軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

だからほどほどに。

「アークリアルを送り込んだのですか?それはどうかと思いますが、リティアルさん」

「念の為だとも。セラエスを追っている者の中には手練れがいる可能性も高い」

ラーハイトは呆れた顔をしながら私を見る。言いたいことは分かる。アークリアルの投入は我々にとっての切り札の一つであり、安易に用いる手段ではないからだ。

アークリアル=アイシア、我々が見つけ出した落とし子の中で、最も戦闘能力の高い存在。彼が持つのは『戦い』の才能。勇者として魔王を圧倒したユグラに匹敵するともされる戦いの天才。純粋な戦いという条件ならば勇者ユグラと互角に渡り合えるだろうとネクトハールは言う。

「セラエスは欲しい人材ではありますがね。だからと言って世に彼の存在を知らせてしまうのは、時期尚早と言わざるを得ないですね」

「セラエスの為だけではないさ。モラリやヤステトも私にとっては重要な人材だ。特にモラリの才能は利便性に富んでいるからね。彼女と共に行動したことがあるのであれば君でも理解できるだろう?」

「まあ……転移魔法の有無は拠点の位置を知られない上で便利ではありますからね」

ターイズ、ガーネ、メジス、クアマの四国は我々の捜索を行っている。今まで足掛かりさえ掴ませなかったのはモラリの転移魔法による恩恵が大きい。徒歩ではどうしても追跡される可能性が残る。今後の行動を考えた上でもモラリを失うのは痛手となるだろう。

「切り札を先に出すのは嫌いだったな君は」

「切り札にもよりますけどね。アークリアルの強さは誰もが認めざるを得ないほどに圧倒的ではありますが、万能と言えるものではありませんから」

「そこは同意する。相手に対処させる余裕を与えないことは大事なことではある。しかしアークリアルの投入は一度きりの手段というわけでもない。彼の実力を知れば相手も安易な手を打てなくなるだろう?抑止力としての効果を得ることもできるのだから、そう悪いことだけではないよ」

「それは言えていますがね。ただ私としては、彼一人で向かわせたというのが問題だと思うのですよ。だって彼は――」

話を遮るように部屋の扉が開かれる。そこから現れたのは噂にしていたアークリアル本人。いつものように天真爛漫な笑顔をしている。

「たーだいまー!今帰ったよ、リティアル!なんだ、ラーハイトもいるのか」

「そりゃあいますよ。私は貴方と違って肉体労働をするタイプではありませんので。戦闘沙汰は極力避けたいのです」

「なんだ、ウッカ大司教に負けたこと、まだ気にしてんのか?」

「気にしていませんよ。油断したことは事実ですし、敗北は素直に認めています。次はありませんが」

「気にしてんじゃん」

「それでアークリアル、首尾はどうだったかな?」

「いやー逃げられちゃった!」

ラーハイトがとても重いため息を吐く。私も少し頭が痛くなってきた。

「……詳細の報告を」

「えーと、まずは言われた通りに合流場所に向かってたんだ。そしたらさ、執事服を着た人型の魔物が一匹邪魔をしてきてさ。結構強かったな、アレ」

執事服を着た魔物、その言葉にクアマで出会った紫の魔王の配下を思い出す。恐らくアレだろう。通常のユニーククラスを遥かに超える大悪魔、それと戦闘を行って無傷と言うのは流石ではある。

「その魔物に時間を稼がれたと」

「そーなんだよ。斬っても斬っても直ぐに再生して死なねぇの。そろそろ再生する魔力も尽きるかなーってところで逃げられてさ。追っていったら合流先に着いたわけ。そしたらみーんなやられててさ」

「それはモラリとヤステトもということかな?」

「ああ、ヤステトまで倒せるってのは中々凄いよな!だから張り切って戦おうと思ったら毒入りの煙幕やら滅茶苦茶にばら撒かれてさ、煙を払ってたら全員に逃げられた!ちらっと確認できたけどさ、『殲滅の刃』がいたな」

ミクス=ターイズ……やはりターイズも関わっていたか。ただ彼女の強さを考えるに、モラリは倒せてもヤステトは一筋縄ではいかないはず。その場にはもう何人か手練れがいたと考えるべきだろう。

「それで、何の成果も挙げずに帰ってきたと?」

「つっかかるなよ、ラーハイト。一応セラエスとその弟子達は拾ってきたんだぞ?今は国境付近に隠してるけどさ」

「……モラリとヤステトは?」

「連れ去られた。見事な手際だったな!」

ラーハイトが問題視していた点、それはアークリアルが戦い以外に能がないということだ。正面から挑んでくる相手ならば、あの緋の魔王であれども互角以上に戦える英雄なのだが……頭も悪ければ要領も悪い。

「合流さえさせれば、ヤステトが君を有益に使えるだろうと考えた私の落ち度だな」

「せめてモラリ達と一緒に向かわせるべきでしたね。別の任務に使っていたので時間的に難しい相談でしたが」

「なんだよ、俺だって前の任務が終わって直ぐに向かったんだぞ?」

「貴方に臨機応変を求めるつもりはありませんよ。……あの二人がいるとすれば、今はクアマの城あたりでしょうかね」

「そうだろうね。そこで尋問を行うか、我々が救出に動く可能性を危惧してターイズやガーネの方へ場所を移すかは半々と見るべきだろう」

あの二人には特別な訓練を受けさせている。私に不利益なことを喋ることはないと思うが……。

「なら俺が今からクアマ城にでも乗り込んでこようか?」

「やめてください。我々が正面から国に仕掛ければ、他の国の結束が強まります。そうなれば今いるこの国だって協力しないとも限りません」

「あー、そっかー」

「……リティアルさん、ネクトハールさんには私が伝えておきますよ。貴方はセラエスの回収をお願いします」

「ああ、よろしく頼むよ」

ラーハイトは一刻もこの場に居たくないと言いたげな顔で部屋を出て行く。緻密に策略を張り巡らせるラーハイトにとって、愚直を体現したようなアークリアルとの相性は最悪だ。私の場合、グラドナのような馬鹿とパーティーを組んでいたので慣れてしまっている。馬鹿の方向性が違うので、完全にとは言い難いが。

「結局俺は暫く待機ってことか?」

「そうだね。出番が来たら暴れてもらうから、今は体を休めておくと良い」

「……ごめんな、リティアル。お前の仕事を増やしちまって」

「お構いなく、慣れているからね」

アークリアルは申し訳なさそうな顔をしているが、これは先に謝っておかなければ小言を言われるだろうなという魂胆が見え隠れしている。この手の相手は小言程度で改善されることはない。私も無駄な労力は避けたい。

「それにしてもリティアルは変わってんな。俺やラーハイト、ネクトハールにはそんな感じで話すくせに、モラリ達にはすっげー優しく話すよな」

「立場的な理由だね。ネクトハールやラーハイトは共に歩む者だが、モラリ達は私の為についてきてくれる者達だ。私の目指す道の礎となる覚悟を持って私の下にいる。私はその覚悟を受け入れ、時として道具のように彼女達の命を使い潰すような真似をするだろう。ならせめて投げかける言葉だけでも、彼女達を人間として最大限に敬わねばならない。それが私なりの礼儀というものだよ」

可能ならばあの二人を救出する術を考えたい。だがそれが叶わない時、私は二人を見捨てる決断をしなくてはならないだろう。それはあまり気分の良いものではない。

「俺にはあんまり優しい感じがしないんだけどな?」

「君は使い潰そうとしても潰れなさそうだからね」

「なるほど。なるほど?」

クアマ城でエクドイク達と合流後、起こった出来事の詳細を確認した。エクドイク達がセラエスと落とし子の確保の為に戦っていた時、合流しようとしていたデュヴレオリは道中でアークリアルと名乗る人物と接触していた。その異質な雰囲気からデュヴレオリはラーハイト達の送り込んだ増援と考え、合流を阻止しようと戦闘に入った。

アークリアルの強さは異常としか言えないものであり、デュヴレオリは逃走用の体力がギリギリ残る段階でエクドイク達との合流に切り替えた。その時にはエクドイク達の方の戦闘は終わっており、合流を果たしたデュヴレオリは追ってくるアークリアルから逃走を提案。満場一致で逃走の準備に入り、ミクスとエクドイクが主体となって様々な手段を用いて逃走した。

「ミクスの煙幕を展開したのち、落とし子をデュヴレオリが腹に収めた。煙が払われるまでに可能な限りの距離を取り、俺が地面を掘って隠れた。煙幕を使用したのにもかかわらず、奴は探知魔法を使用してこなかったのでな。暫く隠れた後、地面を掘ってクアマの集落の近くまで移動した」

「確保できたのは落とし子の二人だ、すまねぇ……」

「頭を下げなくていいさ、ハークドック。デュヴレオリを一方的に痛めつけるような奴相手に一戦交えていたら、それこそこっちに死人が出ていただろうしな」

セラエスを逃がす為に転移魔法の使い手が来ることは読んでいた。常に同伴しているとされる結界使いもだ。ただハークドック曰く『ユグラと同格』って奴が出てくるのは流石に想定外だ。

デュヴレオリは現在城の一室で眠っている。怪我が酷く、自己治療も満足にできないほどに衰弱しているらしい。『紫』を呼んで専用の治療を施す必要があるだろう。

「それで、ハークドック。湯倉成也と同格ってのはどういう次元での意味だ?」

「どういう次元って……『勇者の指標』で感じたユグラと同じだったんだ。ありゃ相当やべぇよ」

「勇者として同格なのか、戦士として同格なのか、魔法使いとして同格なのか、色々あるだろ?魔力量だけで言えばウルフェだって湯倉成也と同格とされているわけだし」

「あー、そう言う意味か。ちょっと待ってくれ、思い出す……。魔力量としてはユグラほどじゃなかったな。あの男のヤバさは戦士としてのヤバさだな」

「戦士としてか……そうなると戦いの才能でも持った落とし子ってとこだな」

魔力の生成能力、危険の察知能力、空間の把握能力とあるのであれば戦闘の適応能力とかがあっても不思議じゃない。ラーハイト達も随分な駒を持ってるものだ。ただまあ、色々と思うところはある。

「兄弟、思ったよりも表情が軽いじゃねぇか?」

「警戒するべき相手には違いないけどな。絶望的って程でもないさ」

「いやいや、絶望的だろ!?デュヴレオリだって敵わなかったんだぜ!?」

「もしも完全に湯倉成也と同格だった場合、お前らはとっくに全滅していただろ。逃げきれたのはそいつにお前らを追いかける能力がなかった、そう考えるのが妥当だ」

煙幕を払った後、モラリとヤステトがいないことに気づけばアークリアルは二人を取り戻そうと行動するだろう。それこそ近くに隠れているエクドイク達を速やかに見つけ出し、追い詰めればいいだけのことだ。

「ワザと逃がしたという可能性は?」

「自分が圧倒的に優位な情況で相手を逃がす理由は限られている。逃がすことで得られるものがあるとか、仕留める理由がないとかだな。こっちの勢力は既に知れ渡っているし、最終的な逃亡先がクアマ城になるのは少し考えれば分かるから情報としての意味はない。仕留める理由としても、仲間を奪われているんだから当然ある」

「てことは、あの男は俺みたいに能が一つしかないとかそんな感じなのか?」

「多分な。と言っても、戦闘の才能があるということはそれに引っ張られて他の能力も色々と高いとは思うがな」

「引っ張られる?」

「当たり前の話だが、自身の持つ才能に類似する能力は伸びやすい。例えばハークドック、お前の強みは危機察知能力だけじゃない。探知魔法を利用した相手の分析能力とかも含まれるだろ?ウルフェも魔力生成量だけでなく、大量の魔力を利用した戦闘技術はかなり高い。戦いの才能があるのならそれを補佐する能力も必然と高水準になるはずだ」

ただ逃げる相手を追跡する能力が乏しいということはだ、アークリアルは正面から挑む相手にはめっぽう強くても搦め手に弱い可能性がある。まあスペック差が相当あるのだから、戦闘で追い詰めるのはかなり難しいだろうが。

「そっか、保有していた魔力も結構あったしな。飛行してたデュヴレオリに走って追いつくのもそういったことが原因なのか」

「多分頭も悪いな。知的な奴ならラーハイトが喜んで一緒に行動してそうだし」

「急に親近感が湧いてきやがったな……。あ、でも馬鹿ならここに乗り込んでくるんじゃねぇの!?」

「セラエスを回収した後、頭の回る奴に相談するとは思うけどな。リティアルやラーハイトなら間違いなく止める」

「ま、まあ今のところは大丈夫ってことだな!」

ラーハイト達にとって、最も避けなければならないのは自分達の拠点を知られることだ。アークリアルを投入したのは、その手段として有用な転移魔法の使い手であるモラリを失わせないための措置と考えられる。誤算があったのは合流前にデュヴレオリと出くわしてしまったことだろう。デュヴレオリが時間を稼いだおかげでアークリアルとの戦闘を避けることができ、こうして落とし子を捕獲することもできた。『紫』にはあとでデュヴレオリに労いの言葉でも掛けさせてやらなきゃな。

話をしているとミクスとラクラが姿を現す。モラリとヤステトは現在麻痺毒が抜けておらず、会話することもできないがその下準備をすることはできる。ミクス達にはそれを頼んでおいたのだが、表情を見るに難しそうなのだろう。

「ご友人。あの二人は頭に魔封石を埋め込まれてはいませんが、精神に干渉する魔法に対する抵抗力が非常に高いようですぞ」

「魅了するとか、洗脳したりとかは無理ってことか。リティアルの直属の部下っぽいし、それ相応の訓練は積んでいるっぽいな」

「でしょうな。そうなると物理的な尋問となりますが……」

「それこそ耐えそうなんだよな」

二人とも手練れそうだし、デュヴレオリの回復を待ってから『迷う腹』で記憶を読むというのも成功率は低そうだ。この世界の尋問ってどれだけ効力が弱いんだよって嘆きたくなる。まあ誰かさんはされる前に情報を吐くくらいはすると思うけどな。

「そうなると尚書様が以前ラーハイトさんにやったような尋問を?」

「あれはある程度読み取れている情報があってこそできる芸当だからな。根掘り葉掘り聞きだすにはちょっと向いていない。まあやれるだけやってみるか」

それに今は『私』に切り替わることができないでいる。今の状態で相手を精神的に追い込むって真似はちょっとよろしくない。とは言えやらないことには始まらないのだし、やれるだけやってみるとしよう。

後日、ミクスと共に麻痺毒の抜けたモラリのいる牢獄へ足を運ぶ。魔封石を取り付けた拘束具を装着され、手足はがっちりと錠で固定されている。自由が利くのは頭くらいなもの。うーん、今の状態でこういう光景を見ると色々と背徳感を感じるな。

「よっ、この前は世話になったな」

「瀕死だって聞いてた割りには元気そうだな」

モラリは敵意剝き出しの目で睨んでくる。近くに寄れば噛みつかれそうだな、うん。

「色々あってな。それはさておき、色々と話を聞かせてもらおうと思ってな」

「話すことなんてない。さっさと消えろ」

「色々あるだろ?」

「あるわけないだろ」

何言ってるんだコイツって顔をされている。後ろに控えているミクスも似たような顔をしてそうだな。

「ま、答えたいことだけ答えてくれればいいさ。まずは最初の質問だ」

「だから答えるわけが――」

「嫌いな食べ物とかあるか?」

「――は?」

「嫌いな食べ物だよ。情報を得るために捕えている以上、殺すつもりはないんだ。食事を出すのは当然だろ?」

モラリの目から毒気がいくらか抜けているのが感じられる。警戒心は未だ残っているが、殺気を込めることは忘れているようだ。

「ふざけているのか?」

「大真面目さ。お前達に捕まった時、飯すら用意してもらえなかったんだ。捕虜の扱いについては格の違いを思い知らせてやりたくてな。それで、今日のメニューは野菜のスープらしいがどうする?」

「そんなもの、好きにすればいいだろ」

「希望を出せるのはお前なんだけどな」

「なら肉を入れろ、大盛で」

よし、食いついた。こちらの話題に乗ったな。まずは一歩目だ。

「どこまで大盛にできるかは分からないけどな、言っておこう。あとは――ああ、ここって冷えないか?毛布とかいるか?」

「……よこせ」

こちらの会話内容に呆れている感じだ。せっかく改善してくれるのなら、それくらいは話しても大丈夫だろうと考え始めていると言ったところだな。

「手配しておこう。ところでモラリ、お前はリティアルに不都合なことについては絶対に話さないと思うんだが、それは合っているよな?」

「当たり前だ」

「じゃあ関係のないことを聞こう。緋の魔王の拠点だった洞窟で『俺』を捕まえた時、『俺』を攻撃したのはお前か?」

「私じゃない。ヤステトだ」

「その答え方は感心しないな。そこは嘘でもラーハイトと言うべきじゃないのか?ヤステトだって捕まっているんだ。『俺』が腹いせで報復しないとも限らないだろうに」

「そんなこと知るか」

可哀そうなヤステト、まあ腹いせにどうこうするつもりはないけどな。多分。さて、モラリと直接会話できたことでモラリの人物像はある程度理解できた。以前の会話も含めて、リティアルに対しては絶対的な忠誠心があると考えていいのだが、他の仲間に関してはさほど仲間意識を持っていないようだな。この手のタイプは肝心の情報は絶対に漏らさないと考えていい。警戒心を徐々に奪うようにしていくべきだが、時間は掛かりそうだな。

「よし、今日の尋問はこれで終わりだ。お疲れ様」

「尋問を舐めてないか?」

「暴力は嫌いなんだよな。責めて欲しいならくすぐりくらいはするけど」

「舐めてるな?」

「いや、お前腋とか弱そうだし」

「……ああもう、さっさと消えろ」

あ、こいつ腋弱いな?まあくすぐりで白状させるのは無理だろうからやらないけど。牢獄を後にしてモラリとの会話、表情の変化などを思い出しながら細かく分析する。

「ご友人、随分と間の抜けた尋問でしたな。もっとこう、色々するのかと思いましたが……」

「最初はほどほどが良いのさ。それにモラリには身柄を移動させられたくらいだしな」

「その後酷い目に遭わされたでしょうに……」

このミクスの反応、やっぱり『俺』があんな目に遭ったことで相当怒りとか溜まってるんだろうな。

「ありがとうな、ミクス。そこまで恨んでくれて。それだけで十分気は晴れるさ」

「……ご友人はそうでしょうが、私個人としてはそういうわけにもいかないのですがな」

「勝手な尋問で人質を傷つけられるのは困る。ちょっと触れるくらいは問題ないけどな」

「……うん?」

ミクスの頭を軽く叩き、悪い顔で笑う。

「今日の予定は結構余裕があるし、軽く話すくらいはお前の自由にしてもいいぞ?口車に乗せられるのはダメだけどな」

「いまいち要点が掴めないのですが……」

「そうそう、さっきの会話の反応で分かったが、モラリは腋が弱いらしい」

「――なるほど。それでは少し気晴らしをしてくるとしましょう!」

まあミクスがモラリに嫌われる分には問題ない。相対的に『俺』への評価はマシになるわけだしな。

「さっきも言ったが、ほどほどにな」