない。

また、国民だけではなく元奴隷達の支持も重要となってくる。

そうでなければ隙がうまれ、攻められる事に繋がる。

今、他国と戦争をするだけの余力はない。

「はぁ、先延ばしにしていい事ではないか。だがまずは、目の前の問題だけは解決しないと」

「何かありましたか?」

ガンミルゼとガジーの言葉に俺が此処に来た目的を思い出した。

……大切な事を伝えに来たのに忘れていた。

誤魔化すように咳払いを1つする。

ガジーの目がなんとなく「またか」と言うような感じなのだが。

彼の前ではまだ、そんなに失敗をしていないはずだが……。

「第3騎士団の団長と思われる人物を見つけたのだ」

「なるほど」

早急に解決が必要な問題がこれだ。

確かに奴隷解放に反対している者達の問題もあるが、

第1騎士団の働きとガジー達に影響され、協力者となった者達が上手く抑え込めるようになってきたのだ。

騒いでいた者達も、森の怒りをかった先代の王の情報が流れ始め、少しずつだが変わってきている。

王都から離れすぎると情報が上手く流れていないが……。

この問題の解決には時間が必要だ。

だが、第3騎士団の問題は事を急ぐ必要がある。

なぜなら、魔石を持ち出してしまったからだ。

たとえそれが魔石の欠片とは言え、どんな力を持っているのか魔導師達の残した物を調べても完全には分からなかった。

そのため、盗んだ彼らが何か問題を起こす前に取り返す必要がある。

「俺達、第4騎士団はいつでも動けるぞ」

「我々も動けます」

「いや、俺が行くよ」

「はっ?」

「それは止めた方がいいのでは?」

「ヴィルトアとは騎士団に入った頃からの知り合いでな。苦楽を共にした仲だ。最後に説得を試みたい」

少し苦しげに話す顔には、いろいろな感情が垣間見える。

おそらく第3騎士団の団長と、話す機会を持てなかった事を後悔しているのだろう。

そのような事を少し前だが愚痴っていた。

時間が足りなかったと言うのはガンミルゼの中ではただの言い訳だ。

納得するまで動くのが彼だ。

王になればそれも出来なくなるが、今ならまだ動ける。

ガジーも協力者として一緒に行動しているので、彼を理解しているのだろう。

俺を見て肩をすくめた。

「悪いな、俺の我がままだ」

俺達の様子を見て、納得はしていないが理解を示したことを感じ取ったのだろう。

「情報をもっと集めておきます」

ガジーは一言俺達に言葉をかけると、すぐに部屋を出て行く。

俺はガジーが奴隷当時、どんな仕事をしていたのかを聞いていない。

だが情報の集め方は俺よりかなり上手い。

第1騎士団の団長としてトトロス町に着く頃には、細かい情報も集められているだろう。

「俺は護衛としてついて行くからな」

今、ガンミルゼに何かあると困る。

「ここの守りも必要なのだがな」

「第2騎士団と俺の部下に任せておけばいいだろう」

今回の問題がガンミルゼの騎士としての最後の仕事となるだろうな。

王になれば、こんな気軽に話すことも出来なくなるのか。

少し寂しいが、仕方のない事だ。