軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

123.獣人の子供2

-奴隷だった獣人の子供視点-

倒れている怖い人に見つからないように走って森の中に。

森にはいろいろ怖い魔獣や魔物がいると聞いている。

でも、獣人で奴隷だから誰か大人に助けを求めても殺されるだけって。

だから怖いけど怖い人がいない森にした。

一緒に逃げた子もそうしようって。

魔獣か魔物の声があっちこっちから聞こえる。

隠れながら、森を走る。

走りすぎて気持ちが悪い。

ふらつく体を頑張って動かしていたけど…無理。

木の陰に2人で入り込んで息をひそめる。

ここに連れてきた怖い人が追いかけてくるかもしれない。

怖い、怖い、怖い。

涙が出てくるけど声が出ないように耐える。

2人で震えて。

ふっと意識が戻る。

…寝ていたみたいでびっくりした。

慌てて周りを見回すけど怖い大人はいない。

大丈夫なのかな?

一緒にいる子も目が覚めたみたいだ。

慌てて飛び起きた。

声を潜めて大丈夫と伝える。

持って来た食料を2人で少しだけ食べる。

魔獣の声が近くで聞こえる。

ここから早く移動しよう、お互い頷きあって走って移動する。

疲れているから体が思うように動かない。

でも、足だけは止めなかった。

足の裏から血が出ても。

止まったら怖い大人に捕まりそうで、止まれなかった。

走れなくなったら今度は歩いた。

森は全体的に暗くてあまり遠くまで見えない。

真っ暗になる前に木の影を見つけて休むことを繰り返して森の何処かを歩き続ける。

食べるものはもうない、水もない。

やっぱり死ぬのかな悲しい、涙が出そうになるけど耐える。

つないでいる手にギュッと力を入れると握り返してくれた。

まだ頑張れる。

…水の音が聞こえる。

朝から飲んでいない喉がギュッとする。

水の音が聞こえる方に歩き出す。

何処をどう歩いたのかはもうわからない。

疲れてふらふらで。

水の音がずいぶん大きく聞こえると思ったら次の瞬間ぐっと手が引っ張られる。

そのまま水の中に落ちてしまう。

慌てて手足をばたばたさせるけど意識が遠くなった。

声が聞こえる。

泣いている?

目をうっすら開くと、目の前にあの子がいる。

あっちこっちから血が出ている。

何があったのかな?

逃げて…水の音がして…落ちたんだ。

生きてる?

小さいつぶやきに目の前の子は大きく頷く。

…でも、このままじゃ。

ふらつく体を支えながら起きあがる。

ここは何処なんだろう。

今までの森とは少し違う、今までの森は暗くて前が見えにくかった。

でも、ここはあまり暗くない。

え…巨大な魔獣がいきなり目の前に現れた。

その眼を見た瞬間、今までの魔獣とは違うと本能が危険を知らせる。

でも、もう体も意識も持たない。

……

気が付くと場所が変わっていて驚いて悲鳴をあげてしまった。

あの子も目を覚ましたのか悲鳴をあげて2人で身を寄せ合う。

…声を出しても襲われない?

でも大人の奴隷に聞いたフールミがいる。

フールミは穴に引きずり込むから気をつけろって。

他にもいっぱい聞いたけど覚えていない。

大人の奴隷は知性があるかないかで判断しろって言った。

知性がないなら即逃げる、ある場合はその場所からすぐに移動して許してもらうようにって。

本能なのかな今までの魔物と違うことはわかるけど。

…どこか分からないから移動は無理だ、どうなるんだろう。

人がいた。

びっくりした。

こんな森の魔物や魔獣がいっぱいいるところに人が。

大人の奴隷や怖い人が言っていた事と違う。

知性ある魔物や魔獣は人と闘っているって。

人なのかな?

びっくりした、いきなり光に包まれたと思ったら怪我が治っている。

体の重さもなくなって背中のずっと続いていた傷みも消えた。

驚いて思わず目の前の人の手をギュッと握ってしまった。

あ、殺される!

ギュッと目をつぶったけど頭を優しく撫でてくれた。

ホッとした。

人が何処かを見ているから僕も見てみる。

思わず悲鳴をあげてしまった。

ゴーレムがいっぱいいる。

使えなくなった奴隷を押しつぶして殺すゴーレム!

2人で泣き叫ぶ。

もう体に力が入らないから逃げられない。

ふわっと体が浮いた。

驚いた。

人が僕たち2人を抱き上げて移動をしている。

驚きすぎて何も反応できなかった。

抱っこしたまま座ったみたいで僕も人の膝の上に座ってしまう。

あの子も固まっている。

驚いたので涙は止まった。

ゴーレムが差し出すコップ。

コップが3つ。

良い匂いがする。

人が受け取って僕とあの子に渡す。

そして飲むしぐさをしてから人も飲みだした。

そっと口に含む。

美味しい、涙があふれた。

目の前の人からは何か温かい空気が流れてくる。

大丈夫、この人は怖い人じゃない。

声が口からこぼれると初めて声を出して泣いた。

僕もあの子もぐちゃぐちゃの顔だ。